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初招集で爪痕残した鳥栖DF森下「最初の練習で鼻をへし折られた」森保監督からの課題指摘にも前向き

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初招集でハツラツとプレーしたDF森下龍矢(鳥栖)

 “東京五輪代表候補”として迎えた初めてのテストマッチで、DF森下龍矢(鳥栖)がたしかな爪痕を残した。約60分間のプレータイムで決定的なシュートや先制点につながるクロスを披露した23歳は「今回の合宿で取り組まないといけないことがはっきり見えたので、良い合宿になった」と6日間のトレーニングキャンプを振り返った。

 17日に発表された当初のU-23日本代表候補リストではメンバー外。しかし、負傷辞退者が相次いだのを受けて、合宿初日の21日に追加招集が決まった。磐田U-18、明治大出身の森下にとって、高校時代の2015年以来となる世代別代表への復帰だった。

 ルーキーイヤーの今季は所属先のサガン鳥栖でJ1リーグ33試合に出場。その自信をひっさげて代表チームに合流したが、序盤はレベルの差に衝撃を受けたという。

「率直な感想を言うと、Jリーグで手応えがあったので普通にやれるんじゃないかと思っていい意味で自信を持って入ったけど、最初の練習で鼻をへし折られた」。特にミニゲームでマッチアップしたFW前田大然(横浜FM)のプレッシングには圧倒されたようだ。

 それでも、ここで終わらないのが森下の強みでもある。

「どういう持ち出しをすればいいかを考えたし、使いながら剥がしていくのも策として必要。合宿中いろいろと試行錯誤しながらプレーしていた」。プロデビュー戦で川崎Fに圧倒されながらも着実な成長を続け、出場機会を積み重ねてきたたくましさを代表合宿でも発揮した。

 そうした姿勢はこの日、関東大学選抜とのトレーニングマッチでも随所に発揮された。

 これまで代表経験の少ない選手で構成された先発組に名を連ねると、硬さの見られる選手が多い中でもアグレッシブなプレーを披露。ときおり味方とプレッシングの息が合わない場面もあったが、積極的に声を出しながら攻撃参加を繰り返し、クロスでFW一美和成の先制点の起点となった他、自らも左足カットインシュートで惜しい場面をつくった。

 合宿最終日を終え、オンライン取材に対応した森下はキャンプ序盤を「強度が高く、全然プレーできなかった」と振り返りつつ、「こういうふうに結果には残らなかったけど、勝利に貢献できたのは良い意味で成長できたということだと思う」と短期間でのレベルアップを実感していた。

 合宿期間中には森保一監督から「Jリーグを見ていて、クロスのところで味方に合わせてゴールを奪うところが課題」という指摘をされ、「課題と提言をいただいて、まさしくそのとおりだと思った。自分もゴールとクロスに物足りなさを感じていた。客観的に課題を捉えられているんだなと自信を持てた」と前向きに受け止めたという森下。来年夏の大舞台に向け、さらにスケールアップしてプロ2年目に挑む構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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