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[MOM744]東洋大MF山下勇希(4年)_成長著しい10番が初の全国決勝に導く

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MF山下勇希が1ゴール1アシストの活躍をみせた

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.4 総理大臣杯準決勝 山梨学院大1-2(延長)東洋大]

 背番号10が初の全国大会決勝へと導いた。前半終了間際に今大会初となる失点で1点ビハインドで折り返した東洋大だったが、後半31分、MF山下勇希(4年=昌平高)が出した浮き球パスに右サイドからゴール前に走り込んだMF高柳郁弥(3年=大宮ユース)がダイレクトで蹴り込んで同点。そして延長前半7分には山下が高柳の右クロスをワンタッチで流し込み、試合をひっくり返してみせた。

「(アシストの場面は)最初は2列目から走り込んでシュートというイメージだったけど、相手が前にいて打てない状況で、後ろの選手が追い越してくれた。そこは練習から意識しているところだったので、自分がいいイメージで出せたのかなと思います。(得点の場面は)最後に自分が走り込んで決めるイメージで入りました。キツい中であそこに走り込めたのが成長を感じた部分。次に繋がったのはすごく良かったと思います」

 もともと昌平高時代から足元のテクニックに長けた選手だったが、大学で守備意識が向上。セカンドボールを拾うこと、そしてそのあとの球離れを良くすることで、守備から攻撃に繋げる動きが良くなったという。

 さらに最近では得点やアシストといった目に見える数字もついてくるようになった。井上卓也監督も「攻守においてハードワークできるし、攻撃のバリエーションも持った選手。ここのところ得点に絡むプレーも増えてきた。今日もいいところに飛び込んでよく取ってくれた」と成長に目を細める。

 今季より背負っているのは背番号10。かつては現在C大阪でプレーするMF坂元達裕らがつけてきた番号だが、山下自身も10番を託されたことで責任感が強まっているという。ただ「今までつけていた選手を意識するのではなく、自分らしさを出したい」とも話す。

「(将来については)今のところまだ話はないけど、全国大会でここまで来たことで目に留まる機会も増えていると思う。でもそこを意識するのではなく、コンスタントに戦う姿勢を見せれば、繋がってくるのかなと思うので、まずはチームの勝利を目指したいと思います」

 2部リーグを戦う東洋大だが、昨年はアミノバイタルカップ4位で昨季限りの特例全国大会であるアタリマエニカップを経験。今夏も同大会で明治大を破るなどして5位に入り、5大会ぶりに総理大臣杯にやってきた。

 昨年のアミノバイタルカップは当時神奈川県リーグ所属の東海大、今夏のアミノバイタルカップでは関東2部の産業能率大が優勝。相手はすべて法政大ということも、東洋大の“下克上”への期待を後押しする。

 井上監督も「我々の方が格下という位置づけだと思うが、失うものはないので思い切ったチャレンジが出来ると思う」と意識を十分にすると、山下も「自分たちが大幅に劣っている感覚はない。強気で戦っていきたい」と力強く意気込んだ。

 なお、コンディション不良でベンチ外が続いていたMF横山塁(4年=FC東京U-18/山形内定)は2日のチーム練習から合流。この日はスタンドで仲間の戦いを見守っていた。気になる決勝で起用についてだが、指揮官は「ここで言ってしまうといろいろ考える方も出てくるでしょうから。内緒にしておきます」と煙に巻いた。

(取材・文 児玉幸洋)
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