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帝京大可児から初の日本高校選抜入り喜ぶも、MF小宅「先へ行くための過程」。まだまだ良さ示す

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帝京大可児高MF小宅空大主将は日本高校選抜でさらに評価を上げるか。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 帝京大可児高(岐阜)から初の日本高校選抜入りも、将来への「過程」だ。かつて、FW杉本太郎(現福岡)やFW三島頌平(現岐阜)が年代別日本代表に選出され、昨年12月には2年生MF鈴木淳之介が22年からの湘南加入内定。その強豪・帝京大可児の主将、MF小宅空大(3年)は1月の日本高校選抜選考合宿でボール奪取や前へ鋭い動きなど存在感十分の動きを見せ、23名入りを勝ち取った。

 今冬の選手権で、帝京大可児はV候補・青森山田高相手に自分たちの攻撃的なスタイルを貫いて2点をもぎ取るなどチームとして印象的な戦い。加えて、小宅は選手権のヒーローたちの中でも目立つような個の力があることを印象づけた。

 成長のきっかけになったのは、夏の和倉ユース大会(石川)なのだという。「自分の中ではすごく転機になって、そこから自分の弱いところをもっと上げて、できるだけプラスの方にして行けたらと取り組んできたので、最後の選手権でその部分が出せたのはすごく自信になりました」。帝京大可児は同大会の予選リーグから強さを示していたが、準々決勝で湘南内定MF平岡大陽(3年)擁する履正社高(大阪)に惜敗。個の課題を痛感した小宅は大会後から課題に向き合ってきた。

「中盤でボールを取り切るというのは元々自分の持ち味だったんですけれども、それプラスボールを失わないことと、前にボールを運ぶところ、試合を落ち着かせたり、カウンターする時は自分のパスからチームのスピードを上げたり、試合状況を見てコントロールするというところをできるようになったと思います」

 その成果を選手権や選考合宿で発揮し、チームの歴史に名を刻んだ小宅だが、満足感は全くない。「(日本高校選抜入りは)すごく嬉しいことなんですけれども、自分の目標はここじゃありません。ここから先へ行くための過程だと思っています。今回、良い機会を頂けたので、多くの人に『良い』と思ってもらえるようにプレーしていきたい」と前を向いた。

 目指しているプロ入りは、後輩の鈴木に先を越される形となった。「淳之介のプロ内定を知った時はすごく悔しい気持ちだったんですけれども、そこで腐らずに『早く追いついてやるぞ』という気持ちでやってきた」と小宅。そして、メンバー入りした日本高校選抜の活動を「追いつくためにもすごく良い機会」と捉えている。

 今後は自分のボール奪取力、ゲームメーク力に加え、2、3人に寄せられてもボールを失わない鈴木のようなキープ力などにもこだわっていく考え。「守備もできて、攻撃の部分でも失わずに前に運べるというのはすごく良い選手だと思うので、自分はそういう完璧な選手を目指していきたい」と意気込んだ。

 まずは日本高校選抜の先発奪取が目標。選手権で熱戦を演じた青森山田の選手たちの意識の高さに、「普段の練習からの意識の高さにはビックリして、良くそんなに意識高い選手たちとやり合えたなとビックリしています」と苦笑する。

 また、ボランチは激戦区のポジション。だが、「全然僕よりもレベルの高い選手ばかりだなと選考合宿のときも感じていたので、その中で残れたのは自信になりました。(今回の合宿初日は100%の力が出せなかったが)明日の練習試合とかもそうですし、『NEXT GENERATION MATCH』(20日)のところではしっかりスタメンとして出て、勝ちたい」と誓った。

 帝京大可児の仲井正剛監督から「帝京を背負っているというのもあるし、選手権で良い評価をしてもらったので、それを僕が落とさないように、もっと自分の良さを出して評価を上げて来い、と言われてきました」という小宅が、タレントたちの中で自身と帝京大可児の評価をさらに上げるか。将来へ向けて課題を見つけることにも目を向けながら、小宅は日本高校選抜の練習・試合で100%の力を出し切る。

(取材・文 吉田太郎)
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