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「九州はひとつ!」小嶺さん、関東一の思いを背負った大津「その分も自分たちが戦おう」

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(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.10 選手権決勝 大津高 0-4 青森山田高 国立]

 “公立の雄”大津高(熊本)は様々な思いを背負って決勝に臨んだ。

 2回戦で東福岡高(福岡)、3回戦で佐賀東高(佐賀)と連続で九州勢を撃破した大津。準決勝の前日には、九州の高校サッカーの発展に大きく貢献した名将、長崎総合科学大附高監督の小嶺忠敏さんが死去した。試合前には黙とうが捧げられ、両チームの選手は喪章を巻いてプレーした。

 スタンドには「九州はひとつ!」という横断幕が掲げられた。平岡和徳総監督の自筆。試合後、山城朋大監督監督はその経緯に言及した。

「九州でやっているチームとは日頃から練習試合をしたり、いろんな形で切磋琢磨しながら、1年間通してお互いに成長している。決勝に臨むにあたってはいろんな先生から連絡をいただいていて、『九州はひとつ』と改めて実感する機会になった。そういった感謝の思いも含めて、平岡総監督に書いていただいたものです」

 さらに、国立切符を掴みながらも不戦敗となった関東一高(東京B)の無念も背負った。準決勝の前夜、関東一の選手2人に新型コロナウイルスの陽性反応が認められ、出場辞退が発表された。熊本県勢初の決勝進出は、予期せぬ形で決まった。

 試合前には、関東一の校名が入ったチームタオルを掲げた。「試合できずに終わってしまうのは、関東第一さんは悔しかったと思う。その分も自分たちが戦おうということをカタチで示すために、タオルを試合前に持とうという話になりました」。主将のMF森田大智(3年)はそう明かした。

 様々な思いを背負って戦ったが、青森山田の圧倒的な強さに屈した。「今日は完全に相手のゲームだった」と受け止めた山城監督は「最後まで走り抜いて準優勝を勝ち取ってくれた選手たちを誇りに思います」とチームをねぎらった。



(取材・文 佐藤亜希子)

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