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「止まるな、動け!」岡田流プレッシングサッカーで大学生に勝利

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[4.23 練習試合 日本代表候補 3-0 筑波大]

 日本代表候補は23日、筑波大と練習試合を行い、3日間の千葉合宿を打ち上げた。試合はMF香川真司(C大阪)、FW永井雄一郎(浦和)、FW赤嶺真吾(F東京)の得点で3-0で勝ったが、その結果以上に、試合内容に岡田武史監督(51)の意図がはっきりと見えていた。
 「止まるな!」「休むな、動け!サポートしてやれ!」「ゴー、ゴー、ゴー!!」。ピッチ上に岡田監督の声が響き渡った。相手ボールになった瞬間、前線の選手から激しくプレッシャーにいき、相手を囲い込む。一時も休むことなく、動き回ってプレスをかけ、マイボールになってからもボール保持者の周りに顔を出してサポートする。全員守備・全員攻撃。とにかく常にピッチを動きまわることを求めた。
 MF中村憲剛(川崎F)は「攻守の切り替えのことをすごく言われていた」と、試合前の監督の指示について説明した。「多少無理にでも、相手ボールになったら取りにいこうと。この合宿でそういう意識付けをされた。1人が(プレスに)いったら1人がカバー。それを11人で連動して動く。1人もサボれないし、1人1人の意識が変わったところもある」。今合宿のテーマであり、岡田流サッカーの基本コンセプトでもあるチーム全体での連動したプレス。大学生相手の実戦でその完成度をはかるのは難しいが、MF今野泰幸(F東京)が「取られた後の切り替えを監督にはかなり言われていたけど、そこはできたと思うし、今日のところはよかったと思う」と話すなど選手は確かな手応えもあったようだ。
 ただ、かなりの運動量を求められるだけに、このサッカーを90分間通して続けるのは難しい。特に蒸し暑い中東でのW杯予選を考えれば、かなりのリスクも伴う。その点に関してMF山岸智(川崎F)は「90分やれれば一番いいけど、今の段階ではどうやって連動するかを植え付けるために45分ずつでやったんだと思う」と話し、MF山瀬功治(横浜FM)も「今日のペースで90分やるのは難しい。でも実戦を通して意識を合わせることはできた。実際の試合では(プレスに)いくとことディレイ(遅らせる)を使い分けないといけない」と指摘した。
 あくまで意識付けの意味でプレスをかけ続けたが、本番になれば臨機応変な対応も必要にある。少なくともこの3日間を通して選手に守備の意識が徹底して叩き込まれたことは間違いない。「満足してますよ。短い期間だったけど、みんなが1つの意図を持ったプレーが、攻守ともに出ていた」と納得の表情を見せた岡田監督。選手の意識改革にはかなりの手応えをつかんだようで、“オレ流”サッカーが第一歩を踏み出した。

以下、練習試合の記録と出場メンバー

日本代表候補3-0(前半1-0)筑波大
[日]香川真司(前8)、永井雄一郎(後9)、赤嶺真吾(後40)

[出場メンバー]
<前半>
▽GK
楢崎正剛(名古屋)
→都築龍太(浦和、29分)
▽DF
徳永悠平(F東京)
寺田周平(川崎F)
田中マルクス闘莉王(浦和)
駒野友一(磐田)
▽MF
香川真司(C大阪)
中村直志(名古屋)
今野泰幸(F東京)
茂原岳人(柏)
▽FW
大久保嘉人(神戸)
→永井雄一郎(浦和、29分)
玉田圭司(名古屋)

<後半>
▽GK
都築龍太(浦和)
→川口能活(磐田、14分)
▽DF
阿部勇樹(浦和)
栗原勇蔵(横浜FM)
高木和道(清水)
長友佑都(F東京)
▽MF
西紀寛(磐田)
山瀬功治(横浜FM)
中村憲剛(川崎F)
山岸智(川崎F)
▽FW
巻誠一郎(千葉)
→赤嶺真吾(F東京、18分)
永井雄一郎(浦和)
→茂原岳人(柏、23分)
※GK川島永嗣(川崎F)は後半14分から筑波大のGKとしてプレー

(取材・文 西山紘平)

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