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攻守にアグレッシブなスタイル。「最後まで前に足が出ていた」新田が宇和島東振り切る:愛媛

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先制点を奪ったDF水野颯太を中心に新田高の歓喜の輪が広がった

[10.24 選手権愛媛県予選準々決勝 宇和島東高 2-3 新田高 GF新居浜B]

 第99回全国高校サッカー選手権愛媛県予選は24日、準々決勝を行い、宇和島東高新田高が対戦。DF水野颯太(3年)のヘディング弾を皮切りに3点を奪った新田が3-2で勝利した。新田は31日の準決勝で八幡浜工と戦う。

 手堅い守備で予選決勝まで勝ち進んだ昨年の新田とは違う。「(清水祐貴)監督には強気で行くように言われている」とDF大野哲平(3年)が話す通り、高い位置からの積極的な守備が目を惹くアグレッシブなスタイルが今年の持ち味だ。

 宇和島東と激突した準々決勝でも、“らしさ”は見えた。序盤こそDF三原潤(3年)らがロングボールを入れてくる宇和島東に圧倒され、相手DFの背後に蹴り返す展開が続いたが、時間の経過と共にボールが落ち着き始めた。

「試合前から激しい試合になるかなと予想していた。入りの所で相手に飲み込まれながらも、自分たちの形に徐々に持ち込まれたのは良かった」と振り返るのは大野だ。「得点シーンが多い、サイドに振ろうと思っていた」MF岡田樹(3年)から、「ウチの攻撃の売り」(清水監督)である右の大野と左のDF落合空(3年)がサイドバックの位置から積極的に攻撃参加し、チャンスを伺った。

 前半13分には右サイドのMF中越翔悟(2年)から中央の岡田を経由し、左サイドのMF玉井斗和(3年)がシュート。17分にはMF青野宇矩(2年)の縦パスから岡田がゴールを狙ったが、宇和島東の守備陣に阻まれた。以降も積極的にサイドから見せ場を作った新田は、34分に岡田のパスから中越が上げたクロスを水野が頭で合わせて均衡を崩した。

 後半序盤には、ボールを失っても素早く寄せて、相手陣内でのボール奪取を狙い続けたことが功を奏した。2分、右サイド高い位置で相手のボールロストを拾った大野がゴール前にパス。相手DFに当たったこぼれ球を玉井が押し込んだ。「形は奇麗じゃないけど、ウチらしい形」(清水監督)で宇和島東を引き離すと、10分にはFW日浦和守(2年)がダメ押しとなる3点目をマークした。

 しかし、ここからは後が無くなった宇和島東の勢いに飲まれた。「どっちがペースを掴むか分からない中で先制点を奪えたのは大きかった。そこから流れを掴めたのは良かったけど、後半から段々相手のペースになってしまった」。そう振り返るのは大野だ。18分にはFW羽田皐太(2年)のパスからMF菊池颯(2年)、34分にはGK小関鷹佑(2年)のフィードからMF谷川智哉(2年)に決められ、1点差とされた。だが、何とか逃げ切った新田が勝利。最後は肝を冷やす展開となったものの、清水監督は「最後押し込まれたけど、あれが彼らの魅力。大人っぽくキープしたり、ボールを動かすのではなく、もう1点獲りに行こうと前に行く気持ちが強い。それが彼らの守備にも繋がっている」と選手を称えた。

 昨年は堅守を武器にインターハイ出場と選手権予選での決勝進出を果たしたが、「昨年の戦い方の方が手堅くやれると思うけど、今年の選手は性格的に今のスタイルの方が向いている」(清水監督)と攻守ともアグレッシブなスタイルへ移行している。

 この日の後半のように前へ前へと進むスタイルは失点のリスクもあるが、県1部リーグの5試合で無敗を維持するなど成果が出ている。戦いぶりからも選手の成長も感じられ、清水監督は「最後は怖さを感じたけど彼らは怖さにおびえることなく、最後まで前に足が出ていた。そこは年間通じてやってきたことが出ている」と口にする。

 スタイルチェンジの目的は、昨年果たせなかった選手権出場を掴み取るためだ。「今年は練習から昨年のリベンジを意識しているし、自分自身も最後のCKを外してしまった悔しさがある。その分を取り返したい」と話す岡田を中心に残り試合も新たな新田スタイルを貫き、頂点を手にする。

(取材・文 森田将義)
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