beacon

U-19日本代表候補が合宿最終日に紅白戦行い、染野らゴール。“ジャパンズウェイ”でアジア予選へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

U-19日本代表候補合宿。1得点1アシストのFW晴山岬(右)はアピールした一人

 11日から千葉市・高円宮記念JFA夢フィールドで合宿を行ってきたU-19日本代表候補は合宿最終日の15日、30分×2本の紅白戦を行った。

 この日の練習後にDF田平起也(C大阪)、DF西尾隆矢(C大阪)、MF松本凪生(C大阪)の3人は大阪へ移動し、C大阪U-23のメンバーとしてJ3・岐阜戦のベンチ入り。U-19日本代表の影山雅永監督が「この期間でしっかりと(出場)時間を作ってあげようというのも一つの狙いでした」と説明したように、所属クラブでの出場状況などを考慮して紅白戦のメンバーが組まれた。

 1本目はともに4-4-2システムでビブス白(チーム白)がGK野澤大志ブランドン(FC東京)、右SB三原秀真(愛媛)、CB山崎大地(順天堂大)、CB佐古真礼(東京Vユース)、左SB加藤聖(長崎)、中盤が柴田壮介(湘南)と田中聡(湘南U-18)のダブルボランチ。右MF本田風智(鳥栖)、左MF成岡輝瑠(清水ユース)、2トップは晴山岬(町田)と染野唯月(鹿島)がコンビを組んだ。

 一方のビブスオレンジ(チームオレンジ)はGKが鈴木彩艶(浦和ユース)、右SB畑大雅(湘南)、CB鈴木海音(磐田U-18)、CB西尾、左SBバングーナガンデ佳史扶(FC東京)、中盤は松岡大起(鳥栖)と武田英寿(浦和)のダブルボランチで右MF鮎川峻(広島)、左MF小田裕太郎(神戸)、そして大森真吾(順天堂大)と斉藤光毅(横浜FC)が2トップに構えた。

 15分の給水タイムまで押し気味に試合を進めていたのはチームオレンジだ。ともにボールに多く絡んでいた松岡と武田を軸とした配球から、爆発的なスピードを見せる畑、バングーナガンデの両SBの攻め上がりを活かし、ゴール前のシーンを作り出そうとする。10分には左サイドでボールを持った注目FW斉藤が緩急をつけたドリブル。個で相手の守りを切り崩して出したラストパスに鮎川が合わせる。

 13分にも武田の左CKを中央でフリーの斉藤が頭で合わせたが、シュートは枠右へ。また、松岡が右足ミドルで相手ゴールを脅かした。攻められるシーンの増えたチーム白だが、帰陣が速く、相手の攻撃に少しでも時間がかかると、柴田や田中がその前に立ちはだかるなど穴を作らない。そして、後方から中盤を経由してボールを繋いだほか、好キックを見せていた山崎のロングフィードなどから反撃する。

 チームオレンジは17分、松岡の展開から畑がクロスを上げ、斉藤が頭で合わせるもゴール上。逆にチーム白は1チャンスをものにする。20分、左サイドへのロングフィードを相手DFがクリアミス。すると、抜け出した晴山が素早く中央の染野へと繋ぐ。これを決定力抜群の染野が右足でゴール右へ沈めた。さらにその2分後には、前線の染野と晴山が絡む形から右サイドへ展開。三原の折り返しを本田が鮮やかに右足で決める。晴山や成岡がゴール前へ鋭くスプリントするなど運動量もあったチーム白が、2-0で30分間を終えた。

 2本目はチームオレンジがGK山田大樹(鹿島)、右SB三原、CB鈴木海、CB半田陸(山形)、左SB加藤、中盤は松本、田中のダブルボランチで右MF武田、左MF鮎川、2トップは大森と鈴木唯人(清水)がコンビを組んだ。一方のチーム白はGK野澤、右SB畑、CB山崎、CB佐古、左SB中野伸哉(鳥栖U-18)、中盤中央に成岡と柴田が入り、右MF荒木遼太郎(鹿島)、左MF小田、そして再び染野と晴山が2トップを組んだ。

 2本目序盤は、チーム白の晴山が左タッチライン際を突破。そして染野とのパス交換からフィニッシュに持ち込む。対するチームオレンジは、前日同様前線で迫力のある動きを見せていた鈴木唯のキープから大森がシュートを放つ。

 2本目は激しく攻め合うというよりも、互いに重心をやや後ろに置いた展開。この中でも走力を発揮していた畑や小田がサイドを破るシーンもあったが、お互い簡単にはチャンスを作らせない。U-19日本代表候補にとっては今年初の合宿。チームの戦い方、チームメートの動きを知ることにも時間を費やされた。

 18分頃の給水時にチームオレンジのCBが鈴木海から田平へチェンジ。GKもチーム白が山田、チームオレンジが鈴木彩へ交代した。試合は0-0のまま続き、影山監督の要望で約14分間の“アディショナルタイム”。40分にチーム白の晴山が左サイドから仕掛けてPKを獲得する。これを晴山が右足で左へ決めて1-0。直後にも荒木の仕掛けからゴール前でフリーの中野が右足で狙ったが、身体を投げ出した半田がブロックして試合終了となった。

 影山監督は総括して「(今回の合宿では)守備1回、攻撃1回とかパッと合わせて、あとはミーティングで映像とかやっただけなんですけれども、思ったよりもコミュニケーションを取ってできたパート、組み合わせの部分があれば、そこの部分がなかなか1人2人はできているんだけど、もう1人(3人目)が感じていないなというところがある。良かったところと両方ですね」と語る。

 ただし、全選手が揃っての練習は2日間のみ。指揮官はその期間でチームが出来上がるとは全く思っていない。21年U-20ワールドカップへの出場権を懸けたAFC U-19選手権(10月、ウズベキスタン)までの時間はわずか。他国には1か月もの強化合宿で準備してくるチームがあると想定しており、それに比べると準備期間が短いのは間違いない。それでも“日本らしく” チームを作り、アジアを突破する構えだ。

「我々はリーグ戦文化というものが醸成されてきて、その中で競い合い、そしてコンディションを保ち、レベルの高いサッカーを各クラブでやってくれている。それに理解力の高い選手が絡んできますので、固めてやる他国よりは短い(準備)時間だけども、鍛えて、一人一人がでっかくなっていることと、短い時間(合宿)で理解してもらう。それが日本の“ジャパンズウェイ”だと思う」(影山監督)

 早ければ8月にも再び合宿開催の可能性がある。影山監督は今合宿終了時に選手たちへ「チーム内競争で勝つこと」「試合に絡んでそれが日常になること」を求めた。U-19日本代表候補には、すでにJ1やJ2で出場機会を得ている選手、また出場機会を得られていなくてもレベルの高い選手たちがいる。所属チームでの出場がU-19代表でのレギュラー獲得に直結する訳ではないが、それでもまずは所属チームで経験を積み、成長すること。そして、集結した際にそれぞれが競争心と、「U-20ワールドカップに出るんだ」という気持ちを持ってチーム力を高め、アジアの戦いへ臨む。

(取材・文 吉田太郎)

TOP