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[入れ替え戦]松浦様様、19歳の「ラッキーボーイ」が磐田救う

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[12.13 J1・J2入れ替え戦第2戦 磐田2-1仙台 ヤマハ]

 MF松浦拓弥(19)がジュビロ磐田の救世主になった。入れ替え戦2試合でチーム総得点の計3ゴール。FW前田遼一が「松浦様様です」と笑ったように、松浦の活躍なくして磐田のJ1残留はあり得なかった。「入れ替え戦に関してはラッキーボーイだったかなと思う」。まだ少年のあどけなさを残す166cmの小柄な背番号24はそう照れ笑いを浮かべた。

 10日の第1戦では1-1の同点に追いつく貴重なアウェーゴール。この日も前半41分、自らドリブルで中央をこじ開け、左サイドに展開すると、前田の折り返しを胸で流し込んだ。「それまで相手に攻め込まれて、チャンスらしいチャンスがなかった。あの1点で個人としてもプレーしやすくなったし、チームも落ち着いた」。1万6693人の大観衆で埋まったスタジアムは試合前から両チームのサポーターの熱い応援合戦が繰り広げられた。GK川口能活は「仙台でも重圧を感じたけど、今日も異様な雰囲気で、アップでも自分の体が硬いなと思っていた。プレッシャーの中で不安な気持ちを持ちながらピッチに入っていたかもしれない。その嫌な雰囲気を松浦が消してくれた」と手放しで感謝した。

 後半25分には相手CKのクリアボールを松浦が拾い、そのままドリブルで持ち込み、MF富田晋伍を振り切ると、飛び出してきたGKの頭上を右足でフワリと越した。「カウンターは狙っていたし、いいボールが来たので。シュートを打つときはすごく冷静になれた」と振り返った。

 8月27日の千葉戦に途中出場し、Jリーグデビューを飾ったプロ2年目の19歳が残留争いの終盤にレギュラーに定着し、最後に名門の危機を救った。「苦しいシーズンだったけど、J1に残れて、自分の試合に出れて、いい経験になった」。MF名波浩は今季限りで現役を引退し、DF田中誠は戦力外通告を受けた。世代交代が急務な磐田にとって、松浦の成長は、苦しい残留争いの中でケガの功名とも言える光明となった。

<写真>入れ替え戦2試合で3得点と大活躍を見せた岩田MF松浦
(取材・文 西山紘平)

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