beacon

一足早い「お披露目ゲーム」で青赤相手に2アシスト。青森山田MF松木玖生が来季からの“ホーム”小平で躍動

このエントリーをはてなブックマークに追加

チームメイトのゴールに笑顔を見せるFC東京内定の青森山田高MF松木玖生

[12.5 プレミアリーグEAST第18節 FC東京U-18 0-2 青森山田高 FC東京小平G]

 一足早い“お披露目”とも言えるようなシチュエーションの一戦で、チームに勝利をもたらす2アシスト。会場へ詰め掛けた青赤のサポーターたちに、その実力の一端をしっかり見せ付けるあたり、やはり只者ではない。

「自分にとっては来シーズンからこの小平グラウンドでやるということで、気持ちの入り方がまた一味違うなと思いましたし、ここで来季から自分がプレーすることを考えると、楽しみで仕方がない感じはありました」。

 FC東京入団が内定している青森山田高(青森)のキャプテン。MF松木玖生(3年=青森山田中出身)が小平のピッチでいつも通り、躍動した。

「もちろんいつも以上に強い気持ちはありましたし、FC東京の選手にも知り合いが多い中で、相手も気合が十分入っていることは分かっていました」。年が明ければ、自らの“ホーム”となるFC東京小平グラウンドでのアウェイゲーム。相手にはトップチーム昇格が決まっており、同期入団となるMF安田虎士朗(3年)、MF梶浦勇輝(3年)、FW野澤零温(3年)の3人も揃う中での一戦。自らも気合が入らないはずがない。

 この日は一部クラブ会員の入場が許可された、限定付きの有観客試合。FC東京のサポーターも大物ルーキーの一挙手一投足に注目している様子が、試合前から十分に伝わってくる。「ここに入ってきた時からFC東京のホーム感が凄くあるなとは思いました」。それでも、この日は敵チーム。袖を通すことになる青赤のユニフォームも、倒すべき対象に他ならない。

 前半29分。ゴールまで約25メートル強の位置から、直接ゴールを狙ったFKはわずかに枠の右へ。本人も飛び上がって悔しがったが、惜しいシーンに観衆からも期せずしてどよめきが起こる。

 その直後。松木の真骨頂が現れる。31分。中盤でボールを刈り取ると、すぐさまスペースを見つけてスルーパス。FW渡邊星来(3年)の先制点を演出してみせる。「相手の顔が上がった瞬間に寄せるところで、しっかりボールを取り切れましたし、星来が良い体の向きを作ってくれたので、そこに配球することができました」。

 45+1分。「今年のチームの色が出たシーンかなとは個人的には思っています」と言い切るシーンも、10番の冷静さが光る。中央でのパスワークから、松木は周囲の動きを見極めながら、後方から走り込んだMF藤森颯太(3年)へ優しいラストパス。完璧なお膳立てに、11番も豪快なシュートで応える。2-0で勝利を収めた90分間で、きっちり2つのアシストを記録。来シーズンからのさらなる飛躍を予感させるようなパフォーマンスを披露し、“新・ホームグラウンド”で勝ち点3を鮮やかにさらっていった。

 試合後には“同期入団”の仲間と談笑する一幕も。「『寮の部屋決まった?』『まだ決まってないよ』みたいな話をしました(笑)」。世代屈指の注目を集めている選手とはいえ、普段はまだ笑顔のあどけない18歳の高校生。誰とでも分け隔てなく会話のできる性格も、その人間的な魅力をよく現わしている。

 チャンピオンシップの開催が中止となったため、シーズン開幕から掲げてきた“三冠”という目標はなくなったものの、既に視線はプレミアリーグEAST優勝、そして選手権での日本一にしっかり切り替わっている。

「常に自分たちらしいサッカーをすれば、勝ちは絶対に付いてくると思いますし、そこがブレてしまうと、勝利の神様は相手チームの方を向くので、このベースを切らすことなく今後の試合をやっていきたいです。来週も普段の試合と変わらないので、勝てば優勝ですけど、優勝という言葉にこだわらないで、自分たちらしいサッカーができればいいなと思います」。

 青森山田で過ごした6年間の総決算。奪えるタイトルは、すべて奪う。松木の決意は揺るがない。

(取材・文 土屋雅史)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2021特集

TOP