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「5年間を思い返すと、反骨心でしかなかった」南野拓実、新たな相棒とともに思い描いていた場所へ

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 2019年12月19日、日本サッカー界に史上最大級のビッグニュースが飛び込んだ。ザルツブルクFW南野拓実リバプールと正式契約——。これまで日本人選手が在籍してきたビッグクラブは数あれど、記録的な快進撃を続ける欧州王者となれば異例のこと。そのうえ欧州CLの直接対決で一夜にして実力を証明してみせたというのだから、ありふれたシンデレラストーリーではない。

 『ゲキサカ』では今冬、クリスマス休暇に凱旋帰国した南野のインタビューを実施。新たな地での挑戦をサポートするニューカラーの相棒『ネメシス』とともに、幼少期から思い描き続けてきた夢舞台に挑んでいく心境を聞いた。


―まずはお持ちのスパイクの話を。以前から愛用されている『ネメシス』のカラーが変わるとのことですが、色のイメージはいかがですか?
「すごく鮮やかな色使いで、青色が好きなので気に入っています」

―日本代表のカラーですね。
「僕も代表のユニフォームに合うんじゃないかと一番最初に感じましたね」

―試合ではシューレースのないバージョンを履かれていますよね。スパイクへのこだわりはありますか?
「僕はフィット感、ボールタッチです。自分の良さであるクイックネスやアジリティを引き出してくれるというのがスパイク選びへの一つのポイントで、このスパイクはそういった部分を引き出してくれる良い相棒です」


―では、ここからは今季の前半戦から振り返りたいと思います。ようやく欧州CLに出られるというモチベーションもあって臨んだシーズンだと思いますが、ここまで思い描いていたような成績を残せているのではありませんか?
「チームとしてはザルツブルクがヨーロッパリーグに回ってしまったけど、個人としては『そこで何かを示したい』と思って臨んだチャンピオンズリーグで手応えを感じることができたし、サッカー選手としての自信を得ることができたと思います」

―過去のインタビューでは、将来のキャリアをイメージするサッカーノートをつけていたと聞きました。そうした理想像に近づいてきたのでは?
「今回の移籍を機に、当時思い描いていたようなことがいま起こっているなと感じます。でも今の自分の心境はそれに喜んでいるというより、『ここからだな』という気持ちのほうが強くて。やっぱりその次に何かを残さないとまったく意味がないし、まだ自分は何も成し遂げていないと思っているので、その時に思い描いていたような自分にまだまだ近づければと思います」

―つまり、思い描いていた夢とはまだ距離があるということですか?
「やっぱりリバプールからオファーが来た時とか、あのユニフォームに袖を通した時にはそういう高揚感というのはありましたけどね。それはそれでサッカー選手として幸せなことです。ただ、一番はピッチの上で何かを示すことが重要だと思うし、今までもそうしてきたので。これからもそういう気持ちをしっかり持ってやっていけたらと思います」


―まさに今回の移籍先のリバプールは特別なクラブだと聞きました。今年10月には対戦相手としてもプレーしましたが、高揚感はひとしおだったのでは?
「はい、リバプールは自分の好きなクラブでしたし、チャンピオンズリーグでアンフィールドでプレーした時は……。一言で言い表すのが難しいですけど、あそこでプレーするのってサッカー選手としては一つの夢だと思うし、あそこでのプレーは最高の瞬間でしたね。だからこれからそのスタジアムがホームになると思うと、すごくワクワクしています」

―『ゲキサカ』では育成年代から南野選手を追いかけてきましたが、当時からそういった場所でプレーする自分の姿を想像していたのですか?
「していましたよ、よくしていました(笑)。当時はずっとそういうところでプレーしたいと思っていたし、そう思って海外に行きました。チャンピオンズリーグでプレーしたいと思っていたし、そして今季チャンスがあったので、何かを示したいと思っていました。当時の自分がずっと夢に思い描いていたからこそ、いまの自分があると思います」

―かつてノートに夢を描いた時から、努力を続けてビジョンを具現化してきた南野選手ですが、夢を叶えられた要因はどこにあると思いますか?
「いまザルツブルクでの5年間を思い返すと、反骨心でしかなかったですね。2年間まったく代表にも呼ばれず、チームでも別に絶対的な選手として試合に出ているわけじゃない。メディアもない。観客もそんなに入らへん。スタジアムも満員になるわけじゃない。でも俺はまだ終わってへんし、できるって自信はあった。それを絶対にヨーロッパの奴らに認められたいというのがあった。日本でどうこうというのはなかったですけどね。はい、反骨心です。だから今の自分があると思います」


―そんな南野選手に聞きたいんですが、あえていま足りないものを挙げるとしたら何ですか。
「そうやなあ……。でも、それが見つかるかもしれないですね。次のステップに行くことで。正直いまの自分はチャンピオンズリーグに出るチームの中心選手でプレーしていて、ザルツブルクではすごく自信がある状態でした。そこで新しいチームに行く。たぶん戦術面の理解力とか、スピードの中でのドリブルやコントロールとか、そういう面での課題が出てくると思う。ただ、いまはまだ(行ってみないと)分からない部分のほうが多いと思う。だからこそ、そういうのを感じに行きたいし、ワクワクしています」

―ずばり、リバプールで自身が活躍する姿を思い描き、想像できていますか。
「はい。そこに自信がなかったら僕は移籍する決断をしていないし、直接対決で2回やっているのでそこで得た手応えというのもある。良いイメージをして行きたいです」


(インタビュー・文 竹内達也)
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