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川崎Fが選手権日本一・静学の高速SB田邉秀斗を獲得!SHのような攻撃力と鉄壁守備で「SBの概念を壊す」

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川崎フロンターレ静岡学園高の高速SB田邉秀斗を獲得

「SBの概念を壊す」――。J1首位・川崎フロンターレは13日、来季の新戦力として、静岡学園高DF田邉秀斗(3年、U-18日本代表)の加入が内定したことを発表した。田邉は13日に川崎Fとの仮契約を締結。静岡学園からはMF大島僚太、MF長谷川竜也、FW旗手怜央に続く川崎F加入となる。

 田邉は奈良県の奈良YMCAジュニアユースから静岡学園へ進学。静岡学園の川口修監督はCBとして入学した田邉の将来も見据え、昨年のプリンスリーグ東海開幕時から左SBとして起用した。その後、右SBへポジションを移した田邉は全国高校選手権全6試合で先発フル出場。静岡学園にとって24年ぶりとなる全国制覇に貢献した。

 今年はU-18日本代表、そして日本高校選抜でもプレー。180cmの長身と50m走5秒台の快足の持ち主は今年2月に川崎Fからオファーを受け、「話を伺った時に自分が一番成長できるというか、高いレベルで戦いたいと思っていて、それを実現できるのが川崎フロンターレというチームかなと思ったのですぐに決めました」。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって発表は8月となったが、練習参加無しでのオファーは川崎Fの高い評価の証でもある。

 川崎F強化部の向島建スカウトは、静岡学園OB。昨年のインターハイ予選から田邉に関心を寄せていたという向島スカウトは「(評価の)一番はスピード。(全国高校選手権決勝の)青森山田戦を見ても、人に強い。あれだけの身体とスピードがあれば、十分。静学でボールを握りながらサッカーをするベースはできている。CBとしても十分にやれる」と語り、技術面の伸びしろについても「上手くなる」と期待感を口にしていた。

 元々足元の技術に秀でた選手ではなかったが、静岡学園で公式戦を重ねるうちに川口監督も「上手くなった」と認める進化。とは言え、川崎FはJリーグ随一とも言える技術レベルが必要だ。田邉本人も、現状のままでは試合に出場できるとは思っていない。それでも、J1首位チームで絶対に自分を進化させるという決意の入団だ。

「不安もありますけれども、始めから荒波で揉まれることを、高卒で経験できることってなかなかできない。数少ない選手しか経験できないと思うので、経験をしていこうと思って決めました。日本でもトップレベルのチームということでまだ自分はそこのステージに立てるほどの技術や実力がまだ足りまぜん。1年目からそこに食い込んでいきたいですけれども、静学にも、川崎フロンターレという名にも恥じないような技術のある選手を目指して行きたいと思っています」と宣言した。

 目指すのは「SBの概念を壊す」プレーヤーだ。「SBの概念を壊すというか、『普通のSBではないというSB』になりたくて、サポーターにはそこを見て欲しいですね。自分で考えているのは、“SHが2人いる”くらいの(攻撃的な)プレー。今もSHのような攻撃力を目指してやっています。守備でも絶対に1対1で絶対に負けず、(周囲と)コミュニケーションも取ってサイドは絶対に崩させないというSBになりたいです」。快足を活かした高速ドリブルや対面するDFをねじ伏せるような突破、そして対人守備の強さと高打点ヘッドが武器のSBは、アタッカー並みの攻撃力と鉄壁守備の両方を実現して川崎Fに勝利をもたらす。

 静岡学園では日常的に川口監督の「ヨーロッパで活躍する選手を出したい」という言葉を耳にしてきた。「まずは(川崎F)1年目からスタメンで出たいというのが一番の目標です」という一歩から一つ一つ階段を登り、将来は日本代表、世界へ。静岡学園出身のプロサッカー選手は大島や長谷川のような技術力秀でた名手の多い印象だが、抜群の身体能力を備えた田邉が川崎Fでどのような“化学変化”を起こすか。

「高校3年間でやってきた自主練の質とかではスタメンを勝ち取れない」ということは理解している。食事や身体のケアから徹底し、何よりも静岡学園での残り半年と川崎Fで質を磨き上げて「概念を壊す」SBになる。

(取材・文 吉田太郎)
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