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3月にW杯予選再開も…森保J欧州組招集にハードル「難しい情勢であることは間違いない」

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昨年の欧州遠征は欧州組のみで編成された

 日本サッカー協会(JFA)の反町康治技術委員長が10日、技術委員会後にオンラインで取材対応を行い、3月下旬に再開するカタールW杯アジア2次予選に言及した。世界各国では新型コロナウイルスの検疫措置が依然続いており、対戦相手の来日や欧州組の招集など解決すべき課題は山積み。日本国内の情勢も刻一刻と変化する中で、反町委員長は「臨機応変に対応していかないといけない」と力を込めた。

 JFAは8日、3月30日にモンゴルで開催される予定だったカタールW杯アジア2次予選の日本代表対モンゴル代表戦が、千葉県のフクダ電子アリーナで開催されることに決まったと発表した。モンゴル政府の方針により同国内では6月末まで国際試合を開催することができないため、アウェーゲームという扱いのまま日本国内のスタジアムが選ばれた形だ。

 すでに日本代表は他のアウェーゲーム3試合をすべて消化しているため、3月と6月に控えている2次予選の残り4試合はいずれも日本国内で戦えることになった。国家間の移動に大きな制約があるコロナ禍においては大きなアドバンテージ。反町委員長も「コロナの感染拡大前までにアウェーの試合を済ませていて良かったという印象でいる」と安堵の表情を浮かべた。

 だが、課題は依然として立ちはだかっている。

 第一の課題は、対戦相手が日本に入国する際の手続きだ。日本国内では緊急事態宣言が発出された今年1月中旬以降、国外からの新規入国が認められておらず、東京五輪・パラリンピックに向けた特例措置「アスリートトラック」も一時的に停止されている。これに伴い、Jクラブに加入した新外国籍選手・スタッフの中にはチームに合流できていない者も出てきているなど、サッカー界にも大きな影響を及ぼしている。

 現状、10都府県を対象とした緊急事態宣言は3月7日を期限としており、宣言解除後にアスリートトラックが解禁されれば、同25日のミャンマー戦(日産ス)や同30日のモンゴル戦(フクアリ)には間に合う計算となる。反町委員長は「ハードルを越えるために働きかけていくしかない」と割り切りを口にしつつ、「粛々と準備を進めていく」と語った。

 またもう一つの課題は、日本国内での試合に欧州組を招集することができるかどうか。国際サッカー連盟(FIFA)は昨年9月の国際Aマッチ再開以降、国家間の検疫措置により待機期間や移動制限が課される場合、所属クラブの招集義務が免除されるという通達を出している。この影響は日本代表にも及んでおり、昨年の欧州遠征ではFW大迫勇也、MF堂安律といった主力選手の招集に制限がかかった。

 この問題について反町委員長は「FIFAのサーキュラー(通達)が継続されたことで、すごく難しい情勢であることは間違いない」と述べつつ、欧州の中でも国や州によって検疫措置の内容が異なることを指摘。その上で「われわれには欧州拠点があるので連絡をしながら、クラブに帰った場合にどれくらいの自主的な待機や隔離をするのか、一通り調べていかないといけない。すでにそういう資料を整えてほしいと話をしている」と調査を進めていることを明かした。

 そのほか、再開初戦で対戦するミャンマーで軍事クーデターが起きており、同国代表が予選参加を続けるのかという懸念も新たに浮上。反町委員長は「ちゃんと連絡は取れており、情報はしっかりと得ている」と同国協会とのコミュニケーションについては前向きな感触を示した一方、試合開催については「なんとも言えない」と言葉を濁す。

 いずれにせよ、2次予選全試合を消化するためのタイムリミットは今年6月。コロナ禍を受けた国際Aマッチデーの改編により、6月に4試合を行う日程(現状は予選2試合、キリンチャレンジ杯2試合を予定)となっているが、3月の2試合を後ろ倒してしまうと有事に備えられなくなる。「なるべく3月の国際Aマッチデーで本来のスケジュールである2試合をしっかり消化して、できればそこで最終予選の切符を決めたいという気持ちが強い」(反町委員長)。22年冬の本大会出場権獲得に向け、ピッチ外での戦いもしばらく続きそうだ。

▼日本代表、今後のスケジュール
[カタールW杯アジア2次予選兼アジア杯予選]
3.25 vsミャンマー(日産スタジアム)
3.30 vsモンゴル(フクダ電子アリーナ)
6.7 vsタジキスタン(パナソニックスタジアム吹田)
6.15 vsキルギス(パナソニックスタジアム吹田)

[キリンチャレンジカップ]
6.3 vs未定(札幌ドーム)
6.11 vs未定(ノエビアスタジアム神戸)

(取材・文 竹内達也)
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