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[J内定者の声]“大学屈指のエアバトラー”G大阪内定、明治大DF佐藤瑶大「環境を見て間違いないと」

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G大阪に入団が内定したDF佐藤瑶大

 日本代表DF長友佑都やDF室屋成。近年、Jリーグに多数の有望株を送り込む明治大から今年もすでに入団内定者が発表になっている。しかし意外にもガンバ大阪への入団者は、Jリーグ開幕初年度から1996年まで在籍した石井壮二郎氏以来になる。大学リーグ屈指のエアバトラー、DF佐藤瑶大は来季より、西の名門クラブでプロキャリアをスタートさせる。

 2、3歳のころにはサッカー好きの父親・竜太さんに連れられてスタジアムでサッカー観戦した記憶があるという。サッカーを始めたきっかけも、3歳年上の兄・稜大さんがやっていたからで、幼少期は地元クラブでサッカーに励み、家族で贔屓クラブの応援に駆けつけるというサッカー一色の生活を送ってきた。

 高校は強豪・駒澤大高に進学。すでに東京を代表するCBとして名前が挙げられていた2年時に出場した高校選手権では、3回戦で得点を決めるなどの活躍で母校を初の8強に導いた。翌年も8強の成績を残すと、自身は高校選抜のメンバーに選ばれて欧州遠征を経験した。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

 プロサッカー選手になりたいという思いを強める一方で、高校時代にJクラブから具体的な話が届くことはなかった。「もっと成長しないといけない」。駒澤大高の選手は駒澤大に進学することがほとんどだが、佐藤瑶は新たな環境に身を投じることを決断。アマチュアサッカー界の知識があった兄に相談して、明治大への進学を決めた。

 最初はサッカースタイルの違いやレベルの高さに戸惑うこともあったが、身体能力の高さは群を抜いており、1年時からAチームに抜擢された。層の厚い明治大にあって早くから頭角を現していた佐藤瑶は、3年生になって完全にレギュラーに定着。大学タイトルを総なめにした19年シーズンの一員として歴史に名を残した。


 逸材に成長した大型CBをプロスカウトが放っておくわけがなかった。そんな中で昨年12月にG大阪の練習に参加。「環境を見て間違いないと思った」。他にも練習参加したベガルタ仙台など複数クラブが獲得に乗り出していたが、宮本恒靖監督と山口智コーチという2人の元日本代表CBがいる環境に魅力を感じたこと、また担当の青木良太スカウトの熱心な誘いもあり、入団を決めた。

「ガンバさんからは10月ごろに声をかけてもらった。それから12月に練習に行きました。他のチームにも行きましたけど、環境を観て間違いないなと思って、キャンプ前に契約することになりました」

 沖縄キャンプには約1週間の日程で参加。一足早くプロ生活を体感した。横に並ぶのはDF昌子源やDF三浦弦太といった日本代表CB。特に同部屋だった三浦が常にDAZNで国内外の試合をチェックしている様子を目の当たりにし、意識の高さを勉強した。

 そして何より、選択時に抱いた「環境」への確信は、キャンプを経ることでより深まった。FW宇佐美貴史のシュート精度や、MF遠藤保仁の落ち着き、ミスをしてしまったあとのアドバイスの的確さなど、驚かされることばかりで大きな刺激を受けた。さらに山口コーチには「ボールが出てこなかった時のポジショングが遅い」と指摘を受け、クロスへのクリアの仕方を含め、付きっ切りで指導してもらったという。

 また初の“関西”に触れることに、「怖いイメージがあった」と笑うが、MF矢島慎也やMF小野瀬康介が優しく声をかけてくれたことで、チームに溶け込むことができたと感謝する。もともと親交のあったDF松田陸やDF黒川圭介、MF福田湧矢の存在も大きく、充実の日々を過ごすことができた。

「自分が決まってから昌子さんの入団が決まった。最初はマジかと思ったけど、どこのチームに行っても出られるかどうかは自分次第。高い壁ですが、代表を狙うためには超えていかないといけない。自分の武器はヘディング。どんな相手にも勝てると思っている。最近は出来ない部分を直そうと思って攻撃のところに頭を持って行かれがちだったが、DFは守ることが大事。まずは守れるCBになりたいと思います」

 宮本監督からは空港での別れ際に細かなアドバイスをもらった。キャンプ中の練習試合で3バックの真ん中のポジションに入ったとき、体力的にきつい時間帯に声を出すことが出来ていなかったことを指摘された。「チームをコーディネートする声を出せるようになってほしい」。正式入団となる来春までに、明確になった課題の克服に取り組むつもりだ。

 特別指定選手としての登録も済ませた佐藤瑶だが、今年一年、基本的には明大での活動を優先したい考えでいる。新型コロナウイルス蔓延の影響で不自由な生活を強いられるが、「体を柔らかくしたい」「食事の勉強をしたい」とレベルアップに努めている。プロ内定者として常に意識を高く保ちながら、リーグ再開の時を待つ。

 次回は北海道コンサドーレ札幌に内定した小柏剛(明治大)を予定。

(取材・文 児玉幸洋)

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