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「私自身もエリートではなかった」ダビド・ビジャ率いるスペイン挑戦トライアウト始動! 18歳以上の参加募集中

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『ゲキサカ』の単独インタビューに応えたダビド・ビジャ氏

 元スペイン代表FWのダビド・ビジャ氏が率いる『DV7グループ』は6月、スペイン挑戦権をかけたトライアウト「Road to Spain 2021」を東京と大阪で開催する。昨年の第1回では合格者2選手がスペインに渡り、4部リーグ所属のUDジャネーラとの契約を締結。今年も合計200人のエントリー選手を募集している。

トライアウト「Road to Spain 2021」詳細はこちら

 『ゲキサカ』ではトライアウトの開催に先駆け、ビジャ氏へのインタビューを実施。海外挑戦に向けて熱意を燃やす育成年代プレーヤーへのアドバイスをもらった。

■「夢を叶える場所を提供したい」

—今回行われる『ROAD TO SPAIN』セレクションは「欧州で通用する選手」を見出すことになると思いますが、どのような選手に挑戦してほしいと考えていますか。もしよろしければ、ビジャさんがいままで出会った選手の中で、お手本になるような選手を例に教えてください。
「私が関わった全ての選手それぞれが手本となる存在だったので、難しいのですが、ただ一人、顕著にわかりやすく説明できるという選手で言えば、クリスティアーノ・ロナウド選手は自分を高めるための努力をとてもよくしていた選手だと思います。彼のデビュー当時と現在の写真を比べてみてください。そこには顕著な肉体的な変化が見て取れるでしょう。」

—C・ロナウド選手のフィジカル強化の例が出てきましたが、特に日本人選手が日々取り組むべきことはどのようなことだと考えますか。
「日本人選手だから、フィジカルが大切だと単純にお話ししたのではありません。ポイントは彼のように、デビューした後もなんらかの形で進化を続けられる選手こそが、真の手本である。ということです。選手が成功するために必要なものは、フィジカルだけ、技術だけということはありません。トップレベルにたどり着くためには全ての要素を向上させる必要があるのです。速い選手が速さだけを鍛えれば良いかというとそういうわけではなく、他に習得すべきものがピッチの中にはいくつも存在します。トップにたどり着けない選手の中には、育成時代では通用した自分のストロングを活かすことばかりを考えている選手が多いことはヒントとなることでしょう。そこにどれだけ早く気付けるかが大切と言えます。

これは私の中である種、成功するための秘訣と言えるのですが、自分自身を客観的に、正確に認知できるように、常に頭の中を鍛えてゆくことが一番大切です。つまり、自分の能力がどういうものであるのか、どういう特徴を持っているのか。自分の性格や、考え方の癖はどうか。を認識して、それらの強みと弱みを分析し、それに伴った、広い意味でのトレーニングを続けることが、選手として高みにたどり着くためには大切なのです。日本の選手だからとか、ヨーロッパの選手だからというわけではなく、選手として常に、すべての能力を高めることを意識しながらプレーヤーとしての時間を過ごすべきだと考えています」

—今回のセレクションではどのような選手が合格に相応しいと考えますか。
「二つの要素があると考えています。一つはもちろん、サッカー選手としてスペインのトップカテゴリーで将来プレーできる「ポテンシャル」を秘めていることです。特に、スペインのサッカー文脈の上で活躍できそうな、潜在性を秘めていることは必要です。それに加えて、海外生活に慣れることができる「適応力」が大切となります。言葉も含めて全く違う環境の中で、いまある能力以上のものを出さないといけません。つまり、ピッチ内外での適応力が鍵となるのです。それを可能とするキャパシティ、人間性を持った選手がROAD TO SPAINの合格者としてスペインに挑戦する権利を持つ選手だと思っています」

—生活面だけでなくピッチ内にも日本と欧州の違いがあると思います。先日は酒井高徳選手による「日本と欧州のサッカーは別物」という発言が話題を呼びましたが、サッカーの面で適応するための秘訣はありますか。
「正直、別物だとは私は考えません。純粋に日本のサッカーとヨーロッパのサッカーの違いが何かといえば、そこにいる選手のクオリティーが違うものになると思います。リーガ・エスパニョーラで言えば、世界最高の選手たちが集まっているリーグです。彼らと日本の選手と同じかと言えば、一人一人を見れば全然違うわけで、チームに関してもレベルという言い方が正しいかはわかりませんが、クオリティーが純粋に違うのだと思います。ただ、スペインの選手が日本に来れば日本でナンバーワンの選手になれるかというと、そういうわけではなく、ヨーロッパと日本の質が違うという状況の中、さまざまな文脈が存在するサッカーというスポーツの中で、それぞれの違いを認識しながらプレーしないといけないということです。日本とヨーロッパの文化が違い、そこでプレーする選手の質も違うとなると、酒井高徳選手のような認識になるのかもしれません。ただ、別のスポーツをするわけではなく、サッカーという同じスポーツです。適応できるようになることは十分可能だと思います」

—適応をするためにはその文化に飛び込むことが大事になると思いますが、日本の選手たちがあえてスペインで挑戦する価値をどのように考えていますか。
「今回のROAD TO SPAINの存在意義は、選手達の価値観の多様化に応えてゆくためのものだと思っています。スペイン人にもリーガ・エスパニョーラでプレーしたい選手もいれば、プレミアリーグを目指す選手もいるように、日本人でもJリーグを目指す選手もいれば、海外でプレーしたい選手もいる。ROAD TO SPAINは、ヨーロッパで活躍したいと願う選手の夢を叶えられるようなプログラムとなっています。選手一人ひとりが自分たちのキャリアを切り開くにあたり、私たちがそれに応え、夢を叶える場所を提供できるようにしたいと思います」

—ここから、「のしあがって」いきたいと願う選手が集まると思いますが、そのような思いを持っている選手にメッセージをください。
「私自身も二部のクラブからキャリアをスタートしていますし、決してエリートではありませんでしたので、そういった向上心をエネルギーに代えて努力してきました。プロになれる選手となれない選手の技術、フィジカルの差は、正直なところ、紙一重です。しかし、プロとして高みを登ってゆける考え方、習慣を持っている人間へと成長できるかどうかで、大きな差が生まれてきます。私たちのROAD TO SPAINは、そういった面でもバックアップしていきます。このプロジェクトを通じて見いだされた日本人選手が、将来スペインでトッププロに辿り着けるよう、願っています。」

 また今回『ゲキサカ』ではビジャ率いるDV7グループの日本側の組織であるDV7ジャパン代表の、神蔵勇太氏にもインタビューを行った。前職はヴィッセル神戸で通訳として活躍した神蔵氏がプロジェクトにかける意気込みを語った。

—今回のプロジェクトにあたっては、どのような思いで臨まれていますか。
「以前バルセロナにてサッカー関係の仕事に長年携わってきましたが、一部の商業主義の留学斡旋業者により、夢を見失ってしまった選手をたくさん見てきました。個人的にも日本サッカーの将来を考えた時に、育成の高度化が加速するヨーロッパサッカーの流れに触れて危機感を持っていました。
今回私自身、DV7グループの一員となりましたが、ビジャ、DV7グループのスペインにおける信頼は絶大です。夢を持って渡航する日本人選手が力を発揮するための機会を確実に提供できる、しっかりとしたスペインへのルートを構築することが、私たちのできることなのではと考えたのです。各クラブもビジャの顔をつぶすわけにはいかないので、しっかりと応えてくださっています。」

—他のトライアウトプログラムとの違いはどのような点でしょうか。
 「この「Road to Spain」では強固なサポート体制を構築し、トライアウトの段階から、ビジャ本人含めたスペイン・日本混成の評価チームが選手を見極めて、期待値とズレが少なくなるようにクラブ側とのマッチングを慎重に検討していきます。
海外武者修行のよくある問題は、実際に何が通用して、何が通用しなかったのか、クラブがどう見ていたのかよくわからないまま帰国してしまい、その後につながらないことです。 私たちは選手達がクラブと正式契約した後もシーズンを通じて、選手の適応を促進するためのサポート体制を設けてまいります。」

—昨年度ではどのような手ごたえを得ましたか。
「昨年度の募集時には正直どれだけ指導者の方々からサポートをいただけるかが心配でしたが、蓋を開けてみるとむしろ好意的で「海外に行きたいという思いは尊重したいが、しっかりとしたバックアップがある信頼できるルートがこれまでなかった。ぜひうちの選手をお願いしたい」と、J下部組織、大学などの育成年代の指導者達のからコンタクトをいただきました。今年以降も地道に続けていけるように努力していきます。」

■Road to Spain 2021とは
 昨季発足した「Road to Spain」プロジェクトは①国内でのトライアウト、②DV7グループによる費用面を含めたバックアップのもと、スペインで契約を勝ち取るための練習参加、③現地クラブでシーズンを戦って上位カテゴリに挑戦。の三段階を進む年間プログラム。昨年度はトライアウトを勝ち抜いた2選手がスペイン4部クラブの契約を獲得し、クラブの正式な所属選手として20-21シーズンを戦っている。

 トライアウトの詳細などは以下のとおり。申し込み、問い合わせ、注意事項などは(https://dv7soccer.jp/wp/へ)。

▼応募資格
(1)18歳以上の男性サッカー経験者(GKは対象外)
未成年者は保護者の同意が必要
(2)2020-2021シーズン中のスペインクラブとの契約締結に向け、障害となる(現契約解除に伴う違約金が発生する等)契約を有していないこと
現在チーム所属選手は所属チームからの許可書を取得し、提出すること(フォーマットは自由)
(3)スペイン渡航に有効なパスポートを取得している(できる)こと

▼選考プロセス
①一次審査(書類)
エントリー期間:2021年5月23日まで
※合格者のみ6月1日(火)までにメールで連絡が入り、二次審査へ。
②二次審査(トライアウト1日目)
関東:2021年6月14日(月)@調整中
関西:2021年6月21日(月)@J-GREEN堺
※1日目の終了後に合否連絡が入り、合格者のみ三次審査へ。
③三次審査
関東:2021年6月15日(火)@調整中
関西:2021年6月22日(火)@J-GREEN堺

▼審査費用
トライアウト参加者:4000円(税込)
※書類審査は不要

▼スペインでの挑戦スケジュールの日程(想定)
(1)7月前半または半ば、スペインへ渡航
(2)ビジャとマドリッドにてミーティング
(3)トライアウト先のクラブへ移動
(4)プレシーズントレーニングに参加
(5)契約に成功した場合、8月末(予定)よりシーズンイン

▼2021年度斡旋クラブ候補
・UDジャネーラ(4部)
・CDカステジョン(2部)
※合格選手の特性次第では他のスペインクラブ(上位カテゴリ含む)に提案する可能性もある。

(インタビュー・文 竹内達也)

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