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帝京が名門復活への第一歩。流経大柏とのプレーオフ制し、ルーキーリーグ全国大会出場決定!

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帝京高がルーキーリーグ全国大会への出場権を獲得

[11.23 関東Rookie Leagueプレーオフ 流通経済大柏高 0-2 帝京高 時之栖裾野D]

 帝京が名門復活への第一歩――。「2020 関東Rookie League」は23日、ルーキーリーグ全国大会出場を懸けたプレーオフを開催した。Aリーグ2位の流通経済大柏高(千葉)とBリーグ1位の帝京高(東京)が激突。帝京がFW齊藤慈斗の2ゴールによって2-0で勝ち、全国大会出場を決めた。これで関東Rookie League代表はAリーグ優勝の静岡学園高(静岡)と帝京に決定。“1年生日本一”を懸けた全国大会は12月に静岡県で開催される。

 選手権優勝6回、インターハイ優勝3回の名門にとって大きな一歩となる白星だ。1年生大会とは言え、10年度のインターハイを最後に全国大会出場から遠ざかっている帝京が、全国切符獲得。ゲームキャプテンのMF押川優希が「名門を復活させたいので、この学年で」と語るチームが、流経大柏相手に堂々の戦いを見せて壁を破った。

 立ち上がり、受けに回ってしまった感のあった流経大柏に対し、「出し惜しみせずに思い切りやって行こうと。球際も、ヘディングも、セカンドも全部自信持ってやって行こうと」(押川)という帝京がプッシュする。前半8分にはクリアボールの処理をもたついた流経大柏の隙を逃さず、齊藤がダイレクトでの右足ループシュートを決めて先制。大会規定によって、全国大会へ出場するためには勝つしか無い帝京がリードを奪った。

 流経大柏は15分に右SB大川佳風のループパスからFW佐藤瑠河が右足シュート。また、MF大堀柊人からのパスを受けたMF竹原伸が切り返しからシュートへ持ち込むシーンもあったが、前半に関しては帝京の鋭いプレッシャーの前になかなか良い形でボールを運ぶことができなかった。
 
 逆に帝京は左SB入江羚介の素晴らしいサイドチェンジや細かなパスワークから仕掛ける回数を増やす。そして、俊足MF橋本マリーク識史らがPAへ潜り込み、齊藤がポスト直撃の右足シュートを放つシーンもあった。

 守りが崩されかけた流経大柏だが、左SB今井祐樹やCB荒井智士、CB岡本亮太郎が身体を投げ出してシュートやラストパスをカットするところはさすが。帝京もCB藤本優翔や押川を中心に堅く、相手をゴールに近づけない。
 
 帝京の指揮を執った松澤朋幸コーチは「一番良いと思うのはハーフタイムにしゃべる量が多いことです」と説明する。自分たちが前半に体感したこと、考えを選手同士で共有。自発的に相手の戦い方、マークの付き方などを再確認し、コーチ陣から助言を受けたチームは、後半も集中力の高い戦いを見せる。

 流経大柏は、後半開始からAリーグ得点ランキング2位(9得点)の俊足MF小西脩斗を投入して反撃を加速させる。8分にはセットプレーの流れから右サイドの大川が斜めのパス。コントロールでDFを外した荒井が右足シュートを撃ち込むが、帝京は186cmGK桑野瑠汐がストップする。明らかに流経大柏の攻撃の迫力が増してきていたが、帝京の守りは揺るがない。

 逆に入江、FW山下凜、齊藤の連係からシュートを放つなど2点目を狙い続けた帝京が大きな追加点を奪う。15分、相手DFラインの背後へ抜け出した山下が右足シュート。これはPAから飛び出してきた流経大柏GKデューフエマニエル凛太朗にブロックされたが、こぼれ球を繋ぐ。最後は左からの仕掛けでDF2人を外した齊藤が、右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 2点ビハインドとなった流経大柏はクロスやロングスローなどでゴール前のシーンを増やそうとするが、帝京は前日のプリンスリーグ関東でフル出場したCB前濵就意らも投入して対応。まずは相手の攻撃を弾き返すことに集中しながら、奪ったボールを繋いで押し返すなど、しっかりと試合を締めて2-0で勝利した。

 帝京の松澤コーチは「1人1人がたくましくなっているのは実感できる。良い自信になってくれると良いです」とコメント。帯同した日比威監督もプリンスリーグ関東メンバーの起用をサポートするなど、チーム全体で勝ち取った全国切符だった。

 松澤コーチは「ここ1か月ほど1年生を組み合わせてきましたが、やればやるほど良くなっています。チームとしての対応の仕方や個のディフェンスのところなど、もっともっと向上できる手応えがあります」。もちろん目標は選手権やインターハイで全国制覇することだが、1年生から全国大会を経験できることは大きい。

 押川は「全国は相手がどんどん強くなると思うんですけれども、自分たちならば全然やれると思うので、自信を持って楽しんでやりたい」と語り、齊藤は「まずはルーキーリーグ日本一を目指してチームとしてやっているので、そこで成長して、1年後、2年後に(インターハイや選手権で)しっかり全国優勝できたら良いと思っています」と力を込めた。激戦区・関東で代表権を掴んだ名門が、来年、再来年のためにも全国大会を勝ち抜く。

(取材・文 吉田太郎)
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