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遠藤航の投入で戦況一変…久保建英「ずっと受けたかった位置に素晴らしいボールが来た」

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絶大な存在感を放ったMF遠藤航(写真中央)

[11.13 国際親善試合 日本1-0パナマ グラーツ]

 ブンデスリーガで好プレーを続けるMF遠藤航(シュツットガルト)が、日本代表の中心選手だと証明する活躍をあらためて見せつけた。パナマ戦の後半スタートから投入されると、停滞感があった前半の戦況は一変。ピッチの要所に顔を出してピンチの芽を摘むだけでなく、後半14分には決勝点につながるPK獲得の起点となる縦パスも出し、完封勝利に攻守で貢献した。

 FW南野拓実(リバプール)のPK獲得につながるスルーパスを出したMF久保建英(ビジャレアル)は試合後のオンライン取材で、直前の遠藤の縦パスに「ずっと受けたかった位置に素晴らしいボールが来た」と感謝。その上で、次のように語っていた。

「球際でボールを奪ってから、PKの起点のシーンのように速いパスをつないでくれた。見ていて余裕があるなと感じたし、それぞれのクラブで結果を出して自信を持ってきていると思う。自分もその自信を吸収していきたい」。

 今季が初挑戦のブンデスリーガではリーグトップのデュエル数116回を記録するなど、攻守に好パフォーマンスを継続中の遠藤。「シンプルにブンデスリーガでやっていたことを出せた」とあっさり振り返った背番号6の活躍に、スペインで着実に評価を高めている19歳も大いに刺激を受けた様子だった。

 もっとも遠藤個人について言えば、森保ジャパンでの貢献度は昨年夏のドイツ移籍以前から大いに際立っていた。

 チームは2018年9月の発足以来、フルメンバーを招集できる国際Aマッチの通算戦績は18勝3分3敗。その中で、遠藤が出場した試合は11勝1分0敗と高勝率を誇っている。負傷欠場したアジア杯決勝のカタール戦(●1-3)での大敗はとりわけ象徴的だが、チームの勝敗に最も大きな影響を与えている選手だと言える。

 そうした遠藤の武器は冷静に相手の動きと向き合える戦術眼だ。パナマ戦でもそうした類稀なる能力が結果に大きな影響を与えていた。

 パナマ戦の前半、ベンチスタートだった遠藤はスタンドで試合を観戦。ビルドアップに苦しむチームを見ながら「2シャドーと(南野)拓実のところは空いていたので前につけられればチャンスになる」「(柴崎)岳が高い位置を取っていたけど、ちょっと詰まっていた。(橋本)拳人も間で受けようとしていたけど、ワンボランチ気味で捕まりやすくなっていた」と分析していたという。

 そして投入直前のハーフタイム、チームメートに「拓実が孤立して、シャドーが下がり気味だったので、WBがもっと高い位置に出ればいいんじゃないかという印象があった」と修正を指示。また自身がピッチに入ると、前半の分析どおりに縦パスを連発し、南野のPK獲得につながる場面の起点となった。

 遠藤が見せたこうした活躍は、所属クラブでも心がけてきたポジショニングへの高い意識の賜物だったようだ。

「もちろん味方のポジションも見ているけど、僕は相手がどうプレッシャーをかけているかに注意をしている。今日も3バックで(植田)直通がボールを持ったとき、ボールサイドのボランチは掴んでいるけど、逆の僕のところはフリーだったりしていた。相手の立ち位置を見ながら僕の立ち位置を変えている。いいポジショニングを取れていれば、タケ(久保)につけたところは特に難しいことはしていないし、相手の位置、自分の位置、味方の位置を常に把握しておくのが大事」。

 チーム発足時から「臨機応変」「対応力」がキーワードとして掲げられ、ピッチ内での豊富なプレービジョンが選手に求められている森保ジャパン。こうしたコンセプトを体現できる遠藤への期待は、今後ますます大きくなりそうだ。

(取材・文 竹内達也)

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