beacon

期待のドリブラーからJも注目するストライカーへ。阪南大高FW鈴木章斗が抜群のキープ力発揮:大阪

このエントリーをはてなブックマークに追加

阪南大高の注目ストライカー、FW鈴木章斗

[6.12 インターハイ大阪府予選準決勝 近大附高 1-2 阪南大高]

 元ドリブラーのストライカーが、注目度を高めている。阪南大高FW鈴木章斗(3年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)は全国切符を懸けた準決勝で無得点。インターハイ予選では、東海大大阪仰星高との準々決勝で2ゴールを奪うなど順調に得点を重ねてきていただけに「1点でも良いので……今、その結果にこだわっているので取りたかった」と悔しがった。

 この日は1トップでサポートが少ない状況。前向きにプレーする機会は少なく、またボールが入った際も「自分がゴールにとムキになりすぎて、周りを使えなかった」と反省する。それでも、前線で非常に高いキープ力を示していた。

 複数のDF相手でも簡単にはボールを失わない。特に1点差とした近大附高が勢いを増していた試合終盤の動きはさすがだった。奪い返してすぐに前線へ運びたい相手に対し、鈴木は懐の深いボールキープで時間を削り、FKも獲得。アップダウンの多い展開で疲れもある中だったが、個で相手を押し返していた。

「キープがなかったら自分のプレーは何もない状況で終わっていたので、そこはできて良かったかなと思います」と鈴木。自身のストロングポイントについて、「簡単にボールを失わないところです」と言い切るFWは、その強みでチームの勝利に貢献した。

 中学時代は「ドリブラーだったんですけれども、体が小さくて。サイドハーフやっていたんですよ」と説明する。それが阪南大高進学後に6、7cm伸びて現在は178cm。高校1年時はMFとして関西U-16~Groeien~でMVPを獲得し、当時「(見てもらいたいところは)ボールを簡単に失わないところとラストパスです」と語っていた鈴木は、昨春からFWになった。

 当初は体を上手く使うことができなかったというが、毎日の筋トレで当たりの強さも向上。ドリブラーとして磨いてきたテクニック、身のこなしが「まだあるんかなと」という鈴木は、相手のパワーを上手く受け流したり、浮き球を巧みに収めたりしてキープし、攻撃の起点になり続けている。

 パンチのあるシュートや迫力のあるヘッドも武器に得点数を増加。準決勝の悔しさをバネに臨んだ大阪桐蔭高との決勝では貴重な同点ゴールを決め、逆転勝ちへ導いた。全国大会でも前線で起点となりながら、ゴールにこだわっていく考えだ。

「結果にこだわって、全国で得点王になれるように。(阪南大高の最高成績は)まだベスト16で止まっているので、そこ壁を超えて、全国優勝、そして得点王を獲れればと思っています」と力を込めた。元ドリブラーのストライカーは、これまで得点王の経験が「無いです」という。現在、J1を含めた複数のJクラブが注目。巧さと強さを併せ持つ鈴木が、インターハイで自身初の得点王を獲得する可能性も十分にある。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

TOP