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山梨から市船進学の高速SB長田、日本高校選抜で山梨学院勢には「負けられない」の思い持って走り、戦う

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日本高校選抜の高速右SB長田京兵(市立船橋高3年)が右サイドからオーバーラップ(写真協力=高校サッカー年鑑)。

[2.18練習試合 日本高校選抜 5-3 駒澤大]

 中学時代に陸上競技山梨県大会の800m走で2連覇している快足SBは、日本高校選抜で自分の強みをより発揮していくことを誓った。駒澤大戦の2本目と3本目に出場したDF長田京兵(市立船橋高3年)は、2本目に抜群のスピードを活かして右サイドを抜け出し、クロス。3本目にも長い距離をスプリントするシーンがあった。

 この日の2本目は、市立船橋高の1学年先輩に当たる駒澤大DF鷹啄トラビス(1年)と対戦。右サイドを抜け出したシーンでは、鷹啄と勝負する前にパスを選択してしまい、「久々に会って嬉しかったというのがあったんですけれども、自分が仕掛けてトラビスさんと1対1になったシーンでもっと行きたかったなという後悔があります」と悔しがった。

 50m走を5秒台で駆け抜ける長田は、高校選抜の中でも随一のスピードの持ち主。だが、ボールを引き出す回数がまだまだ少なく、良い形で仕掛けた時に決定的な仕事もしなければいけないと考えている。

「今以上にもっとボールに係わっていかないと自分の長所は出せないと思うし、きょう以上にランニングとかフリーランでも良いので増やしたい。その回数が増えれば自ずと受ける機会も増えると思うので、もっとボールに係わって、走って、チャンスを作りたいです」と力を込めた。

 日本高校選抜は長田にとって目標としてきたチーム。「選手権前からちょっと意識していて入りたかったです。ベスト8で負けちゃったというのもあって、『無理かな』と思っていたんですけれども、(市立船橋の波多秀吾)監督から電話が来た時は素直に嬉しくて、逆に『やってやろう』という気持ちになりました」という場所でこれからどんどん強みを発揮していく意気込みだ。

 嬉しい再会もあった。それは中学時代、フットサルクラブのグロウィン(山梨県南アルプス市)で一緒にトレーニングしていたCB一瀬大寿(山梨学院高3年)とともに日本高校選抜入りできたことだ。

 中学時代、長田はフォルトゥナSC、一瀬は甲府U-15と別々のクラブに所属。その上で毎週月曜日の夜にグロウィンでボールを蹴っていたのだという。「アイツは学院行って、自分は市船行って、まさかここで再会するとは思っていなくて……」。2人は高校に入ってからSB、CBへそれぞれコンバートされたために、隣でプレーするのは高校選抜の活動が初めて。だが、長田は一瀬が自分の特長を活かすような配球をしてくれていることを実感している。

 一方で、「学院のやつらには負けられないです」という思いを持っていることも確か。日本一になるために山梨を飛び出した。だが、選手権で日本一になったのは、一瀬らが進学した山梨学院。「実際、悔しいです」という気持ちをエネルギーにしている。

 選手権で長田はチャンスに絡んだものの、思うようなプレーができなかったという。それだけに、日本高校選抜ではチームのために走って必ず勝利に貢献するつもりだ。市船で成長した姿も見せなければならない。「試合に出たら、点取りたいし、アシストもしたい。チームの勝利に貢献できるようなプレーを出したいと思いますし、そういうのも含めて自分の長所を出すというのが一番自分のできることだと思うので、長所を出すことにこだわって、アピールしています」。悔しさも持って日本高校選抜に臨んでいる長田がその思いをぶつけて、ピッチを駆け回る。

(取材・文 吉田太郎)
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