beacon

[入れ替え戦]逆境で開き直った磐田、松浦が貴重なアウェーゴール

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.10 J1・J2入れ替え戦第1戦 仙台1-1磐田 ユアスタ]

 166cmの19歳が放った弾丸ミドルがジュビロ磐田を崖っ縁から救い出した。0-1で迎えた後半8分、FWジウシーニョが落としたボールをMF松浦拓弥がダイレクトで左足を振り抜き、豪快にゴール右隅に突き刺した。利き足とは反対の左足で決めた貴重なアウェーゴール。「めずらしくミートできた。右足より力が入らなくてよかったかも。右だとここ一番で力むことがあるけど、左足だったんで当てにいこうとして、それが逆によかった」と照れ笑いを浮かべた。

 過去3度のリーグ制覇を誇る名門に初めて訪れた降格危機。入れ替え戦では過去3年、いずれもJ2チームが制しているという不吉なデータもあった。前半41分には先制点を献上。ピッチ上を包み込んだ不穏な空気を松浦の左足がぬぐい去った。「僕らは本当なら(最終節に)負けて降格しているところだった」と松浦は言う。J1最終節を残留圏内の15位で迎えた磐田は自力残留の可能性を残していながら、大宮に0-1で敗れた。F東京を下した千葉に抜かれ、もしも東京Vが勝ち点1でも手にしていれば、自動降格の17位まで転落するところだった。「負けて入れ替え戦に回ったというのはチャンスをもらえたということ。拾ったチャンスをものにしようというのはある」。地獄の縁に手をかけたことで、選手たちは名門のプライドを捨て、開き直った。球際で戦い、人数をかけて積極的に攻撃を仕掛けたプレースタイルは残留争いのときには見られなかったものだった。

 「アウェーゴールは重要になるし、少しは有利になったかもしれない。でも、それは考えず、次、ホームできっちり勝ちたい。しっかり勝って残留を決めたい」と松浦。0-0のスコアレスドローを狙えば、自滅する。最後の最後まで攻め抜く姿勢を貫くことがJ1残留への近道となるはずだ。

<写真>貴重な同点ゴールを挙げた磐田MF松浦
(取材・文 西山紘平)

TOP