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[MOM725]早稲田大GK公文翔(4年)_一般入学から掴んだ夢舞台

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[4.3 関東大学L第1節 早稲田大1-0拓殖大 味フィ西]

「言葉では言い表せないような感情でした。これまでやってきて良かったなと正直に思いました」。早稲田大の開幕戦勝利に貢献したGK公文翔(4年=東農大一高)は充実の汗をぬぐった。

 一般入学から掴んだ夢の舞台だった。名門・早稲田大ア式蹴球部には毎年、高校年代で実績を上げた実力派の選手たちが入ってくる。ただそのほとんどは推薦入学で、一般からの入部がないわけではないが、狭き門となっている。

 公文は各学年に1人か2人いるかの一般受験から這い上がってきた学生だった。入学当時は世代屈指のGK小島亨介(新潟)が4年生で在籍しており、当然、高校時代の実績がほぼ無い公文は一番下からのスタートになっていた。

 ただこれまで3年間で努力を怠ることは一度もなかったという。外池大亮監督も「練習の一番最後まで残って、いろんな選手のシュートを受け続けていた」と評価するほどの選手で、自他ともに認める“努力の人”だった。

 そんな公文に4年目にして最大のチャンスが巡ってきた。同い年で今季の守護神として期待されているGK上川琢(4年=湘南ユース)が骨折離脱。その他にも脳震盪と診断された選手が出るなど、チームが不測の事態に陥ったことで、公文が初めてリーグ戦メンバーに追加登録されることになった。

 さらに外池監督は公文を開幕戦の先発に抜擢した。今季のチームは立ち上げ時、精神的支柱だった上級生が卒業したことによる混乱が見られたというが、そんな中でも常にチームを落ち着かせる役割を担ったのが公文だった。「能力とかじゃなくて、人間として、こいつだったら託せるなと思って起用しました」。

 そして公文はそんな指揮官の期待に満点回答をしてみせる。この日は鈴木俊也(3年=早稲田実高/大宮内定)と西田翔央(3年=東福岡高)の急造CBコンビだったが、的確なコーチングで誘導。さらに終盤にはパワープレーに出た相手の攻撃を好セーブで跳ね返した。結果として完封発進。新チーム立ち上げ以降、練習試合を含めて初めての無失点だった。

「自分が一番下手だと分かって入りましたし、それこそ自分みたいな選手が試合に出ることが勇気を与えられるんだということが、先輩たちの背中をみても感じていました。自分の中でも相当な努力をしてきたつもりですけど、それをやるだけの価値はあるなと常々思ってやってきました。今日のこの瞬間をイメージして乗り切ってきました」

「でも当然これで満足することはありません。関東リーグで勝利に貢献するということを4年間の目標でやってきていたけど、それが今日いい形で達成できた。目標を塗り替えて、チームの勝利に貢献し続けること、そして優勝させるところまで持って行ければいいなと思っています」

 追加登録時の用紙には“早稲田イチ努力の似合う男”という紹介文が添えられた。文字通り努力で関東リーグ出場をつかみ取った。一般受験の選手でも頑張れば関東リーグ開幕戦スタメン出場ができる。この事実だけでもチーム内に好影響を与える出来事となりそうだ。


●第95回関東大学L特集

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