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[関東]春先に疲労骨折、手術を経て鳥栖内定FW梶谷政仁が復帰…国士館大は主将の復活を起爆剤に降格圏脱出

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FW梶谷政仁

 春先には夏ごろの復帰を目指していると聞いていた。しかし7月に行われたアミノバイタルカップ、そして8月に後期リーグが開幕しても、国士館大の試合メンバーにFW梶谷政仁(4年=正智深谷高/鳥栖内定)の名前が戻ることはなかった。

 昨シーズンも違和感を持ちながらプレーしていたという。「痛いなというより、張りがあるなという感じ。それでもアイシングしながら試合に出られる程度だったのであまり気にしていませんでした」。将来のプロ入りを逆算して日々を過ごしていた時期。休むという選択肢は当時の梶谷にはなかった。

 しかし今年3月28日、ついに左すねが悲鳴を上げた。天皇杯地区予選の東京都サッカートーナメント学生系の部2回戦の法政大戦。ジャンプしようと踏み込んだ時に骨が折れた感覚が分かるほど激痛が走ったという。疲労骨折だった。

 直後の認識では普通の疲労骨折、3か月くらいで復帰できるだろうと踏んでいた。4月に話を聞いた時も、復帰への見通しを話してくれていた。しかし改めて病院で診察を受けると、複数個所の骨折が判明。メスを入れたことで長期のリハビリ期間に入った。

 ただ大事な最終学年開幕前の離脱だったにも関わらず、プロクラブの評価が揺らぐことはなかった。「Jクラブが評価してくれているよということは、監督やコーチから聞いていました。鳥栖は怪我してすぐにオファーを貰いました。鳥栖の練習にはこれまで参加したことはないですし、他にもオファーはあったけど、日本を代表するような林大地選手(現シントトロイデン)がいましたし、今は山下(敬大)選手や酒井(宣福)選手がいる。高いレベルの中で自分を成長させたいと思って鳥栖を選びました」。

 鳥栖への入団を発表した5月、同時期に関東大学リーグでしのぎを削るFW荒木駿太(駒澤大)、MF菊地泰智、MF佐藤響(いずれも流通経済大)、そしてDF孫大河(立正大)の入団内定が発表になった。中でも孫は正智深谷高でともにプレーした仲。お互いに進路の相談をすることはなかったというが、「大河がいるということで、すごく心強い。私生活まで支え合えたらなと思う」と鳥栖での“共同生活”を心待ちにする。

 大学最終学年の今季は主将として迎えている。大混戦のリーグ戦で入れ替え戦圏内も含めた残留争いがし烈となっており、国士館大もその渦中にいる。チームに起爆剤になりたい。現状、自身のコンディションについては「あまり良くないです」と正直に明かすが、チームは主将の復帰後2勝1分。降格圏を脱出、そしてインカレ出場も十分に狙える位置まで浮上した。

 出場はこれまで2試合で、ともにラスト5分ほどのプレーに限られている。「まだ出場時間を増やせるほど戻っているとは思わない。この6か月の離脱が3週間で戻るとも思っていない」と冷静な自己分析もある。しかし「インカレでもっと暴れられるように」と新たな目標にも燃える。不本意なシーズンとなってしまっているが、主将としての責任は最後まで全うする。

(取材・文 児玉幸洋)
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