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「上には上がいる」岡山学芸館が怒涛の後半6発でプリンス勢対決快勝。文武両道のCB高島がVヘッド

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後半9分、岡山学芸館高CB高島諒人主将が勝ち越しヘッド

[3.29 練習試合 立正大淞南高 2-6 岡山学芸館高]

 29日、立正大淞南高(島根)と岡山学芸館高(岡山)が練習試合(35分ハーフ)で対戦。ともに1月の全国高校選手権出場校で、プリンスリーグ中国に所属する2校の一戦は、岡山学芸館が6-2で快勝している。

 岡山学芸館は新型コロナウィルスの影響による活動停止から、25日に練習を再開したばかり。前半に関しては今年、ファジアーノ岡山U-18から転籍した19年プリンスリーグ中国得点王・FW中田樹音(新3年)がシャドーの位置で推進力のある動きを見せたりしていたものの、得点に結びつけることができなかった。
 
 逆に立正大淞南のクロスなどでゴールを脅かされると30分、FW矢野佑介(新3年)に左足シュートを決められて先制点を献上してしまう。だが、後半開始40秒、DFのマークを外した中田が右SB木下叶貴(新3年)の右グラウンダークロスを難なく合わせて同点。その後もMF末瀬由太郎(新3年)のドリブル突破や後半から出場したMF須賀大貴(新3年)のシュート、そして中田が個でシュートまで持ち込むなど前線のタレントが相手DF陣を苦しめる。

 そして9分、末瀬の左CKをCB高島諒人主将(新3年)が頭で決めて勝ち越し。その高島が「(前半は)前のスピードが遅かったので、そこを速くして行こうと話していました。縦を結構狙うようになって、そこから崩せたという感じですね」と振り返るように、高島の高精度フィードなどから前線のスピードも活かして攻めた岡山学芸館がゴールを連発する。

 12分、須賀のラストパスから末瀬がGKの鼻先でループシュート。3点目を奪うと、直後には右のMF池本康生(新3年)が縦突破から中央へ折り返す。これを須賀が左足ボレーで決めて4点目。そして17分にはキープ力、ゴール方向へ向かう動き、シュートでも違いを生み出していた中田が右サイドから左足ミドルを突き刺して5-1とした。

 立正大淞南はハードな練習を続けてきたことが影響したか、前日の高川学園高戦、長崎総科大附戦に続いて後半に運動量が低下してしまう。MF鈴木暁大(新3年)がドリブルから右足ミドルをゴール右隅に突き刺して1点を返したが、岡山学芸館は34分にも末瀬がカットインからの右足シュートでニアを破り、6-2。岡山学芸館は約1か月ぶりの対外試合だったものの、活動休止期間中にチームから指示されていた自主トレメニューを選手たちがしっかりとこなした成果が出たか、後半も足が止まらなかった。

 岡山学芸館は全国高校選手権1回戦で優勝校の静岡学園高に0-6で敗戦。前半終盤まで相手の攻撃を凌ぎながら勝機を伺っていたが、FKでの失点から6点を奪われた。それでも。高原良明監督は「静学とやらせてもらって、個の高さの重要性を確認させてもらった。相手チームながら見ていて楽しいチームでした」。敗戦は今年のチームの指標になっている。

 静岡学園が見せていたビルドアップでCBが持ち出し、相手選手を引きつける動きは自分たちも取り入れている部分。この日、積極的な持ち出しと左右両足からの好フィードを連発していた高島は「一個上(の岡山学芸館)は強くて僕らは入る余地がなかったという代なのにあれだけやられて、全国の本当のトップレベルとの差を感じたので、中国地方だけで満足していたらダメだなと。練習試合で勝ったりしても自惚れずに、上には上がいるし、あの試合は切り替えが遅かったりして。警戒して僕らは意識してやったのにそれでも上がいたので、切り替えが遅かったらもっと速くして行こうというところもあります」と説明する。選手権優勝校が自分たちの基準。あの敗戦は今年の大きなエネルギーにもなっている。

 全国でのリベンジに燃える選手が多い中、高島は“最後の1年”に懸けている選手だ。進学校の立命館中出身。「大学出て医者になりたいので、大学ではサッカーをやらずに、高校で辞めようと思っています」と決意を口にするDFは、左SB荒井善成(新3年)らとともにスーパーVコースという最上位クラスに在籍し、勉強とサッカーの両立にチャレンジしている。

 スーパーVコースは土曜日や夏休みも授業があるが、サッカーを優先して欠席。遅れを自習して補うなど簡単ではないが、ブレずに大好きなサッカーで全国に出ること、医師になるという2つの夢を叶えることだけを考えている。

 両足のキックに加えてスピードもある高島は、SHからの転向後わずかながら最終ラインの中心選手になりつつある。守備のコーチングや強度の部分を向上させてチームの守備もレベルアップさせること。「ここまで小学校1年生からサッカーをやらせてもらっていた親に恩返しというか、これまで色々な人と携わってきたので恩返しできるように、自分の夢も果たせるように、最後1年頑張りたいです」という高島がチームメートとともに必ず岡山を突破し、先輩の分も全国で大暴れする。 

後半12分、MF末瀬由太郎がループシュートを決めて3-1

(取材・文 吉田太郎)

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