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[MOM3599]成立学園MF斎木大和(3年)_新10番が大爆発!圧巻の4ゴールでエースの仕事完遂

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成立学園高の新10番、MF斎木大和はゴール後にベンチへガッツポーズ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.16 選手権東京都予選Aブロック2回戦 成立学園高 7-0 駒込高]

 数々の都内に名だたるアタッカーたちが背負った、ゼブラ軍団の10番は伊達ではない。その番号も良い意味でのプレッシャーに変えながら、チームを自分が牽引していく覚悟も定まっている。「副キャプテンもやらせてもらっているので、監督からは『10番は任せたぞ』と。歴代の10番が凄すぎたので正直荷が重いんですけど、みんなで頑張るというのがモットーなので、あまり気にしないようにしたいなと。別にエースだからとかは思っていないので、チームを引っ張るということだけ考えてやっています」。

 16年ぶりの全国を目指す成立学園高が誇る攻撃のキーマンが、初戦からいきなり4ゴール。MF斎木大和(3年=アイリス住吉FC出身)、大爆発。

「このチームは乗ったら爆発的に良い選手も多いと思うので、乗るまでが一番の課題」。斎木は自覚があった。この日も駒込高の粘り強い守備の前に、チャンスを作りながらもゴールが遠い展開に。前半もなかなか“乗り切れず”、無得点で終わりかけていた36分。10番が宙を舞う。

 左サイドを単騎で運んだMF坂尾一汰(3年)がニアへクロスを送ると、走り込んだ斎木はうまく身体を畳みながらダイビングヘッド。ボールはニアサイドのポストとGKの間をすり抜け、ゴールネットへ吸い込まれる。「練習からあの形はよくやっていたので、その成果が出たかなと思っています。でも、あのヘディングは正直自分でもビックリしています」。珍しいというヘディングの一撃。ただ、直後にもほとんど同じ形で再び歓喜を引き寄せる。

 38分。鋭いドリブル突破を見せたMF大崎日向(3年)が左へ流し、ここも坂尾が中央へ好クロス。再びニアにポジションを取っていた斎木は、やはりダイビングヘッドにトライ。きっちり頭に当てたボールは、1点目とは逆の右スミのゴールネットを揺らす。「枠に入れることだけを意識したら、ああいう良いところに飛んでくれました」。これだけでは終わらない。

 後半6分。右サイドでフリーになった10番は、対峙したGKの動きを冷静に見極め、飛び出した鼻先を優しく浮かせるシュートでハットトリック達成。40+2分にも左サイドで大崎からラストパスを引き出すと、左足の強烈なシュートでなんと自身4ゴール目もゲットしてしまう。

「最後のゴールは正直ラッキーな部分もあったんですけど、あそこで決め切れるか決め切れないかでチームの雰囲気も変わってきますし、7点目を獲れたことはチーム的にも良かったと思います」。結果的に7-0の大勝で準々決勝へ。乗り切れなかった前半に頭で挙げた2ゴールが、勝利の大きな要因になったことは間違いない。

「今までの成立って綺麗な形でゴールの前までは行きながら、得点を決め切れなくて、最後に1点獲られて負けるというのが多かったんですけど、守備の部分がしっかりしての攻撃なので、しっかり守備から入るのは今年やってきているところですね」と口にしたように、今年のチームは『守備から入る』というコンセプトを掲げている。以前はボランチを、今はフォワードを務める斎木は、いわば攻守の“スイッチ”役。前からの果敢なプレスも、チームの守備を考えると必要不可欠だ。

 去年の選手権予選は準々決勝で大成高に敗れたが、その試合を経験していたのは斎木と現在は負傷離脱中のGK西大輔(3年)の2人だけ。あの悔しさを知る者として、今年の選手権に懸ける想いは人一倍強い。

「去年は相当悔しい想いをしましたし、準々決勝で大成に負けたことは一度も忘れたことはなくて、今年は選手権を経験していないメンバーが多いんですけど、この初戦に勝ったことで、そういうメンバーも自信が付くと思うので、しっかりこの波に乗って勝ち進んで行きたいと思います」。

 16年ぶりの東京制覇へ。大阪からやってきたセンスあふれるアタッカーは、自身の選択を証明するためにも、自らのゴールでゼブラ軍団を全国の舞台へ連れていく。

(取材・文 土屋雅史)
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