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WGP開幕まであと1カ月。ブラインドサッカー日本代表が「勝ちポジ」トレ公開

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選手の距離感を維持するため、腰にゴムをつけて感覚を覚える。佐々木ロベルト泉(手前)や黒田智成(左端)ら

 ブラインドサッカー日本代表が15日、千葉市内の合宿を公開した。最低ベスト4以上をめざす日本代表はゴムを使って、守備に回ったときの4人の距離感を覚える練習に励んだ。高田敏志監督が意図をこう説明する。

「対戦が決まっているドイツ、中国、アルゼンチンへの各国の対策はもちろん立てていますが、攻撃に切り替える前の守備をどう賢くやるかが重要。ゴムを使って距離感を覚えるためにやりました。選手の腰に巻かれたゴムが引っ張られる感覚があったら、それは本来いるべきポジションより遅れてしまっている、ということ。それがゴムを使うことで体でわかるんです」

 日本代表スタッフは過去の失点シーンをすべて分析すると、選手と選手の距離が4メートル以上離れてしまうと失点につながりやすいとのデータをはじき出した。加えて時速20km以上のスピードで相手選手を走らせてしまったら、その時も失点につながっている。ただ、最初の1歩目から時速20kmのスピードを出せる選手は健常者のサッカー選手でもまずいない。いかにスピードに乗る前にそのスピードを出させない「勝ちポジ」をとれるか。いいポジショニングをとってそれが守られている時は、パラリンピック4連覇中のブラジル、世界ランク1位のアルゼンチン、アジア王者の中国にも点を入れられていないのだ。

 全盲の選手たちはその距離感を「目」で確認することはできない。判断材料は自分以外の他の選手の声の聞こえ方、「耳」が大切になるため、定期的にこの練習を行って体に刷り込ませている。

「勝ちポジ」とは1月、ラグビー大学選手権で早稲田大学ラグビー部が11シーズンぶりに大学王者に返り咲いたときのキーワードだった。1つのプレーから次のプレーに備える速さ、相手より速くセットして相手が十分な陣形ではないときに仕掛けるために、タックルに入る前の姿勢のことを「勝ちポジ」という言葉で選手の意識づけをはかった。今回、ブラインドサッカーの日本代表選手が取り組む選手間のポジショニングとは意味合いが違うが、自分たちより強い相手を倒す、そして相手に十分な力を出させないため、「相手よりより速く備える」という根底に流れる心がけは一緒だ。高田監督が続ける。

「ワールドグランプリは試合以外のすべてのこともシュミレート出来る。1試合1試合もちろん勝ちたいのですが、今の時点での差も知りたい。そしてその差をどう戦えば補えるか。パラリンピック本番へむけたプロセスの中のひとつ、という部分はブラさないようにしたい」

 「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ」の開幕までちょうど1か月。初のメダルを獲得するために「勝ちポジ」を刷り込ませていく。

■3月16日開幕 ワールドグランプリのチケット販売情報はこちらから

▼ワールドグランプリ2020 日本代表メンバー
GK佐藤大介(たまハッサーズ)
GK佐々木智昭(コルジャ仙台ブラインドサッカークラブ㉜)
FP川村怜(パペレシアル品川㉚)
FP黒田智成(たまハッサーズ㊶)
FP田中章仁(たまハッサーズ㊶)
FP加藤健人(埼玉T.Wings㉞)
FP佐々木ロベルト泉(パペレシアル品川㊶)
FP寺西一(パペレシアル品川㉙)
FP佐々木康裕(ファンタス千葉SSC松戸ウォーリアーズ㊹)
FP園部優月(free bird mejirodai⑯)
※丸数字は年齢

【大会開催概要】
▼出場国:8カ国
(グループA) 
アルゼンチン①、中国③、日本⑬、ドイツ⑳
(グループB) 
ブラジル②、スペイン⑤、フランス⑪、タイ⑮
※丸数字は世界ランキング

▼スケジュール
◆3月16日
11:00(B)ブラジル―スペイン
13:30(B)フランス―タイ
16:45(A)アルゼンチン―中国
19:15(A)日本―ドイツ
◆3月17日
11:00(B)スペイン―タイ
13:30(A)フランス―ブラジル
16:45(A)中国―ドイツ
19:15(A)日本―アルゼンチン
◆3月18日
11:00(B)タイ―ブラジル
13:30(B)スペイン―フランス
16:45(A)ドイツ―アルゼンチン
19:15(A)中国―日本

3月19日予備日 

◆3月20日
10:00下位トーナメント
12:30準決勝①
15:30下位トーナメント
18:00準決勝
◆3月21日10:00 7位決定戦
12:30 5位決定戦
15:30 3位決定戦
18:00 決 勝

▼過去の大会結果
2018年優勝 アルゼンチン、準優勝 イングランド、3位 トルコ (日本は第5位)
2019年優勝 アルゼンチン、準優勝 イングランド、3位 スペイン(日本は第4位)

(取材・文 林健太郎)

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