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崖っぷちからのAT同点劇…最後は東京V内定GKが連続PKストップ!! 順天堂大、2度のビハインドはねのけ全国8強

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GK佐藤久弥(4年=東京Vユース/東京V内定)がPKストップ

[1.9 #atarimaeniCUP2回戦 順天堂大 2-2(PK4-2) 四国学院大]

 2020年度の大学サッカー日本一を決める『#atarimaeni CUP』は9日、2回戦が行われた。順天堂大(関東6)対四国学院大(四国1)は2-2で迎えたPK戦の末、順天堂大が4-2で勝利。11日に行われる準々決勝では桐蔭横浜大(関東4)と対戦する。

 一時は崖っぷちにまで追い込まれた順天堂大が、四国王者の躍進をかろうじて阻んだ。1-2で迎えた後半アディショナルタイム、度重なるセットプレー攻勢も次々と防がれ続け、敗戦も見えてきたところで起死回生の同点劇。延長戦では優勢を保ちながらPK戦に持ち込み、最後は東京ヴェルディ内定の守護神がチームを救った。

 順天堂大は1回戦の東海学園戦を3-0で勝利。2回戦も同じ11人を先発に並べた。布陣は4-4-2。GK佐藤久弥(4年=東京Vユース/東京V内定)がゴールを守り、最終ラインは左からDF杉山直宏(4年=大津高/熊本内定)、U-19日本代表候補DF山崎大地(2年=広島ユース)、DF小林夏生(1年=横浜FMユース)、DF後藤裕二(2年=矢板中央高)。ダブルボランチにMF寺山翼(2年=FC東京U-18)、MF小林里駆(1年=FC東京U-18)が並び、サイドハーフは左にMF白井海斗(3年=清水桜が丘高)、右にMF長倉幹樹(3年=浦和ユース)。2トップにはU-19日本代表候補FW大森真吾(2年=東福岡高)とFW塩浜遼(2年=静岡学園高)が並んだ。

 対する四国学院大は1回戦の静岡産業大戦(○3-1)で全国初勝利を達成。同じく先発の入れ替えはせず、4-4-2のシステムで挑んだ。GK尹将英(3年=四国学院大香川西高)を最後尾に置き、最終ラインは左からDF山下善輝(4年=松山聖陵高)、DF吉松凛(1年=愛媛U-18)、DF野村尚暉(3年=高知丸の内高)、DF福島凌(4年=四国学院大香川西高)。ダブルボランチはMF坂東宥吾(3年=四国学院大香川西高)とMF山内拓海(1年=四国学院大香川西高)が組み、サイドハーフは左にMF吉田源太郎(2年=四国学院大香川西高)、右にMF岡田大介(4年=桜林高)。2トップにはFW神高健人(2年=高松中央高)、FW久保田蓮(4年=必由館高)が入った。

 試合は前半早々に動いた。1分、四国学院大は久保田のパスに反応した吉田が左サイドを駆け上がり、クロスボールをファーサイドに送り込むと、プルアウェーの動きでマークを剥がした久保田がこれに反応。高い打点のヘディングシュートでニアポスト際を打ち抜き、1回戦に続いてのゴールで先制に成功した。

 一方の順天堂大は苦しい立ち上がり。セットプレーから放った寺山のヘディングシュートが枠を外れると、その後もボールを握れるものの勢いは出せず、前半16分には尹のロングキックで最終ライン裏を突かれ、あわや2失点目という神高の突破を許した。堀池巧監督はここで早くも交代を決断。右サイドバックの後藤を下げ、DF小川真輝(3年=川崎U-18)を投入した。

 すると前半29分、順天堂大は右サイド攻撃から小林里が前線に顔を出し、ペナルティエリア内で果敢なドリブル突破を見せてPKを獲得。自らキッカーを務めたルーキーはこれを落ち着いて決め、同点に追いついた。32分には2枚目の交代。右サイドハーフの長倉に代わってMF新関成弥(3年=清水ユース)が入り、右サイドの顔ぶれが一新された。

 ここからは順天堂大が一方的に主導権を握って攻撃を展開。前半32分、白井の左コーナーキックから大森が惜しいヘディングシュートを放つと、38分には左のハーフスペースに潜り込んだ小林里が右足シュートで相手ゴールを襲う。40分にも小林里のスルーパスに抜け出した白井が右足で狙うなど、逆転ゴールこそ奪えなかったが、後半に期待ができる内容となった。

 ところが後半3分、四国学院大がまたも立ち上がりにゴールを奪った。右サイドのスローインを起点に生まれた浮き球を坂東と久保田が頭でつなぐと、中央に絞りながら収めた岡田が角度の小さいところから左足を一閃。高知ユナイテッドSCへの加入が内定している背番号10のボレーシュートが豪快にファーサイドネットに突き刺さり、四国学院大が再びリードを奪った。

 これで苦しくなったのは順天堂大。ハーフタイムに塩浜を下げてMF赤澤蓮(3年=宇都宮短大付高)を入れ、後半9分には白井に代わってDF三國スティビアエブス(4年=青森山田高/水戸内定)を投入したが、パワープレー気味の攻撃もなかなか実らない。

 後半30分、四国学院大は右サイドで再三の突破を見せていた福島のクロスに吉田が合わせると、左足シュートは惜しくもクロスバー。順天堂大は三國、新関、小川のクロスが次々に相手ゴール前に入り、大森や途中出場FW上野瑶介(4年=JFAアカデミー)が好機をうかがうも、1-2のまま後半アディショナルタイムを迎えた。

 ところが最後にドラマが待っていた。後半アディショナルタイム1分、力強い攻撃で相手を押し込み、次々とセットプレーを獲得していた順天堂大は左からのコーナーキックを小川がゴール前に供給。これがニアサイドの相手に当たってファーに流れると、ここに反応したのがルーキーの小林夏。中途半端なバウンドとなったボールを体ごとゴールに押し込み、土壇場で同点に追いついた。

 四国学院大は勝利目前での痛い失点。失点直前には主将の坂東がゴールライン際で決死のブロックを見せるなど、最後の最後まで身体を張って守っていたが、順天堂大の力強さに屈する形となった。それでも迎えた延長戦、主導権はほぼ一方的に順天堂大が握っていたが、尹のスーパーセーブなどで失点はせず。2-2のまま規定の120分間を終え、勝負の行方はPK戦に委ねられた。

 ここで主役となったのは東京Vユース出身で、来季からプロの舞台で古巣復帰を果たす順天堂大の守護神・佐藤だった。四国学院大の1人目には決められたものの、左利きの2人目、右利きの3人目と助走パターンの異なるキッカーのボールを立て続けにストップ。順天堂大は4人目の新関のキックがクロスバーに当たったものの、他の4人は落ち着いて成功させ、4-2で辛くも準々決勝進出を決めた。

 試合後、堀池監督は「今日は何を得たかというと、次に進めるということだけ。あとは何もなかった」と厳しい表情。「トーナメントにおいて先にゴールを取られると苦しい。トーナメントの戦い方をしようよと念を押して入ったが、開始1分で取られ、後半も3分に取られた。入り方の問題があった」と苦戦の要因を指摘した。

 一方、対戦相手の四国学院大については「よく鍛えられている」と称賛。ハーフタイムには順天堂大の選手たちに「相手の良さってなんだ?カウンターも素晴らしいし、守備も連動しているし、プレスバックも1対1もよくやっているよね?と。それをリスペクトしてやらないといけない」というゲキを飛ばしたといい、「(順天堂大も)もう少し身体を張って戦わないといけなかった」と振り返った。

 もっとも、苦戦しながらも獲得した「次に進めるということ」の価値は大きい。次戦の相手は同じ関東の桐蔭横浜大。指揮官は「どことやろうと、目の前の相手を倒して次に進むことがわれわれのミッション。われわれにできることはプレーできることに感謝しながら、一生懸命にやることしかない」と意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
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