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池田なでしこ初陣へ! 海外組初合流もW杯予選は目前…東京五輪の分析「奪う回数が少ない」糧に合宿スタート

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 来年1月に女子ワールドカップ予選を控える日本女子代表(なでしこジャパン)は今月、オランダ遠征で池田太新監督の就任後初めてとなる対外試合を行う。25日のアイスランド戦、29日のオランダ戦に向け、23日からトレーニングをスタート。東京五輪での反省点も活かし、新生なでしこの変化を示していく構えだ。

 合宿初日の23日、オンライン取材に応じたDF清水梨紗(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)は池田新体制のカラーを明かした。国内組は10月、練習試合も含めたトレーニングキャンプに参加しており、海外組より一足先に新指揮官の指導を受けていた。

「太さんのサッカーの一番のテーマは奪うということ。前回の合宿では五輪の分析結果として、奪う回数が少ない、奪いに行くチャレンジが少ないという分析があった。自分のプレーを振り返ったり、映像を見ていても相手の懐に行く回数が少ないと思った。今回の2戦ではそういったところを意識したい」

「五輪ではめちゃくちゃキーパーにプレッシャーをかけて取りに行く戦術ではなかった。太さんは前からアグレッシブに取りに行くことをチームに落とし込んでいて、そういう戦術を持っているので、わりと前から行くことが多い。自分のポジションでは裏のスペースもあるけど、そこは少し捨てながらチャレンジしていくことになると思う」

 オランダ遠征のトレーニングも、そうした意識づけを海外組にも広げていく狙いで始まっている様子だ。清水は合宿初日の午前練習について「海外の選手が今回からの参加ということで、チームとしても攻撃のコンセプト、守備のコンセプトを確かめる練習だった。自分たちは1回したことがあるような練習だったので、全員の意識を統一するための練習だったと思う」と振り返った。

 ストライカーのFW田中美南(INAC神戸)も「奪うこと」への意識を強調。その上で新たなトライを前向きに捉えている。

「奪うことは他の国よりできていなかったし、組織で守る意識のあまり個人でチャレンジできていなかった」と五輪での反省点を述べつつ、新たなスタイル構築に向けて「高い位置で奪って素早くゴールに向かうことで、ゴールに速く行けるのはいいなと思う。守備での切り替えが大事になると思うので、自分が守備に関わる時と、(味方がボールを)取れそうな時の裏へのアクション、もらう準備をしっかりやっていければと思う」。

 もっとも、ボールを奪うアグレッシブなスタイルにはリスクがつきもの。まずは失敗を覚悟しながらも、チャレンジしていく心構えだ。

 田中は「初めて海外の選手と対戦するので、今の時点でこのサッカーでどこまで通用するか。絶対にエラーはある。奪いに行く目標を掲げていて、いまは裏をやられたり、失点をしたりもプラスに捉えられる時期だと思うので、失敗してもエラーをみんなで修正して、オランダ戦に迎えたら」と先を見据えた。

 また、海外組のMF長谷川唯(ウエストハム)は新体制の活動に初参加となった。池田監督の印象は「人間として熱い人。サッカーに対する情熱はいままでも伝わってきていたので、イメージどおり」だといい、「今日まだ初めてだけど、練習をやっていていい雰囲気のチームが作れそうだと感じた」と手応えも語った。

 その上で長谷川は「太さんのサッカーは自分たち主導でやりたいので、サイドバックが高い位置をとって、すぐに取り戻すのはコンセプト。そこは目指さないといけないけど、状況によるので、味方を助けるプレーが大事だと思う」と述べ、ハイリスクな戦術の中でも自身がバランサー役を務める気概を見せた。

 オランダ遠征の2試合は新体制初陣という位置づけではあるものの、来年1月に控える女子ワールドカップ予選にあたる女子アジア杯に向け、唯一の国際試合の機会でもある。田中は「アジア大会まで外国人の選手とやれるのはこの合宿しかない。五輪に出たときに守備の強度と攻撃の強度の差を感じたので、そこを試せるいい機会だと思う。みんながチャレンジして、自分が持っている以上のパワーを出す気持ちで、ぶつかっていかないと強度が出せない。プラスのトライをしていきたい」と意気込みを語った。

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