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東京五輪組み合わせ抽選後、高倉麻子監督会見要旨

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 日本女子代表(なでしこジャパン)の高倉麻子監督が21日、東京五輪組み合わせ抽選会の結果を受け、オンライン取材に応じた。

 以下、高倉監督会見要旨

――抽選会を終え率直な感想。
「対戦相手が決まってホッとしている。ちょっと前から対戦相手は気になっていたので、あしただなとドキドキワクワクだった。落ち着いていろんなことを進めていけると思う」

――対戦相手のそれぞれの印象は?
「最近一年間空いているので、各チームに変化があったと思うが、カナダもイギリス、イングランドとしてですが、よく対戦はしている。そのチームの核になる選手やスタイルは分かっていますが、逆に相手も自分たちのことはよく研究していると思う。チリに関しては多くの情報はないが、南米なのでテクニックの高い選手がいると思うし、勝負に対してチームとしても老獪なものを持っているのかなと思う」

――スカウティングはこれからだと思うが、これからどう積み上げていきたいか。
「もちろん対戦相手に対する対応をしていくが、まずは自分たちのやるべきことを攻守ともに積み上げないといけないことに軸を置いて強化していきたい。また、自分たちのできること、苦手なことを把握して、対戦国との力関係も含めて考えていかないといけないと思う。なんといっても短期決戦なので、チームが勝利に向かってまっすぐに気持ちを一つに戦っていけるかが大事。選手の気持ちの部分でも、いまはなかなか厳しい状況だが、みんなで一つになって戦っていければと思う」

――カナダをどう見ているか。
「カナダは長いことシンクレアというCFに素晴らしい選手がいて、数年前までは世界大会でも上位に食い込む力があったが、いまは世代交代の中で波があると感じている。もちろんこの大会に向けて仕上げてくると思う。隣の国アメリカでプレーする選手も非常に多いので、力強さ、破壊力を持っていると思う。最近の試合も分析しながら戦い方を考えていけたらと思う」

――イングランドにはSBCでもW杯でもやられている。勝つためのポイントは。
「よく当たるんですよね。イングランドは非常にパワーのある選手が多く、上手さや変化をつけることは少ないが、ホワイトという素晴らしいストライカーがいて、抜け目なく試合を決めてくることが多い。試合が終わる度に内容を振り返ってみると、決して負けていないだろうと思いながらも、結果は負けているから言えないんですが、悔しい思いをしているから、今度こそという思いはある。いかに爆発的な一発を出させないかがポイントになる。それは選手たちが敗戦の中で学んできているものだと思うので、対応していけると思うし、やられてばかりではいられないので、ぜひいい試合をして白星を挙げたいと思っている」

――抽選会は森保監督と一緒に見守った。男子は死の組。決まった瞬間は?
「盛り上がる予定だったが、意外と真剣に見てしまって、お互いに声をかけることもなく、(質問者の)ご期待に添えない(笑)
 強いチームと試合ができるのは女子も男子もそうだが、選手にとってもチームにとっても幸せなこと。全員が一つになって全力で戦うことに集中するべきだと思う。『死の組』という言葉が皆さんは好きだなと思うが、どこに入っても厳しいし、死ぬ気で戦うというか、対戦相手がどこでも全てを出すのは変わらない。そういう話は雑談でしたが、お互いに勝ち進んでいきたい気持ちは強い。頑張ろうというふうにお互い声をかけました」

――五輪は2大会ぶりだが、100日を切った状況で準備において最も注意したいこと。
「前回五輪を逃して、選手含め関係者の落胆は非常に大きかったし、その悔しさは今も忘れていない。まず大会に出るにあたっては喜び、責任をチーム全員が背負って戦っていかないといけないと思う。チームづくりの根幹というか、選手のパフォーマンスとチーム戦術をいかに高いところまで上げていくかというとこと、短期決戦の中でチームがどれだけ国を背負って戦う覚悟を持って大会に臨めるかが大事になる。チームの技術的なことと戦術的なこと、心の部分という2つを最高の高いところまで持っていかないといけない。選手と共有しながら大会に入っていきたい」

――札幌ドームでの2試合の戦い方。
「最初は北海道が会場ということで、体力的なところでは北海道にいるほうが気温が低いのかなというところで、調整もしやすいかなと思っているが、もちろん真夏のコンディションの中、2週間で6試合を戦う。フィジカルコーチと暑熱対策含めてどうするかは考えている。合宿中から繊細にやっていきながら、初戦、2戦目を北海道でしっかり勝っていきたい」

――逆に、北海道での試合は暑さに弱い対戦国に有利に働く可能性もある。予選突破を見据え、この試合順は?仮に3位突破では8強で強豪とぶつかる。
「夏が暑ければ暑さの苦手な国は少し力が発揮できないという気持ちもなくはないが、そういった細かいことは大会に入ってみないと分からないし、チーム状況も選手のコンディションがどうなっていくかは細心で作っていく中になると思う。こうなったらこうと考えすぎて大きな幹のところをブレないようにしないといけない。体力的なことでどう、暑さがどうこう、対戦順がどうこうもあるが、その時のベストを作ることを考えることでチームが上がっていくと思う。考え抜いた末にでもシンプルに一つの試合に対してベストを尽くして戦う姿勢で大会を戦っていけたら」

――対戦国の顔ぶれは選手選考に影響するか。6月の親善試合は対戦国を想定してマッチメイクするか。
「選手が非常に良いパフォーマンスなので、誰を選考するかは頭が痛いところ。対戦相手どうこうよりはパフォーマンスの高い選手、相性の良い組み合わせを考えながら選手を選んでいくと思う。これからの対戦国についても予選リーグを想定しつつ対戦相手を選んでいきたいが、こういう状況の中ではなかなか難しいところもある。様々考えていく中で(6月の)対戦相手も決まってくると思う」

――ランキング上位のチームと戦ってきた経験値が生きる。
「私自身が強いチームとやっていきたいという思いがある。難しい試合も多かったし、選手選考でも軸が見えてこなかったり、決まってこなかったりという中でここまできている。いまこの段階になって、選手のパフォーマンスの充実度は私自身は高い期待を持っている。年代別代表で優勝を経験した選手たちが多い中で恐れずにプレーできるんじゃないかと思う。あまりどこと対戦するからといって引け目を感じる選手はいないし、逆にやってやるというメンタリティーを持った選手が増えてきたので、期待をしていきたいと思うし、いままで結構多く傷ついてきたので、その分を返す番になってきた。驕ることなく謙虚に、自分たちの足元を見つめて一つひとつ階段を上がっていきたい」

――イギリスとグループリーグで戦うことでベスト8での対戦を避けられた。
「イギリスかスウェーデンが入ってくる状況だったので、どっちがやりやすいかと考えたりもしたが、私の中ではどちらでも大丈夫というか、しっかりやれると思って抽選を見ていた。やっぱり来たんだなと思った。日本の歴史の中で予選リーグで当たることも多かったので縁もあるんだろうなと思いながら。素晴らしいチームと対戦できることを楽しみにしている」

――イングランドとの対戦で感じた差。
「イギリスが持っていて私たちが持っていないのはゴール前の爆発力や、ゴールへ向かう力強さ。そこはイングランド・イギリスが一枚上手なのかなと思う。逆に、上手さ、ボールをつなぐ技術、崩しのアイデアは日本は負けていないと思う。相手が長い刀を持っているとしたら、私たちは短刀で戦うようなところがある。懐に入って差し込んでいければ。長い刀にやられないところは負けの経験の中で今の選手たちが経験しているので、うまくやってくれるんじゃないか。リスペクトは高いし、胸を借りるつもりで精一杯やっていきたい」

――監督はメダルを目指してきた。改めて目標は。
「はい、メダルです。それしかいうことはないんですが、みんなが待ち望んでいるもの。秋にプロリーグも始まるし、東京五輪はいろんなことがある中での大会になるが、メダルを取って女子サッカーのみならず、勇気を持ってみんなが前に進めるような、光になれるような戦いをしていきたい」

――最大のライバル・アメリカとの対戦への意識。
「アメリカと決勝の舞台で戦いたいというのはあるが、私たちは一歩一歩、一つひとつ大事に試合を戦っていくだけです」

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