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[MOM3706]JFAアカデミー福島U-18GK大畑神唯(3年)_チームリーダーが思いを見事に表現。涙のプレミア昇格

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歓喜の涙を流したJFAアカデミー福島U-18GK大畑神唯(右)と山岸範宏GKコーチ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.12 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ Eブロック決勝 JFAアカデミー福島U-18 0-0(PK5-4)尚志高 広島一球]

 メインスタンドで応援していた保護者・関係者へのあいさつが終わると、キャプテンマークを巻いた守護神はその場でピッチに突っ伏し、声を上げて泣いた。山岸範宏GKコーチに促されて起き上がり、フォトセッションでは最高の笑顔を見せていたが、報道陣に「泣いていましたね」と聞かれると、一瞬の照れ笑いののち、再び涙があふれてくる。

「…すごく…うれしかったです」

 涙をこらえて言葉を絞り出した後も、質疑応答が続いた約4分間、ずっと泣いていた。JFAアカデミー福島U-18(静岡)GK大畑神唯(3年)が、どれだけの思いでこの試合に臨み、勝利に心を震わせているのかが伝わってくる姿だった。

 好セーブを連発して1-0での勝利の立役者となった神村学園高(鹿児島)との1回戦に続き、この日も安定したプレーを披露した。3分にはMF松尾春希(3年)の左足シュートを鋭い反応でセーブ。最後尾で声を張り上げ、守備陣を統率して勝利を目指した。

 後半からはJFAアカデミー福島が押し気味に進めたが、なかなか均衡が破れない。そんなときも「自分も含めて後ろがしっかり守り、前が決めてくれると信じていた」と振り返る。カウンターの脅威にさらされても「後ろには神唯(かむい)がいるぞ、とみんなが信じてやってくれているので、自分は守るだけ」という思いで尚志高(福島)の攻撃に立ちはだかった。

 結局、延長を含めて110分間を終えて0-0。PK戦に臨む前には山岸GKコーチから「落ち着いて、一本一本集中してやれば、お前なら大丈夫だ。自信を持ってやってこい」と励まされた。自らのセーブはなかったものの、尚志は1人がポストに当てて失敗。JFAアカデミー福島は5人全員が決めて勝利を決めると、選手たちは一斉にベンチへと走り、控え選手やスタッフとともに喜びを爆発させた。

 2015年以来のプレミア昇格を目指す過程では「勝てない時期や、難しい時期があった」といい、「どうやったら勝てるのか、選手主体でミーティングをしながら話し合いました。サッカーだけじゃなく、私生活にも気を配って生活していた」という。「自分自身もキャプテンに指名してもらって、いままで以上に責任感が強くなったし、俺がこのチームを勝たせてやるという強い気持ちで1年間やってきた」との思いを、このチームで戦う最後の、最大の一戦で見事に表現した。

 船越優蔵監督が「特に3年生が本当によくやってくれた。後輩にプレゼントを送ってくれました」と語ったプレミア復帰。大畑は「今年のチームはみんな明るくて、一人ひとりがリーダーシップを持ってやっていました。みんな真面目で、サッカーではハードワークができる。戦える選手がそろっていることが、今日の結果につながったと思います」と仲間たちに感謝した。

(取材・文 石倉利英) 
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