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テーマは「自分の常識を変える」。廣山望監督率いるU-15日本代表候補が始動合宿

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廣山望監督率いるU-15日本代表候補が23年U-17ワールドカップへ向けて始動

 06年生まれ以降の世代で構成されたU-15日本代表候補(06ジャパン)が、今月19日から高円宮記念JFA夢フィールド(千葉県千葉市)で強化合宿を行っている。21日は午前に約90分間のトレーニング。6対5(+GK)のオフェンス・ディフェンスやゴールをつけての4対4などを行った。

 今回は、23年U-17ワールドカップへ向けたチームの始動合宿。指揮を執るのは、現役時代にJリーグのほか、南米や欧州、日本代表でのプレー経験も持ち、コーチとして19年U-17ワールドカップなどを戦った廣山望監督だ。

 今回の合宿は「自分の常識を変える」ことがテーマ。ピッチ内ではプレースピードの速さや判断の質について、またピッチ外では良いプレーをするためにどう準備をするか……。中学生と早生まれの高校1年生が、ピッチ内外で様々な「気付き」を得ている。この日はまずゴールを奪う・守ることの本質の部分を大事にしながら、どのような戦いにも対応できるように個人戦術の部分に刺激を与えられていた。

 22日までの合宿で、何かしら自分の「基準を変える」(廣山監督)。そして、指揮官が「来た選手が積極的に(変わった基準をチームで)実践して、追いつけ追い越せでやってくれれば」と加えたように、基準を変えた選手が所属チームに持ち帰り、チームメートたちの基準も変えて行くことが期待されている。

 これまでならば、始動した年の秋にU-17ワールドカップアジア1次予選が行われ、翌年にアジア最終予選。海外遠征やアジアでの厳しい戦いの中で成長しながら段階的にU-17ワールドカップへ向かっていく流れがあった。

 だが、コロナ禍で海外遠征も難しい状況にある現在は、一回一回の強化合宿が重要になってくる。廣山監督が「何よりも本人が変わって、成長角度を変える準備が一番大事」というように、限られた環境の中で選手たちが基準と意識を変えて、また日常を過ごすこと。そして、成長角度を高めた状態でU-17ワールドカップを迎えてベスト4、決勝へ勝ち上がる経験をし、A代表でのワールドカップベスト4以上という成績に結びつけていく。
 
 廣山監督は今回招集した選手たちについて、「(良い意味で)落ち着いている」と表現。そして、「身体づきや動きだったり全体的に面白いという印象ですね」と評した。彼らは求められたことを積極的に表現しようとする姿も。この日の6対5(+GK)では、シュートを打つことで生じる効果についてのアドバイスを受けた直後にMF石井陽(前橋FC)が素晴らしいミドルシュートを打ち込むなど、一つ一つのメニューで変化する選手たちの姿があった。

 昨年末に1歳年上の世代のU-15日本代表候補合宿に参加していたMF中島洋太朗(広島Jrユース)が「違いを見せて一個上の代表に」と個人昇格への思いを口にし、2年生レギュラーとして全日本ユース(U-15)選手権優勝を経験しているCB大場章太郎(鳥栖U-15)は「リーダーシップを取って、みんなを引っ張っていきたい」と意気込む。そして、石井が「(課題を)解決してU-17ワールドカップやA代表のために」と誓うなど、それぞれが目標を持って06ジャパンでの活動をスタートしている。

 その選手たちは、廣山監督のいう「人と違う自分を作り上げるきっかけ」に早く気付き、自分を変えていくことで目標に近づいていく。今回招集されていない選手も、06年生まれ以降全ての選手が代表候補。才能たちは競争し、将来のために17歳で世界と真剣勝負するチャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)

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