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[新人戦]「より勝負に拘る」京都橘がパワフルな攻撃で京都共栄に完勝。2年連続5度目の頂点:京都

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京都橘高が5-0で京都2連覇を達成した

[2.23 令和元年度京都高校サッカー新人大会決勝 京都橘高 5-0 京都共栄高 サンガスタジアム]

 令和元年度京都高校サッカー新人大会は23日に決勝を行い、京都橘高京都共栄高が対戦。FW木原励(1年)の2ゴールを含め、5得点を奪った京都橘が5-0で勝ち、2年連続5度目の優勝を飾った。

 サンガスタジアム by kyoceraで初の公式戦となった一戦は、「今年はより勝負に拘ることを徹底していきたい」(米澤一成監督)という京都橘に軍配が上がった。

 今年の京都橘は、小柄な技巧派が多く集いポゼッション志向が強かったここ数年と異なり、スタメンの半数近くを180cm近い選手が占めるフィジカルに長けた代だ。「今年は上手い選手が少ないので、僕の感覚を変えないといけないと思っていた。今までの橘のやりたいサッカーとは違う形で、彼らに寄り添いながら、徐々にサッカーらしくしたいと思う」と米澤監督が話すように、選手の特徴を活かしたダイナミックなサッカーを典型するのが特徴と言える。

 この日は序盤こそ、「クロスからの守備とセットプレーからやられないことを意識した」(内藤翔平監督)という理由で通常の4バックから、3バックに変更し、サイド封じを狙った京都共栄の守備に戸惑いも見られた。だが、京都橘は「前線の関係性が練習から上手く行っていたので、信じて縦パスをつけた。3人がどうにかしてくれるだろうと感じで出した」(MF中野晃弥、2年)と積極的に縦へ配球。木原のポストプレーを合図にMF西野太陽(2年)と東陽平(2年)の2シャドーがスペースに飛び出し、ゴールに迫った。

 前半8分、京都橘は、東のパスから西野がゴール前に抜け出し、先制点をマーク。14分にも、DF原田太陽(1年)のフィードがPA左にこぼれると、これを拾った木原が左足シュートを決めて幸先よく2点差とした。

 対する京都共栄は、中盤の底でMF山本祥貴(2年)が巧みな位置取りからのボール奪取と攻撃への関与で存在感を発揮。また、ブラジル・サントス出身のMFガブリエル・ナシメント(1年)が独特の間合いで繰り出すドリブルとキック精度の高さを活かし、反撃のチャンスを伺った。だが、シュートまで持ち込めない。

 後半に入ると、MF後藤寛斗(1年)を投入し、推進力溢れるFW北村迅(2年)とともに相手エリアへ仕掛ける回数を増やしたが、京都橘の守備は崩れない。後半の戦いぶりについて、中野はこう振り返る。「前半は危ない場面が多かった。なので、後半はどこで奪うのかはっきりして、ガブリエルくんがボールを持った時には中盤がしっかりファーストディフェンスに行き、ドリブルが大きくなった時にカバーを入れよう。球際では負けずにいこうと話し合った」。

 すると、後半9分には東からのパスを受けた木原がドリブルで相手エリアを突破。一度は相手にボールを奪われたが、自らの下にこぼれる所で体勢を崩しながらもシュート。「上手く腰が振れた」と振り返る一撃がゴールネットを揺らし、3点目を呼び込んだ。試合終了間際にも原田と途中出場のFW永井友也(2年)が加点し、5-0で京都橘が勝利した。

 昨年はインターハイで3位となり、選手権での躍進も期待されたが、鵬学園高(石川)にPK戦で敗れ、まさかの初戦敗退。西野は「京都では勝てたけど、全国では何もできなかった。個人としてもインパクトを何も残せなかったので悔しい」と口にする。先制しながらも、勝ち切れなかったことを教訓にしたチームは、より白星を貪欲に目指しており、今季は初戦となったJFAアカデミー福島U-18戦を引き分けで終えてからは連勝街道を突き進む。

 選手権での悔しさは、個人にも良い影響を及ばしており、「自分が(チームを)背負って、攻撃も守備も中心になるくらいでやれと言われている」という西野は今年に入り、体重が3キロもアップし、プレーの力強さが増した。彼に負けじと木原も肉体強化に励んでおり、この一年でより逞しさを増していくのは間違いない。目標はチームが、到達したことがない日本一。試合後、喜ぶ選手たちに米澤監督が「まだ通過点だ」と声を掛けたように、更なる高みを目指して、京都橘は力強く進んでいく。

(取材・文 森田将義)

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