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デフフットサル女子日本代表監督・山本典城氏が「転職」からリスタート

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昨年11月のW杯終了後。山本典城氏(後列右端)のほか、酒井藍莉(後列右から4人目)、岩渕亜依(前列右から2人目)、川畑菜奈(前列右から4人目)も収まった(写真提供:日本ろう者サッカー協会)

 聴覚障がい者がプレーするデフフットサルワールドカップ(スイス)で昨年11月、日本代表監督として史上最高の5位に導いた山本典城(よしき)氏が4月1日付でケイアイスター不動産株式会社に入社していたことがわかった。

 以前から競技と仕事を両立してきた山本氏は、今回の転職についてこう明かした。

「協会にお願いするばかりでは障がい者スポーツの環境は整っていかないと、以前から課題意識を持っていました。2013年から代表監督をしてきて、選手・スタッフの活動も充実させるにはどうすればいいかを模索していた時に、企業に障がい者アスリート雇用を増やし、アスリート自身も存在価値を示すことが障がい者スポーツ界の環境改善につながる一つの方法であり、企業のPRにつながるのではないかと考えていました。そんな時に、主将の岩渕が、自身の所属先であるケイアイスター不動産を紹介してくれました」

 関東を中心に不動産の建築と販売を行うケイアイスター不動産株式会社は、2016年にW杯日本代表副将の川畑菜奈、昨年、日本代表主将の岩渕亜依、そして今年、日本代表の酒井藍莉を採用。別の競技のアスリートをあわせた7人で社内に「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」として活動している。

 同社では地域での体験会やイベントなどを通して障がい者スポーツ界の地位向上を目指し、社会貢献活動をおこなっている。川畑、岩渕、酒井がそれぞれ競技に専念できるようにサポートしながら、さらに障がい者スポーツ支援を強化するために、同社は昨年8月には日本ろう者サッカー協会のスポンサーにもなった。その他ダイバーシティ推進にも注力しており、彼女たちの知見、存在が会社の環境整備にもプラスになると考えている。
PR課に配属された山本氏の監督業のマネジメント経験や障がい者アスリートの環境充実のための提言も、財産にしていきたい考えだ。

 まだ正式には決まっていないが、山本氏は水面下で日本代表監督の続投要請を受けている模様だ。山本氏自身も障がい者アスリートに対する理解がある同社の全面的なサポートを追い風に、『新生・山本JAPAN』で3度目となるW杯で初の世界一を目指し、要請を受託する可能性が高い。

山本氏はW杯で掲げられた巨大な横断幕やメッセージを見て心に響いたという(提供:日本ろう者サッカー協会)

(取材・文 林健太郎)

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