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高校サッカーで学びながら進化続ける1年生レフティー、神村学園MF大迫塁は鹿児島突破して全国で「玖生君と」

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神村学園高の注目ルーキー、MF大迫塁

[11.5 選手権鹿児島県予選準々決勝 神村学園高 3-1 鳳凰高 桷志田サッカー競技場]

 今年、高校1年生で最注目と言える存在のレフティーは、壁にぶつかりながら進化を続けていく。神村学園高MF大迫塁(1年)は昨年、U-15日本代表の中心選手としてAFC U-16選手権予選突破に貢献。高校サッカー1年目の今年、大迫は神村学園中や年代別日本代表で務めてきたボランチではなく、シャドーのポジションに挑戦している。

「ボランチは正直、プレッシャー来てもバンバンはたけるんですけれども、シャドーはどっちかというとゴールに背を向けて受けながらターンしてなので、もっと見て、剥がして、シュートまでとかもっと速くしていかないといけない」と課題を口にする。

 ボランチで自在にボールをさばくことができるのは分かっている。神村学園の有村圭一郎監督は「今年1年目ですけれども来年くらいに前で(ある程度)完成させて、多分本来は後ろだと思うので。今は(成長のために)不具合を起こさせながらやれれば。もうちょっと球離れは速くなると思いますよ。今からどんどん(相手に)捕まって行くわけですから」とシャドーでの起用理由を明かす。

 よりゴールに近く、プレッシャーのかかるシャドーでのプレー。「今日ゴールをどうしても奪いたかった」というこの日は、相手に距離を詰められる中で思うような活躍をすることができなかった。相手を剥がす上手さを見せる一方、ボールタッチが落ち着かず、良い形でシュートに持ち込めない。一つ多くタメてしまったことでDFに寄せられ、ボールロストすることもあった。

 有村監督は「『違い』を見せようとしすぎて空回りしている感じがします。硬かったですね。気負って。できない訳ではないですけれども、良いことをしようとしすぎてプレーが定まらないという感じですかね」と指摘。だが、FWにぶつけてリターンを受けてからのシュートやPA角からの左足シュートなど、彼が決める力も備えていることは間違いない。

 本人も「シャドーでボールを受けて、フィニッシュまでというのをずっと練習していたので、そこは試合で出していきたい」というだけに、シンプルにプレーするべきところはシンプルにプレーしながら、その中で決定的な仕事を求めていく。この日は相手が守備に人数をかける中での戦いで回数を増やせなかったが、視野の広いレフティーはスルーパスやDFを外すドリブルも持ち味。コロナ禍で肉体強化に取り組んできたというMFは、U-16日本代表の森山佳郎監督に指摘されて伸ばしてきた守備面でももっとチームに貢献できるはずだ。

 選手権への思いは強い。神村学園中卒業時はJクラブユースからの誘いもあったが、「高校で、選手権で、優勝して鹿児島からプロになってという思いがずっとあったので。この神村学園が鹿児島で一番全国でトップに行けるチャンスがあると思ったし、(同じ注目1年生の) 師王(福田師王)とか周りの選手も上手いので決めました」という理由で神村学園高へ進学した。

「まずは県をしっかり突破して、全国大会に出るのと自分自身は(U-17ワールドカップの)アジア予選も控えているので、そこで良い状態で臨めるように準備していきたいですね」

 まずは鹿児島を突破することに集中。全国大会で戦いたい相手がいるそうだ。「(昨年の全国大会で活躍した青森山田高のU-17日本代表MF松木)玖生君とは『全国大会で』という話をしているので、青森山田とかやりたいと思います」とコメント。1学年上の注目レフティーと全国舞台で再会するためにも、まだまだ負ける訳にはいかない。

(取材・文 吉田太郎)
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