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合宿中にW杯中止の一報…U-19影山監督「世界を獲れたんじゃないかと言われるぐらいのチームに」

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練習試合前に円陣を組むU-19日本代表候補

 国際サッカー連盟(FIFA)が来年予定されていたU-20W杯とU-17W杯の中止を発表したことを受け、U-19日本代表の影山雅永監督がオンラインで報道陣の取材に応じた。

 U-19日本代表候補は21日から千葉県内で合宿中で、この日は午後に関東大学選抜と練習試合を行った。3-2の逆転勝利をおさめた練習試合後、影山監督は「見応えのある試合をしてくれて、逆にモチベーションが上がってるんじゃないかと思うぐらいの試合を見せてくれたのはうれしかった」と選手をねぎらった。

 FIFAが大会の中止を発表したのは日本時間の25日未明。影山監督自身、「私は就寝していたので、朝起きてメッセージがいくつか入っているのに気づいた。半分寝ぼけているときに読んで、一気に目が覚めた。寝ぼけた状態のところに入ってきたニュースだった」と、まさに寝耳に水だった。

 選手に対してはチームスタッフが朝食の時点でこの日のスケジュールは予定通り行う旨を伝え、影山監督はJFA夢フィールドで反町康治技術委員長らと緊急ミーティングを開いた。その場ですぐに「(U-20)W杯がなくなったからといって育成年代の強化を止めてはいけない。W杯に当たらない学年であっても、すべての年代で世界を意識して活動を続けていくことが大事だ」という結論に達し、「(来年3月に延期された)AFC U-19選手権についてAFCからアナウンスがない以上、(活動を)やめる理由は何もないと言ってもらったときは本当にありがたかった」と感謝した。

 このミーティングを受け、影山監督は昼食前に選手を集めて状況を説明。このときの選手たちの様子については「ショックは相当受けていた」と振り返る。「大きな目標を失った心中は察して余りある。ぽっかりと穴が開いた瞬間はあったと思う」。ところが昼食を挟み、練習試合の前にチームでミーティングを開いた際には「みんないい顔をして集まってきた」のだという。「目をぎらつかせて、ファイティングポーズを取ってミーティングに来た。ショックだっただろうけど、個人個人が消化して、立ち直って、ミーティングに来たのは素晴らしいと思う」。これには指揮官もいい意味で驚かされた。

「選手の気持ちが切れてしまったり、モチベーションを失ってプレーできないような選手が出てきたらどうしようかとも考えた。(事態を)消化できない選手、混乱している選手もいるんじゃないか。不安がっている選手がいたらケガも怖いし、個別に話を聞こうと思っていたが、全然そんな必要はなかった」

 練習試合は関東大学選抜に先制を許す展開だったが、1点ビハインドで折り返した後半にFW斉藤光毅の2ゴールで逆転。その後、同点に追いつかれるも、試合終了間際の後半42分にDF成瀬竣平の豪快ミドルで勝ち越した。「ここで見せるんだから燃えたぎっているんだと思う」。成瀬のスーパーゴールに目を細めた影山監督は「成瀬に限らず、一昨日の練習試合よりパフォーマンスを上げている選手が多かった」と選手たちを称えた。

 U-20W杯のアジア予選にあたるAFC U-19選手権は当初、ウズベキスタンで今秋に開催予定だったが、来年3月に延期されている。現時点で開催可否は未知数だが、同代表チームは当然、大会が開催される前提で活動を続けていくことになる。

「(AFC U-19選手権が)あると仮定して、アジアを獲って、アジアチャンピオンになって、『U-20W杯が開催されていたら、あの日本代表、世界を獲れていたんじゃないか』と言われるぐらいのチームになってやろうと思っている」

 そう意気込んだ影山監督は「U-20W杯に出るのは目標の一つであって、そこが最終的な目標ではない」と力説。「個人として五輪やフル代表など上のカテゴリに昇格する、世界で活躍する選手になる。そういうステージに行くことを個人の目標として持っていないといけないし、あるであろうAFC U-19選手権を獲って、彼らが早いスピードで次の舞台へ個人昇格する手助けができればと思っている」と語った。

(取材・文 西山紘平)

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