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[蹴活生ガイド2020(関西)]元CBのボランチ、びわこ成蹊スポーツ大MF堂鼻起暉が求める安心感とさらなる高み

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びわこ成蹊スポーツ大MF堂鼻起暉は安心感とさらなる高みを求める

 昨年はFW井上直輝(現秋田)やMF忽那喬司(現愛媛)ら5選手がプロへと進むなど注目度が年々上昇しているのが、びわこ成蹊スポーツ大だ。今年もDF森昂大(3年=創造学園高)、MF上月翔聖(3年=神戸弘陵高)らプロ注目の選手が揃うが、中でも活躍が期待されるのがMF堂鼻起暉(4年=神戸U-18)。フランス代表エンゴロ・カンテ(チェルシー)に憧れるボランチで、今年の活躍次第では、大学史上19人目のJリーガーも見えてくる。

 神戸U-18時代はCBとしてプレーしただけあり、守備力は関西学生サッカーリーグでも上位に入る。ボランチとして本格的にプレーするのは大学に入ってから。「“コイツがいれば、安心できるな”と思われる選手になるのが理想。ボランチをやるからには、攻守に存在感を出せる選手になりたい」と奪ってからの展開も意識した結果、1年目からチームに欠かせない存在となり、リーグ新人賞を受賞した。

 びわこ大が、伝統として粘り強い守備が根付くチームだったのも、彼のプラスに働いた。「当たり前のことを当たり前にこなすのが、びわこの特徴。大学に入ってから守備の戻りや球際の強さをより意識するようになった」。

 大学で順調にキャリアを積む一方で、「1年生から試合に出せてもらっていたので満足していたけど、先輩たちに引っ張ってもらっていた感が強かった」と自分の課題も感じていた。

 さらなる高みを目指すためには、自分を変えなければいけない。学年が上がるに連れ、チームを引っ張る意識が芽生え、後輩たちのコミュニケーションを増やした。昨年は主軸としての活躍を誓ったが、2月に左足の半月板を損傷し、前期は1試合もピッチに立てなかった。一方で、共に汗を流した先輩たちがプロに進んだのは刺激となり、「全員がプロの世界に行っても通用する特徴を持った選手だった。あのレベルにまで行かないとプロになれないと学べたのは大きかった」と口にする。

 また、昨年はインカレ2回戦の筑波大戦で、神戸U-18時代の先輩だったDF山川哲史(現神戸)と対戦したが、セットプレーから2点を決められ、試合に敗れた。「久々に試合をして、哲史くんは凄く上手くなっていた。自分ももっとやらなければと思った」と成長への意欲を高めるとともに、チームが全国で勝つための課題に気付けたのは収穫かもしれない。「全員で守る意識は保てたけど、攻撃は個人頼みになっていた。もっと、チームとして崩せるようにならないといけないと感じた」。

「大学ラストシーズンなので結果を残せるよう頑張りたい」と意気込む今季は、ゴールに繋がるプレーを増やすため、以前にも増して攻撃に顔を出す回数を増やしてきた。現在は活動休止が続くが、自宅でボールを使ったトレーニングや筋トレを行い、再開後に万全のコンディションで挑めるよう心掛けている。チームを初の日本一に導けるかは、彼が攻守でいかに存在感を発揮できるか次第と言っても過言ではない。

※各チーム承諾の上、「蹴活生」たちに電話取材しています。

執筆者紹介:森田将義(もりた・まさよし)
1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。

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