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[MOM3495]堀越FW高谷遼太(1年)_突如として輝いた1年生ストライカーが、華麗なループシュートで公式戦初ゴール!

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華麗なループシュートでのゴールに喜びを噛み締めるFW高谷遼太

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.13 インターハイ東京都予選準々決勝 堀越高 2-0 成立学園高]

「前半は思っていた以上に自分のプレーができなくて、ハーフタイムに代えられると思いました」。その言葉は間違いなく本心から出たものだろう。そんな選手が、後半に信じられないようなゴールを奪ってしまうのだから、サッカーは本当にわからない。昨年度の高校選手権に続き、全国大会を目指す堀越高に現れたニューカマー。FW高谷遼太(1年=ヴェルディS.S.アジュント出身)が、得点という結果でチームを準決勝へと導いた。

 強豪の成立学園高と対峙した、インターハイ予選準々決勝。1年生の高谷はセンターフォワードとして、スタメンの11人に選ばれる。だが、なかなかリズムの出てこないチームの中で、ほとんど流れの中に顔を出せないまま、時間だけが経過。堀越は前半終了間際の40+2分にMF中村ルイジ(3年)のゴールで先制点こそ奪ったものの、存在感を出せずに40分間が終了する。

 チームの采配を託されているキャプテンのMF宇田川瑛琉(3年)も「相当迷いました。収まる選手を入れるべきなのか、動ける選手を入れるべきなのか、それとも高谷をそのまま使っていくのか結構迷っていて、前半の最後に1点が入ったので、『様子を見よう』と監督からも話があって、『もう少し様子を見ていこう』と思いました」と明言。ハーフタイムでの高谷の交代は見送られる。

「ハーフタイムは、相手がこうやってくるみたいなことを自分の中で整理したり、キャプテンがどうやってくるかを説明してくれて、監督も『もっとこうやった方がいい』みたいなことも言ってくれたので、どうにかゴールを決めないととか、そういう気持ちもありましたけど、とりあえず前で身体を張ることを意識して、後半に挑みました」。

 後半8分には宇田川瑛琉のラストパスから、GKと1対1に。結果的にファインセーブに阻まれ、得点は奪えず、「あのシーンはトップだからこそ決めないといけない所ですけど、自分の力不足です」とその一連を反省していたが、メンタルは決して折れなかった。そして、5分後だ。

 13分。MF山口輝星(3年)が縦へ送ったパスに、反応した高谷は飛び出したGKの動きを冷静に見極め、なんとその頭上を鮮やかに越えるループシュートを、ゴールネットへ滑り込ませてしまう。「昨日の代表戦で上田綺世選手がループシュートを決めていて、それを何回も見ていたので、その光景がよぎって、それでループをしようと思って蹴ったら、上手く決まりました」。

 突然のゴラッソに、チームメイトの“先輩たち”も一目散に1年生の元へ駆け寄ってくる。「正直点を獲るとは思っていませんでした。実際に代えようと思っていたので」(佐藤監督)「ビックリはしましたけど、1点が大きかったので嬉しかったです」(宇田川瑛琉)「あんなうまく行くとは思っていませんでしたけど、思っていた以上にできて、とても嬉しかったです」(高谷)。

 この追加点が試合の流れを大きく引き寄せ、ファイナルスコアは2-0。前半だけで代えられていてもおかしくなかった高谷の華麗なループシュートでのゴールが、堀越の準決勝進出を引き寄せる大事なピースとなった。

 去年の夏過ぎに参加した堀越の練習会で、先輩たちの上手さに魅了され、入学を決意。その後、テレビで見た高校選手権での躍進に大きな刺激を受けたという。「率直に『凄い人たちがいるな』と思ったのと、2年生が多かったので、『来年はその人たちが3年生としているんだ』ということがとても嬉しかったです」。

 中学までは主にボランチをやっていたものの、現在は1トップの重責を任されている。「監督さんから『トップをやった方がいいんじゃない』と言われて、トップをやることになりました。でも、中学校の最初もトップをやっていたので、同じようにできればいいかなと思って、素直に受け入れましたし、試合に出られればどのポジションでもいいかなとも思いました」と口にしつつ、「でも、選ばれているからには学年がどうであろうと、やらないといけないので、今日はその役割が果たせて良かったと思います」と続けた言葉に、このチームでスタメンに選ばれる選手としての自覚が滲む。

「先輩たちも優しいので、チームにすぐに馴染むことができて良かったですし、先輩たちがしっかり背中を押してくれるので、それにしっかり応えられるように、今は自分の一番のプレーを出すことを目標にしてやっています。次も全国が近いからと言っても、自分たちのプレーをしっかり出せれば結果も付いてくると思います」。

 この試合を見る限り、大舞台で活躍するための“星”は持っているようだ。冬夏連続での全国を目指す堀越の、最前線にハマりつつあるラストピース。突然輝きを放つ高谷のプレーからは、片時も目を離してはいけない。

(取材・文 土屋雅史)
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