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[練習試合]高川学園が0-3から逆転勝ち。がむしゃらさウリのFW福地は“気分転換”を決勝点に繋げる

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後半30分、高川学園高はFW福地優雅(左から2人目)が決勝点

[3.28 練習試合 高川学園高 4-3 長崎総合科学大附高]

 28日、ともに今年1月の全国高校選手権に出場した高川学園高(山口)と長崎総合科学大附高(長崎)が練習試合(35分ハーフ)で対戦し、高川学園が4-3で逆転勝ちした。

 前半は長崎総科大附が攻守で強さを示した。9分、FW岩見海斗(新3年)が左サイドからのFKを右足で直接ねじ込んで先制。さらに20分には、スピードに乗ったドリブルが印象的なFW岩永空潤(新3年)がスルーパスで抜け出し、得意の左足でゴールを破る。

 高川学園は、冷静なゲームメークが光るMF新山大地主将(新3年)や高い位置まで持ち出して攻撃に絡むCB田中誠太郎(新3年)を中心にボールを繋いで攻め返そうとする。だが、長崎総科大附は、献身的な動きを見せるFW牧田陽太(新2年)と岩見の2トップを筆頭としたプレッシングで追い込んでボール奪取。そして、素早いサイド攻撃と正確に繋ぐ部分も見せながらゲームを支配した。

 31分にもFW小田晃輝(新3年)のカットインシュートのこぼれを牧田が押し込み、3-0で前半終了。だが後半、ややメンバーを入れ替えた長崎総科大附を高川学園が猛追する。開始50秒、右クロスからFW中山桂吾(新2年)がヘディングシュート。こぼれ球を自ら右足で蹴り込んで1点を返すと、上手くくさびの選手を活用しながら、テンポ良くボールを動かした高川学園が試合の主導権を握り返す。

 そして10分、前線でFW福地優雅(新3年)がボールを受けると、連動した動きで走り込んだMF北健志郎(新2年)が左足シュートを右隅に決めて1点差。そして20分、中央から細かなパスで仕掛けると、最後は左SB奥野奨太(新2年)からのラストパスを受けたMF末永章太郎(新3年)が右足シュートを右隅に決めた。

 勢いの止まらない高川学園はさらに30分、左サイドの末永がグラウンダークロス。中山がニアでDFを引きつけると、後方の福地が左足ボレーで決めて逆転した。福地は「クロスの時は(中山)圭吾の後ろに入ると決めていて、圭吾がスルーしてくれたので、上手くフリーになれた。ごっつあんみたいな感じです」とコメント。江本孝監督は「総附がメンバーを代えてくれたので」と釘を刺した上で、0-3からの逆転勝ちに「ちょっと自信になりますよね」と微笑んでいた。

 決勝点の福地について、江本監督は「がむしゃらさがアイツの良さ。昨年の秋くらいから自分の特長も出てきた。ああいう選手がプレスに来られると嫌だと思います」と評価する。毎試合守備から入ることをテーマにしているというFWのがむしゃらな動きはチームにとって大きい。

 その福地は立正大淞南高(島根)との第2試合でも貴重なゴールを決めて攻守で連勝に貢献した。先発出場した選手権は2試合で無得点。「FWなのに、なかなかシュートも打てず守備だけ頑張っても……とずっと思っていたので、今年はシュートも決定力を主に考えてという意識でやっていました」と説明する。

 今年もなかなかゴール数を増やすことができていなかった。ここで彼は、決めるために自主練などでシュートを打ち続けるのではなく、思考を変えて打たない選択をしてみたのだという。「自分の中では決められない時はとことん決められないと思っていて、何をしてもダメだから、自主練とかあまりせずに、逆にリフレッシュを。それで気分転換をやっていました」。この日は良い意味でリフレッシュして試合に臨み、結果に繋げた。

 福地は「強いチームに0-3で負けていた状況で、後半4点取って逆転できたというのは結構大きな自信になります」。個人、チームとしても自信となった勝利を今後に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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