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ラストプレー同点弾引き出した高橋のロングスローに場内感心…浦和JYは主力2人の欠場響く

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ロングスローで会場をわかせたMF高橋昂平

[12.26 高円宮杯U-15準決勝 浦和JY2-2(PK2-4)鹿島つくばJY 味フィ西]

 浦和レッズジュニアユースの起死回生の一発はロングスローから生まれた。1点ビハインドの後半33分から途中投入されたMF高橋昂平は、内舘秀樹監督からも「ロングスローを投げてこい」と送り出されていたという。「何回でも投げるつもりで入りました」。

 すると後半アディショナルタイムになって立て続けに迎えたスローインチャンス。高橋がロングスローを投げるたびに、あまり大声を出すことができないことになっている観客席から唸るような感嘆の声があがった。

 そして後半アディショナルタイム4分、右サイドから高橋がゴール前にロングスローを入れると、ボールは混戦を抜けてゴール左に吸い込まれる。そのまま抜けたかにも見えたが、主審の判定は鹿島アントラーズつくばジュニアユースの選手に当たっていたとして、同点弾として認められた。

 ロングスローは小学生の時にプレーしたファナティコス時代から得意としていた。特別、筋力があるわけではないというが、体のしなりを利用して投げるフォームで遠投力に磨きをかけてきた。「普段はニアに速いボールを投げるのですが、今日は負けていたので、誰か触ってくれという感じで投げました」。

 2年ぶりの準決勝まで勝ち上がっていた浦和JYだが、MF関谷輝とGK江橋勇斗が欠場。普段生活を送る寮内で、熱発者が出たためで、PCR検査の結果陰性と判定されたが、大事をとって準決勝、そして勝ち上がった場合でも決勝の欠場が決まっていた。

 驚異の粘りでPK戦まで持ち込んだ浦和JYだが、“2人の約束”を叶えることはできなかった。高橋も「絶対にお前らのためにやってやるというのを電話で話していた。今日は勝って2人を決勝につれて行こうと話していました」と特別な団結があったことを明かす。

 ユースには例年より少し多い11人が昇格する見込みだが、高橋はユース昇格を逃したことで、ベガルタ仙台ユースに進むことになるという。「この試合だけじゃなくて、ベスト4まで来られるチームでプレーできたことに誇りに思って、これからも頑張っていきたい」。直近の目標はお互いに成長した姿を対峙したピッチで見せ合うことだ。

(取材・文 児玉幸洋)
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