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[関東]中央大DF松本大輔、「夢みたい」なトントン拍子で決まった鳥栖内定

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中央大のDF松本大輔

[10.10 関東大学L1部第12節 慶應義塾大0-0中央大 AGFフィールド]

 前期最終節で辛くも最下位を脱出していた中央大は、後期初戦をスコアレスドローで終え、勝ち点1を積み上げた。

 ただ後半、いくつか迎えた決定機を決めきれなかったという印象も残した。CKから迎えたチャンスを決めきれなかったDF松本大輔(4年=帝京三高/鳥栖内定)も「ああいうCKはCBにとって武器になるところなので、決めきらないといけない」と唇を噛んだ。

 驚きの発表だった。サガン鳥栖から『松本大輔選手(中央大学)2021シーズン新加入内定お知らせ』というリリースが出されたのは今年2月。大学の選抜チームなどにも選ばれたことのない“無名CB”のJ1クラブへの内定発表だった。

 運命の針が動き始めたのは昨年度の大学選手権(インカレ)。先輩DF安部崇士(現徳島)の怪我によってCBでの先発機会が巡ってきたことから始まる。そして準々決勝の関西王者・大阪体育大戦ではFW林大地(現鳥栖)をシャットアウト。さらにセットプレーから2ゴールを奪う圧巻のパフォーマンスを披露し、チームを4強へと導いた。

 鳥栖のスカウトからは準決勝後に声を掛けられたという。ほどなくしてキャンプへの参加が決定。そして「自分の良さは発揮できた」と自身でも手ごたえを感じたというキャンプを終えると、2週間後には獲得オファーが届き、正式契約に至った。

「夢みたい、現実じゃないんじゃないか」

 あまりのトントン拍子に数日は地に足がつかないほどだったようだが、契約書を目の前にすると一気に現実と感じることができたという。

「鳥栖はフェルナンド・トーレスが来てからすごく観ていたチームだった。面白いサッカーをすると思っていたし、行けたらいいなと思っていたチームからオファーが来たのは、正直ビックリしました。でも契約書にサインした時に自分もスタートラインに立てるんだと思いました。若い世代の選手がたくさん出ている印象があるので、自分にもチャンスはあるのかなと思っています」

 18年にDF渡辺剛(現FC東京)とDF上島拓巳(現福岡)、19年にDF安部崇士とDF三ッ田啓希(現松本)、そして今年度は松本とDF深澤大輝(→東京V)。直近の3年間だけでこれだけのCBがJリーグの舞台に巣立っている。ポジションを考えると、排出率は驚異的だ。

 松本によると、切磋琢磨が相乗効果として生み出されているようだ。「剛君の代を間近で見ている。教えてもらっていたので、いい影響になって、自分の力になっていると思います」。また松本にとっては、「ライバルというより尊敬するCB」だという同期の主将DF深澤の存在が大きい様子。「楽しんでやれたらいいけど、盗めるものは盗みたいと思っています」。あと半年となったコンビ生活を無駄にしたくない考えだ。

「自分は言葉よりプレーで見せるタイプ。今は中大の選手として、これだけのプレーをすればプロから声をかけてもらえるんだよというプレーを見せ続けられる選手になっていきたい。今後はより信頼されるような選手になりたい。大輔が出ていればこの試合に勝てる、無失点に抑えられるというような選手になっていきたいと思います」

(取材・文 児玉幸洋)
●第94回関東大学L特集

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