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PCR検査センターを独自で設置へ…村井チェアマンが次々語った「Jリーグがすべき」理由

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村井満チェアマン(会議アプリ『Zoom』のスクリーンショット)

 Jリーグの村井満チェアマンは29日、独自の「PCR検査センター」をJリーグ組織内に設置する方針を明かした。民間の医療機関などの検査機能を圧迫しないことが主な目的。選手を含むチーム関係者とレフェリーは2週間に一度、唾液検体を提出し、新型コロナウイルス感染の有無を確認するという。

 Jリーグは同日、第8回臨時実行委員会を開き、公式戦を6月27日から再開すると決定した。J2・J3リーグを先行開催し、J1リーグは7月4日からの開催。2月下旬から史上最長の中断を強いられている中、ようやくシーズン再開のめどが立った。

 公式戦の開催に向け、選手の感染拡大防止の取り組みもスタートさせる。目玉事業はJリーグ内におけるPCR検査センターの設置だ。「医療機関の邪魔をしないように」(村井チェアマン)という目的のもと、検査実績を持つ事業者とリーグが独自に契約することで、民間への負担を避けながら競技の安全性を高めていく構えだ。

 村井チェアマンは「選手、関係者、レフェリーが2週間に1回検査のできる仕組みをつくっている」と説明し、検査1回あたりの対象規模は約2340人になる見通しを明かした。検体採取は一般的に行われている鼻腔からの採取ではなく唾液からの採取。これにより、1時間に100件程度という迅速かつ大規模な分析ができるという。

 また独自の検査センター立ち上げに至った経緯として「インテグリティとフェアネス」への配慮も挙げられた。日本語ではそれぞれ「高潔さ」「公平性」などと訳される概念だが、スポーツという真剣勝負の場において、とりわけ重視される価値観だ。Jリーグの公式戦はサッカーくじtotoの対象試合となることから、なおさら高度な配慮が求められている。

 村井チェアマンは「あるクラブから近隣の医療機関で行えるという申し出もあり、大変ありがたい思いもあるが、試合出場の判断基準になる検査は中立であるJリーグが行うべきだと考え、コントロール機能をJリーグに置いた。また検査の標準化、採取、収集、分析、管理は極めて重要な守秘義務。プライバシーにも関わるので中立の立場であるJリーグがすべき」とその背景を説明した。

 一方、日本国内では現在もPCR検査が自由に受けられる状況ではなく、検査機能の不公平感につながる懸念もある。このことについて村井チェアマンは「地域事情によってはわれわれからもリソースを解放する考えがある」と説明。もし地域の検査体制が不足する事態となれば、国民にも検査体制を提供する意向も明かした。

 重ねて村井チェアマンは「感染した状態で10数km走ると一気に循環して発症・重症化して、免疫力の低下につながるという医学論文もある」とし、サッカー選手に検査を行う必要性を指摘。その上で「こうしたデータを蓄積していくことはオリンピック、パラリンピックに向けた強化データの一助となるのではないか。また医学界の方とも話したが、サイエンティフィック(科学的)にも重要なデータだと捉えている。活動を通じて恩返しをできていけばいい」と今後の展開も見据えた。

(取材・文 竹内達也)
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