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「高校生でも大学生相手にやれる」ことを示す。日本高校選抜がデンチャレ初陣で堂々の戦い

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日本高校選抜はFW福田師王(神村学園高1年)の2ゴールで一時2-0とリード

[3.3 デンチャレ 日本高校選抜 3-4 関西選抜]
 
 デンチャレ初参戦の日本高校選抜が初陣で印象的な戦いを見せた。大学生の地域選抜チームが日本一を争う「第35回デンソーカップチャレンジサッカー熊谷大会」が3日に開幕し、緊急参戦の日本高校選抜が大学生の関西選抜と対戦。FW福田師王(神村学園高1年)の2得点で2点を先取した高校選抜は、追いつかれながらも後半15分にFW安斎颯馬(青森山田高3年)のFK弾で再び突き放す。風下の後半に計3得点を奪われて逆転負けしたが、大学生のトッププレーヤー相手に堂々の戦いを見せた。

 細かなポジショニングのズレや、連係を欠いた部分あったことは確か。それでも、立ち上がりから挑戦心を持って大学生に挑み、個々が強みを発揮し、ハードワークも見せた。蒲原晶昭監督(佐賀東高)は「入り方からして選手も『相手が大学生でも関係ない』と考えてくれていましたから、最初の立ち上がりのところからやってくれるんじゃないかというスタートでした。(逆転負けで)悔しい思いはあるけれど、果敢にチャレンジしてくれて3点奪うことができて本当に頑張ってくれたと思います」と頷く。

 そして、「(大学生相手だったが、)全体的に球際のところとか共通していたし、負けないで戦えていた。クロスからの得点が獲れたとか、やろうとしていたことが随所に出たと思っています」と選手たちを讃えていた。

 全国高校選手権の優秀選手を中心に構成される日本高校選抜は例年、春に欧州遠征を行い、デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)に出場する。だが、コロナ禍によって昨年に続いて今年も欧州遠征は中止。欧州の同年代の選手たちのスピード、強度を知る貴重な機会が失われ、選手、スタッフも残念がっていた。

 それでも、関係者の尽力や大学サッカーの理解があって、デンチャレ初出場が決定。蒲原監督は「今回、こういう機会を頂いて感謝している。(欧州遠征と)同等の大会が経験できるというところで、モチベーションになったところがあります」と感謝する。

 高校選抜は全国約4000の高校サッカー部の代表チーム。その責任感と今回の出場をサポートしてくれた人々のためにも、不甲斐ない試合をする訳にはいかない。その思いもこの日のプレーに表れていた。

 蒲原監督は「来年以降、こういう機会を続けて行ければ、高校生にとっては素晴らしい大会だなと感じています。ある程度良い試合をして『高校選抜、入って大丈夫だな』というところも自分たちのこの年代にかかっていると思っていますから、明日もしっかり頑張っていきたい」と力を込めた。

 また、ゲーム主将を務めた安斎は「色々な人の支えがあって出場することができるので、高校選抜としては感謝の気持ちを持つことと、ただ参加するだけじゃなくて『高校生でも大学生相手にやれるぞ』と見せて、自分自身も大学生相手にやれると見せていきたい。明日もう1回高校生が大学生に勝つということを目標にしてやっていきたい」と意気込んでいた。

 キャプテンのGK熊倉匠(山梨学院高3年)が怪我で登録外に。それでも、サポートメンバーとして帯同し、選手間ミーティングなどで「欠かせない存在になっている」(蒲原監督)という。アクシデントがあったものの、選手たちが可能な限りの準備をし、まとまっている高校選抜。4日の対戦相手は複数のJクラブ内定選手も擁する関東選抜Aだが、全員で挑戦し、高校選抜の力を見せつける。

(取材・文 吉田太郎)
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