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適応力と“94ロナウド”武器にeJ完全制覇! 川崎Fジェイが明かしたモチベーション「いつかTAKUYA∞さんに会いたくて…」

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川崎フロンターレのジェイ

 昨季のJリーグを圧倒的な成績で制した川崎フロンターレが、eJリーグでも絶対王者に君臨している。昨年12月下旬から今月24日にかけて行われた『FIFA21グローバルシリーズ eJリーグ Powered by ひかりTV』では、川崎F所属のジェイがクラブ部門とFUT部門をいずれも制覇。コロナ禍を受けて昨年4月に行われた代替大会に続き、事実上の連覇を成し遂げた。

 前日の『クラブチャンピオンカップ』を制したジェイは24日夜、今度は『FUTチャンピオンカップ』の優勝者として再びオンライン取材に登場。「昨日と変わらず、やれることをやった。昨日とは別モードなので調整が必要だったけど、そういうところに合わせていけたのが大きかった。連日で疲れもあったが、徐々にパフォーマンスを上げられたのが優勝できた要因」と喜びを語った。

 FUTチャンピオンズカップはFIFAシリーズの名物モード『Ultimate Team』で争われる部門。各プレイヤーはオンライン対戦やトレードなどを駆使して実在選手のカードを集め、最強のチームを構築することを目指すモードだ。幼少期から川崎Fのサポーターだったジェイにとって、川崎Fのチームを操作する前日のクラブチャンピオンカップと、自ら獲得した実在選手で構築したチームで戦う同日のFUTチャンピオンシップは意味合いが大きく違ったという。

「クラブではフロンターレのサッカーをして勝ちたいけど、FUTは勝てばいいと思っている」。そんな言葉どおり、この日のジェイは「臨機応変に対応できるのが強み」という自己評価にふさわしい戦い方で大会を制した。初戦の準々決勝でそが(鹿島)を6-1の大差で破ると、準決勝は2019年大会王者のミノ(名古屋)を5-3という打ち合いの末に撃破。決勝は青黒豆(G大阪)を相手に5バックの守備的布陣で臨み、1-0で守り勝って優勝を決めた。

 そうした順応性は、優勝候補のナスリ(鹿島)を筆頭に各プレーヤーを悩ませた公式アップデートへの対応にも光った。先週末に行われたアップデートでは複数のスキルムーブ(フェイントなどの個人技)が弱体化。それでもジェイは「自分はどのスキルムーブに対してこだわりがないので、そこは変わったら変わったで自分も変えていくという気持ちだけ」と冷静に捉えていたという。

 ジェイによれば、決勝での優勝決定ゴールもまさに“アップデート対策”の取り組みの賜物だった。

 ファーストレグの後半43分、ジェイはDFジョアン・カンセロ(OVR86/RTTF)で右サイドのゴールライン際を突破し、ダブルタッチからゴール前へと横パスを供給。これがFWガリンシャ(OVR92/MIDアイコン)を経由し、FWクリスティアーノ・ロナウド(OVR94/TOTW)の決勝ゴールにつながっていた。

「(アップデートへの戸惑いは)ありましたけど、それを踏まえてまた新しく、こういうの使えるんじゃないか?と試しました。決勝の決勝ゴールのところがそうなんですが、ダブルタッチを入れて、そのダブルタッチのツータッチ目でパスをするというところとか、新しい技を練習したきたのが結果よかったです」。

 またこの決勝ゴールには、もう一つのドラマがあった。

 FUTモードにおいては、有名選手に複数のカードが存在するケースが多くある。決勝ゴールを決めたC・ロナウドもその一人だ。中でも強力とされるのがこのゴールを決めた「OVR(選手レート)94」のカード。ジェイもこの大会に向けて前日にゲーム内コインを使用して獲得しようと試みたが、その際に思わぬトラブルがあったのだという。

「ずっと自分はOVR93のものを使っていて、94のものを新しく買おうとした時に、間違えて93のものを買ってしまったんです」。FIFAのカード購入時は選手名や価格でソートするのが一般的だが、それを逆手に取ったプレイヤーがレートの低いカードを高額で出品している例もある。そうした初歩的な引っかけに、大事な大会を翌日に控えた百戦錬磨の有力選手がハマってしまったのだ。

「(日中に連戦で行われたいたクラブチャンピオンで)疲れすぎて、頭が回ってなくて、買ってみてからあれ?って……(苦笑)」。その後、蓄えていたパックで高額選手のFWネイマールを奇跡的に引き当て、売却益で無事に「OVR94」のC・ロナウドを購入することに成功したそうだが、大一番を前にヒヤリとさせられる事件が起きていた。

 そのため、思わぬ苦労を経て獲得したC・ロナウドには思い入れもひとしお。殊勲の決勝ゴールを振り返ったジェイは「本当にこの94のロナウドには思いが込もっていました。感慨深かったです。たぶん自分とその配信を見ていた羽染さん(公式放送の解説も担当)たちにしか分からないかもしれませんが、本当にうれしかったです」と照れ笑いを浮かべながら振り返った。

 そんな紆余曲折も経て、ジェイはeJリーグ王者として東アジアプレーオフへの出場権も獲得した。同じく出場権獲得を左右する毎週のウィークエンド・リーグでも好成績を残しているため、ここでの出場権獲得についてはそう意識はしていなかったというが、20代前半の青年にとってこの勝利はそれ以上に大きな意味があったという。

「正直、プレーオフはあまり意識していなくて……。本当に正直なことを言うと、自分は本当にUVERworld(ロックバンド)が大好きで、いつかTAKUYA∞さん(フロントマン)に会いたくて、会うなら目立つしかないよな、と。じゃあどうする?ってなったら勝つしかないので、勝ってプレーオフに行って……というのがモチベーションでした」。

 愛するクラブの看板を背負い、本家さながらにJリーグを次々に制するeスポーツ界の新鋭は、憧れの人への想いも胸にコントローラーを握っている。

(取材・文 竹内達也)
●FIFA21 グローバルシリーズ eJリーグ Powered by ひかりTV特集

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