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[関東2部]山形内定MF横山塁がハットトリックで得点ランクトップ浮上!東洋大の1部復帰もほぼ当確

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誇らしげにハットトリックを喜ぶ横山塁

[10.24 関東大学L2部第21節 東洋大4-2関東学院大]

 ヒーローは誇らしげに3本の指を突き立てた。公式戦では人生初だというハットトリック。東洋大の1部復帰を決定的にする3発を突き刺したMF横山塁(4年=FC東京U-18/山形内定)は、豪快なガッツポーズとともに雄たけびを上げ、喜びを爆発させた。

 夏の総理大臣杯を準優勝。1部復帰へ向け勢いをつけて再開されたリーグ戦に突入したはずの東洋大だったが、9月末から急に勝てなくなった。前節までの4試合を3分1敗。3分すべてがスコアレスと得点力不足がに悩まされていた。

 東洋大が足踏みを続けている間に首位の東京国際大は優勝と1部復帰を決定。1部自動昇格の残り1枠を争う戦いは混とんとしてきており、この日も躓くようであれば、最終節をプレッシャーがかかる状態で迎えなければならなくなっていた。

 そんな中で迎えた一戦。横山は前半26分にミドル弾で先制点を記録すると、2点差として迎えた同39分には頭で追加点を奪う。さらに終盤の後半36分には相手GKに競り勝って無人のゴールに流し込むことで勝利を決定づけた。

「ここのところチームとして点が取れていなくて、個人としてもチャンスがあった中で決められないことが多かったので、3点取れたのは良かった。でも4点目のチャンスもあったので、そこは慢心しないでやっていきたいです」

 今年7月に横山塁のモンテディオ山形への来季入団内定が発表になった。今春には高校時代までを過ごしたFC東京のキャンプに参加することもあったが、「山形さんに行ったら自分が成長できると思った。プレースピードが速い中で、サイドの感じとかをみて、自分が活かせると思った」と練習参加後に貰った獲得オファーを快諾した。

 東洋大から山形への入団は、現在セレッソ大阪で活躍するMF坂元達裕以来。横山にとっても1年生の時の4年生で、「背中を追ってきた選手の一人」と尊敬する先輩だ。山形に練習参加する際、そして山形への入団が決まった際もメッセージを貰ったといい、「タツ君が山形で活躍してくれたおかげで自分も山形に行けたと思っている。山形に決まった時も『おめでとう』とすぐに言ってくれたし、本当にいい先輩です」。

 FC東京U-18時代にあった“サッカーに背を向けた時期”を肝に銘じながら過ごしてきた。高校2年生のころ、遊びに夢中になり、寮の門限破りが続いたことで退寮を命じられてしまった。なんとかクラブに留まることはできたが、猛省を求められた。そこからつけるようになったのがサッカーノート。再び真剣にサッカーに向き合うことで、3年生の時には全試合に出場。U-19日本代表に選出される選手にまでなった。

「高校の時はやらかすことが多くて、サッカーができない時期もあった。でもそれを経験したことで東洋大で自分と向き合うことも出来た。東洋が大好きだし、ほかの大学は分からないけど、この4年間で積み上げてきたものは一番だと思っている。この恩は必ず返したいと思います」

 最終節を前にして、3位の日本体育大に勝ち点3差。最終節の東京国際大戦に敗れたとしても、3位との得失点差が14あることから、この日の勝利で1部復帰は決定的となった。ただ4年生にとっては次の最終節が大学での最後の試合になる。消化試合にするつもりはない。

 また横山自身、この日の3得点で通算10得点。こちらも大混戦となっている2部の得点ランキングで一気に単独トップに浮上した。「チームが勝ってくれるのが一番。その結果、個人の得点王が付いてくればいい」と話すが、最終戦の勝利のためには横山の活躍が必ず必要になるはずだ。

 前を向いてボールを持った時の期待感は大学リーグ屈指のものがある。「ドリブルやシュートやアシスト。両足で蹴ることができるし、抜け出しも」と攻撃面すべてをアピールポイントに挙げたドリブラーが、プロ入り前最後に箔をつける。

(取材・文 児玉幸洋)
●第95回関東大学L特集

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