beacon

大迫「優勝したい」。神村学園が前回王者、準V、3位との最激戦ブロックを首位突破し、準決勝進出!

このエントリーをはてなブックマークに追加

神村学園高のU-16日本代表MF大迫塁は守備面での奮闘も光った

[2.21九州高校(U-17)予選リーグ 神村学園高 0-0 大津高]

 男子第42回九州高校(U-17)サッカー大会(九州新人大会、長崎県島原市)は21日、予選リーグ最終節を行った。第4ブロックの首位決戦、神村学園高(鹿児島1)対大津高(熊本1)戦は0-0で引き分け。勝ち点、得失点差で並んだが、総得点で上回った神村学園がブロック首位と準決勝進出を決めている。

 選手権16強の神村学園に加え、前回の九州新人優勝校の大津、同準優勝の九州国際大付高(福岡2)、そして同3位の日章学園高(宮崎2)が同居した最激戦区。そのブロックを2勝1分で神村学園が突破した。

 引き分けでも準決勝進出が決まる状況だったが、2試合で7得点の神村学園に引き分け狙いの考えは皆無。日本高校選抜として20日の「NEXT GENERATION MATCH」に出場後、長距離移動したFW福田師王(1年)も合流したチームは、U-16日本代表のMF大迫塁(1年)を中心にボールを繋ぎ、左のMF篠原駿太(2年)と右のMF若水風飛(2年)の両翼の仕掛けも交えて大津ゴールを目指した。

 注目の大迫は選手権後、トップ下からボランチへ再転向。高度なボールタッチと緩急自在のパスによってチームに落ち着きと局面での打開をもたらしている。チームの共通理解を高めるため、周囲に声がけしながら、状況に応じてシンプルなプレーと細かな崩しを選択。「きょうもはっきり蹴るところや繋ぐところを全員で判断しながらできたと思います」と振り返る。特に後半は2対1の状況を作りながらビルドアップすることに成功。シュート数も前半の2本から7本へと増やした。

 U-16日本代表のエース格として注目を集めた選手権は悔しい内容。「チームの持ち味も、自分の持ち味もあまり出せなくて……負けたのはめっちゃ悔しかったです。ボールを引き出すところとか、ボランチのところからもっとボールを受けられたらもっとチャンスになったのに、そこの顔の出し方とか受けた後の前を向く意欲とかが足りなかった」と振り返る。さすがに敗退後は落ち込んだようだが、切り替えて九州大会ではリーダー格の一人として神村学園を牽引している。

 一方、準決勝進出のためには勝つしか無い大津も平岡和德総監督が「ウチは(個人、チームが進化するために)前からチャレンジしてくれた」と評する戦いを見せる。U-17日本代表候補MF森田大智(2年)をはじめ、個々の技術力が高く、加えて最前線に191cmのU-16日本代表候補FW小林俊瑛(1年)がそびえ立つ今年はロングスローからの攻撃も特長。前半から右SB坂田東梧(2年)が鋭いボールを放り込んでいた。

 そして、後半は攻撃の迫力を増し、特に試合終盤は怒涛の連続攻撃。だが、森田がパス交換から中央へ割って入って放った右足シュートが神村学園GK前納侑世(2年)のビッグセーブに阻まれたほか、シュート精度を欠いてしまう。神村学園は大迫とMF佐藤璃樹(2年)のダブルボランチや最終ラインの選手たちも奮闘。「身体を最後張ってGKも合わせて守ることができたので守備面では良かったと思います」(大迫)という守備によって無失点で終え、準決勝への切符を掴んだ。

 新3年生の世代はU-16時代、球蹴男児U-16リーグなど終盤の失点で勝点を落とすことが多かったのだという。だが、有村圭一郎監督は「昨日も最後追いつかれて勝ち切りましたし、(今日も無失点で終えて)成長している」と頷く。決め切る部分や守り切る部分の成長を示し、最激戦ブロックを制した。

 大迫は「明日2試合あるんですけれども勝ち切って優勝したいと思います」と宣言。全国制覇を目指した選手権は3回戦で悔しい敗退となったが、注目の大迫、福田のほかにも若水や佐藤ら個性的な選手たちが並ぶ今年、経験を糧に積み上げて九州や全国を制すチームになる。 

(取材・文 吉田太郎)

TOP