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[MOM3608]大宮U18山崎倫(3年)_もっと突き抜けた自分に。オレンジ軍団の10番が圧巻のハットトリック!

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チームメイトとゴールを喜ぶ大宮アルディージャU18FW山崎倫

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.23 プレミアリーグEAST第8節 大宮U18 6-1 横浜FMユース 埼スタ第2]

 得意なことを当たり前にやるフェーズは、もう過ぎている。できないことを、できるように。獲れないゴールを、獲れるように。それがこの10番に課されていくミッションだ。

「やっぱりドリブルだけじゃなくて、点を獲れるような選手になりたいです。自分が点も獲れたら相手ももっと怖いと思うので、あとはもっとアシストも視野に入れつつ、得点ランキングで上位に食い込めたらいいなと思います」。大宮アルディージャU18のエース。FW山崎倫(3年=FC Consorte出身)はもっと、もっと、自分を突き抜ける。

「大宮に来て初めてのハットトリックです」。高円宮杯プレミアリーグEAST第8節。ここまで5連勝と絶好調の横浜F・マリノスユース(神奈川)と対峙した一戦で、オレンジ軍団の10番が躍動する。

 後半8分。「前を向いた瞬間に、感覚的に『あれ?これは行けるな』と思いました。ドリブルには自信があったので、うまく剥がせて、あとはスピードで行った感じです」。左サイドでボールを持った山崎は、絶妙のコースを辿りながらグングンとドリブルで運ぶと、GKとの1対1も冷静に制してみせる。

「キーパーの位置も見えていたので、いつも結構流れのまま行っちゃうんですけど、ちょっと1回スピードを緩めて、うまく流し込むことができました」。まずは1点。

 後半37分。「相手のセンターバック2人が新井(唯吹)くんの方に食い付いたので、結構ラインギリギリだったんですけど、うまく“ラインコントロール”できました」。FW新井唯吹のスルーパスに抜け出しながら、対峙したGKを左にかわして、確実にボールをゴールネットへ流し込む。

「キーパーを抜くのは小学校の頃からやっていて、あの形は多かったんですけど、高校になってあまりなかったので、こういう大舞台で出せたのは良かったです」。きっちり2点目。

 後半43分。「顔が上がった瞬間に新井くんとアイコンタクトが取れて、そこでもう『来るな』と思ったので、ちょっと一瞬だけ周りを見て、最後に流し込んだ感じです」ここも左に開いた新井のクロスに飛び込み、右足のアウトサイドでゴールネットを揺らす。

「あの時間帯はフォワードだったので、ストライカーらしいゴールが決められて良かったです」。圧巻の3点目。このチームに入ってからは、公式戦で初めてとなるハットトリックを達成。エースの仕事を完遂すると、チームも6-1の大勝。主役の座を鮮やかにさらっていった。

 ただ、これで満足するつもりは毛頭ない。実際に少なく見積もっても、あと2つは決定機を迎えていた。「チームも久しぶりにこれだけ点が獲れたので、ホッとしている部分もありますけど、まだまだ獲れたなと思いますし、まだまだ課題が出たなと。外したシュートもそうですけど、もっと突き詰めていきたいと思います」。ゴールを獲りすぎるということはない。成長の余地はまだまだ十分残されている。

 見据えるのはさらなる高いステージ。そこに辿り着くだけではなく、活躍することが何よりの目標だ。「もちろんより一層ユース年代では違いを見せないといけないですけど、上のステージに行っても、身体の強さや自分の持ち味のドリブルを出して行かないと試合にも使われないと思うので、自分の特徴をどんどん出して、どんどん高いレベルの試合に絡めたらなと思います」。

 自分を受け入れてくれたこのアルディージャアカデミーで過ごす時間も、あと少し。感謝と覚悟を胸に抱きつつ、仲間と一歩でも前に進めるよう、残された日々を有意義に。「このチームはもっともっと上位を目指せると思うので、まだまだ諦めずにチームとして良さを出しつつ、自分もまだまだ得点王になれるように頑張りたいですし、本当に残り少ない1か月半ぐらいを悔いなく、サッカーを楽しんでやっていけたらなと思います」。

 オレンジ軍団の10番を継ぐ男。山崎が今以上に突き抜けた先には、楽しみな未来しか待っていないはずだ。

(取材・文 土屋雅史)
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