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きっかけはアクシデントでも…夢舞台で青森山田の左SBを務めあげた小野暉

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青森山田屈指のムードメーカーでもある小野暉((写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.10 選手権決勝 大津高 0-4 青森山田高 国立]

 大会前に、左SBのDF多久島良紀(2年)、右SBのDF大戸太陽(3年)という両SBのレギュラーが負傷により離脱した青森山田高(青森)。「痛手ではありますけど、チームが結束するためにはこれが何かのメッセージかな」と、黒田剛監督は気持ちを切り替え、選手権に向けてチームを構築していったという。

 そして迎えた選手権、右SBの大戸が準決勝と決勝に途中出場してカムバックした中で、決勝を含む全5試合で青森山田の左SBとしてフル出場したのが、MF小野暉(3年)だ。

 インターハイ決勝の米子北戦でも後半から左SBに起用され、夏の日本一に貢献していたが、本職は1列前のSH。大会前には「サイドハーフとサイドバックは全然違う」と小野本人は戸惑いを見せつつも、「本来であればサイドハーフで出たかった気持ちはありますけど、3年目でやっと来た試合に出るチャンスなので、そこに対する想いはあります」と、全国指折りの強豪校で出場機会をつかんだことを、ポジティブにとらえていた。

 大津高(熊本)との決勝戦、3-0としていた後半33分には、MF宇野禅斗(3年)が左サイドに展開したボールを、コントロールしてから左足でクロス。ブロックにきた大津DFに当たりながらもゴール前に上がり、それをFW渡邊星来(3年)がヘディングを突き刺した。左SBの小野が、100回大会における最後のゴールをアシストした。

 青森山田中出身の小野は、中学3年生のときにMF松木玖生(3年)とともに、2018年の国体でメンバー入りするなど、期待の選手だった。「山田中の1年の頃から、自分は選手権しか見てきていなかった」と、小野は冬の大舞台を見据えてきたという。昨年度の選手権はメンバー入りを果たしたが、出場機会には恵まれず、高校生活最後の年に大きなチャンスをつかんだ。

 12月の時点では「まだスタメンかどうかは不安定ではありますけど」ともらしていた小野。それでも、選手権での活躍をイメージしていた。「もっと自分の良さを出していって、監督にもアピールしながら、最終的には優勝して、(三冠を)獲れたらなとは思います」。青森山田の背番号14は、憧れの大舞台でのプレーという夢と、日本一という栄冠を見事につかんだ。

(取材・文 奥山典幸)

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