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FC東京U-18が3年ぶりのクラセン4強!! 広島ユースのサイド攻撃を「このクラブの伝統」球際で完封

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勝利を喜ぶFC東京U-18の選手たち

[12.27 日本クラブユース選手権U-18大会準々決勝 FC東京U-18 1-0 広島ユース 前橋フB]

 第44回日本クラブユース選手権(U-18)大会は27日、群馬県前橋市のコーエィ前橋フットボールセンターで準々決勝が行われ、FC東京U-18(関東1)とサンフレッチェ広島ユース(中国1)が対戦した。MF角昂志郎(3年)の先制弾を守り切ったFC東京が1-0で勝利し、2連覇を果たした2017年度以来3年ぶりのベスト4入りを果たした。

 FC東京U-18は1回戦で名古屋グランパスU-18に、2回戦でV・ファーレン長崎U-18にそれぞれ勝利。一方の広島ユースは1回戦でカターレ富山U-18、2回戦でカマタマーレ讃岐U-18をそれぞれ下し、ベスト8まで勝ち進んできた。

 試合は激しいボディコンタクト、競り合いの多い展開となった。そんな中、広島ユースは右WBのMF城水晃太(3年)、左WBのMF関祐斗(3年)からのクロスにより、多くの決定機をつくり出す。しかしFC東京U-18もキャプテンのMF常盤亨太(3年)をはじめ、DF古屋颯眞(3年)、DF石井玲於奈(2年)がしっかりと相手の攻撃をはね返し続け、前半は0-0で終えた。

 前半は守勢の時間が長かったFC東京U-18だったが、後半は前へ出て決定機をつくる場面も増えた。そんな中56分コーナーキックのチャンス。DF大迫蒼人(2年)のコーナーキックからニアサイドでヘディングシュートを決めたのはU-17W杯出場メンバーのMF角。「交代した選手の背があまり大きくなかったので、自分が後ろに残らず、余って前に入ったのですが、決められる気がしていました。良いクロスだったので、当てるだけでした。夢みたいだったのであまり思い出せないですが…」と本人もゴールに高揚していた。

 その後は広島ユースが何とか追いつこうと猛攻を見せる。キャプテンMF竹内崇人(3年)が、サイドに散らしたりスルーパスを出したりと多くの決定機をつくり出し、シャドーのMF福崎伶青(3年)も後半だけで3本のシュートを放った。試合終了間際には途中出場MF高柳英二郎(2年)のシュートがクロスバーを叩くシーンもあったが、どうしても得点できなかった。結局最後まで守備の集中が途切れなかったFC東京U-18が1-0で逃げ切り、準決勝の大宮アルディージャU18戦への進出を決めた。

 FC東京U-18の中村忠監督は「攻撃の時間をつくりたかったのですが、広島さんに攻撃で上回られました。しかし後半切り替えて、うちらしい試合ができました」と堅守を生かし勝利できたことを収穫として挙げた。「トップチームも含め、このクラブの育成の伝統ですから負けちゃいけません」という球際の強さも光る試合だった。

 キャプテンの常盤も「サイドバックとサイドハーフの関係性でクロスを上げさせない、上げられたら中で責任を持って戦うことができました」と広島ユースのサイド攻撃に対しても、冷静に対応できたことを勝因に挙げた。

 一方の広島ユースはFC東京U-18のシュート5本に対し、15本ものシュートを放ちながらゴールを奪うことができなかった。高田哲也監督は「相手は勝負強さがありました。決めるところを決めないと…。東京もタフでしたが、うちもしっかり体を張って良い距離感で守備ができていました。だからこそ(失点が)ちょっともったいない。簡単にやられてしまいました」と決めきれなかった部分や、セットプレーの守備を悔やんだ。

 また、例年との違いはやはりコロナ禍だった。「広島の山奥なので、コロナは直接関係なかったのですが、ここへ来て広島県の感染者も増えてきて、大会に来られないかと思いましたが、来させてもらってこういうゲームができたので、次につながります。地方なので、もっとこういうゲームを積み重ねないと強くならないとまざまざと感じました」。本来であればプレミアリーグで強度の高い試合を積み重ねてシーズンを終えるはずが、思うように試合経験を積めなかったことが響いた。それでもシーズン最後にこうした高い強度で僅差のゲームを経験できたことはチームの財産となるはずだ。

(取材・文 小林健志)
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