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元フィオレンティーナMFが振り返るアストーリの死の朝「ピオリの涙。絶望のキエーザ」

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 スペーツィアに所属するMFリッカルド・サポナーラが4日、イタリアのサッカー情報サイト『Cronache di spogliatoio』に手記を寄せ、元イタリア代表DFダヴィデ・アストーリが急逝した3年前を回想した。

 3年前の2018年3月4日、イタリア中を衝撃のニュースが走った。当時のフィオレンティーナの主将、アストーリが遠征先のウディネのホテルにおいて、就寝中にそのまま帰らぬ人となった。この時、同じホテルに宿泊していたチームメートのサポナーラが悲しみの朝を振り返った。

「あの朝、朝食をとりに下へ降りると、マルコ(スポルティエッロ)の部屋の外に置かれた君の靴が目に留まった。その時は『昨晩、忘れてしまったのだろう』と思った。ところがテーブルの上の君のフォークやナイフ、皿、ナプキンはそのままだった。おかしい。君はいつも1番手だったはずなのに。ウェイターが片付けたのかもしれない。それ以上は考えなかった」

「相棒のヴァンサン・ローリニが待つ部屋に戻り、昼食までの2時間ほどを過ごすことにした。するとサイレンが鳴り響き、僕は窓の外をのぞいた。後部ドアが開かれたままの救急車のランプは、いつもより青ざめて見えた。用具係のレオの姿も見える。駐車場を行ったり来たりして、神経質そうにタバコをふかしている。『レオ、何をしているんだい』。彼の声は枯れ、何を言っているのか理解できなかった。窓から身を乗り出して彼に近づいた。その言葉は聞こえていたはずだった。しかし僕は受け入れることを拒否していた」

「『ダヴィデが死んだ!』。頭の中が空っぽになり、電気ショックで麻痺したように感じた。僕は彼の言葉に納得できなかった。納得したくなかったのかもしれない。『もう一度、言ってくれ』と頼むと、彼は繰り返した。僕は目を見開き、ヴァンサンの方を向いた。こんなことをどうやって伝えればよいのか?すると誰かが部屋のドアを叩く音がした。監督だった。そこには涙を流すステファノ・ピオリの姿があった。『ダヴィデはもういない』。そう言うと、止まらない涙を流し続けた」

■キエーザの絶望の叫び
 中でも、当時まだ20歳だったFWフェデリコ・キエーザの動揺は大きなものだった。サポナーラは回想する。

「廊下をのぞくと、チームメートが床に座り込み、まるで石のように固まっていた。何人かはダヴィデに起こったこの事実を受け入れまいとしていた。誰かがホテルの壁をこぶしで叩く音が聞こえた。怒りと苦しみに満ちた叫び声が続いた。『こんなことがあり得るのか!』。なぜ人生はこれほどに残酷なのか。その答えは今も見つからない。フェデ(キエーザ)の叫びは今も覚えている。コントロール不能な絶望の叫びだった。あの宣告を絶対に受け入れようせず、発作的に部屋のあらゆるものをぶち壊していた」
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