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日本vsフィンランド 公式練習後の監督会見要旨

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 日本代表は3日、キリンチャレンジ杯・フィンランド戦(4日、国立)に向け、試合会場の東京・国立競技場で公式練習を行った。腰痛のFW田中達也(浦和)はこの日も別メニュー調整で、欠場が確実になった。
以下、練習後の監督会見要旨

<日本>
岡田武史監督
「対戦相手のフィンランドはオーストラリアと非常に似たサッカーをしている印象がある。個々の技術がしっかりしていて、パスをつないでくる。組織立ってプレッシャーもかけてくるし、いいシミュレーションになると思う。いいゲームをして、オーストラリア戦に備えられるようにしたい」

―田中達也の状態は?
「やろうと思えばできないことはないが、今無理をさせたくない。あすの状況にもよるが、どちらにしても長い時間使うことはあり得ない」

―あすの試合にはオーストラリアのピム監督も視察に来るということだが?
「お互い手の内は分かっている。セットプレーは考えるが、特に隠すこともない。いい席を用意してあげたいと思う」

―オーストラリアがメンバーを発表したが、感想は?
「申し訳ないが、メンバーは見ていない。エマートンがケガしたとかいろいろ言っているが、僕にとってはあまり関係ない。どのメンバーだからこうするとか、誰がいないからこうするとか、そういうのはまったくない。(宿舎に)帰ったらスタッフが教えてくれると思うが、今はまだ見てない」

―俊輔の合流時期は決まったか?
「もういいのかな。でも、あしたチケットを買う人がいるかもしれないし(苦笑)。今来てないということは、あしたかあさってになるということです」

―オーストラリアは国内組がひとりだけだが?
「ずっとそれで彼らはやってきている。そういうものだと最初から思っている。ひとり入ったんですか?今まではいなかったと思うけど。以前、同じグループになるとは知らないときにピム監督と話したとき、彼は“パッと集めて、このシステムでやるぞと言えば、それだけでパーフェクトなサッカーをする”と言っていた。それで十分なんでしょうね」

―やることは変わらないと言っているが、コンセプトは去年の3月のままなのか?それとも少しずつ微調整しながら完成に近付いているのか?
「コンセプトというのは、具体的なタクティクス(戦術)ではなく、全体のサッカーのイメージとして捉えてほしい。我々はこういうサッカーをするんだというイメージ。それがなぜできなかったのか、どうすればいいのかというトライはしているが、コンセプトは去年の3月の時点ではつくってなかった。6月から言い出した。そこからは変えてない」

―遠藤の起用は?
「遠藤は使います、もちろん。中盤は人数がいないし、少しでも長く、できる限りやってもらって、試合感覚を取り戻してもらいたい。彼にとっても大切な試合になる」

<フィンランド>
●スチュアート・バクスター監督
「(日本語で)みなさん、こんにちは。こんばんは。(以下、英語で)あしたの試合は両方の国にとって大事な試合。オカダさん(岡田武史監督)が大事な試合を控えているのは分かっている。我々は組織力、フィジカルの強さなどオーストラリアと同じスタイルを提供できると思う。経験あるベテランの選手から、若いくてあまり経験のない選手まで連れてきた。若い選手に経験を積ませることもできるし、両方の代表にとって意味のある試合になると思う。個人的にも日本に来日できて、楽しく、うれしく思っている。日本サッカー協会の皆さんはプロフェッショナルで、すべてがスムーズに進んでいる。友達にも会えてうれしいし、家族も友達に会えるし、家族も楽しんでいる」

―オーストラリアをイメージした戦いをするのか?
「特にあえてオーストラリア風にプレーしようとは思っていない。ただ、ピム監督も選手もよく知っているし、どういうプレーをするかは分かっている。どんなプレーをするか理解した上で、そういうプレーになるかもしれないが、わざとそうするわけでなく、自然と近いプレーになるかもしれない。そういう意味ではオカダさんにとっても十分に価値を見い出せる試合になると思う」

―湘南との練習試合とは違うチームを見せられる?
「湘南との試合には若い選手を起用した。経験を積ませる意味、育成という目的が強かった。あすの試合は代表がプライドをかけて戦う試合で、勝つということが目的になる。あしたの試合で選手を育てたいとは思うが、より競技性の高い試合になる。勝利を目的にやる以上、負けるかもしれない犠牲を払って、若い選手を投入することはない」

―岡田ジャパンの印象は?
「オカダさんはいつも正しいやり方で物事を進める印象がある。つまりプロという印象。監督というのはひとりひとりやり方が違う。ファーガソン監督も、モウリーニョ監督も、ジーコ監督も異なるスタイルを持つ。日本人選手と日本人監督という組み合わせで成功しない理由はない。オカダさんがこのチャンスものにして成功する可能性は大いにあるし、選手も同じ意見だと思う」

―岡田監督はW杯でベスト4を目指すと言っているが、現実的だと思うか?また、今までの代表チームと比較して、今の代表をどう思うか?
「どこの国もそうだが、昔のチームと比較され、前のチームが基準になるため、今のチームにはプレッシャーがかかる。しかし、現実を見る必要がある。今の代表に中田レベルの選手がいるのか、いるなら昔ほどたくさんいるのか。それを検討しないといけない。今の代表に与えられているプレッシャーという意味では、荷が重いかもしれない。ただ、監督がW杯で準決勝に行くと言うことは監督として必要なことだと思う。監督が“うちは予選で負ける”とか、“決勝トーナメントの初戦で負ける”と言ったら、みんなやる気がなくなってしまう。監督の重要な役割は選手、国民と夢を分かち合うこと。それでみんなにやる気が出る。ただ、そこにはリスクが伴っていて、もしも夢が叶わなかったときには“バカじゃないのか”と言われる。安全なことを言って退屈に過ごすか、夢を見て、ダメだったときにがっかりするかは監督の選択。現実的かどうかは分からないが、監督として皆さんと夢を共有するのは大事なことだと思う」

―また日本に監督として戻ってくることは考えている?
「日本は仕事をしていて楽しい場所。日本人のやり方もリスペクトしている。可能性は絶対ないとは言えない。どういう仕事をオファーされ、どこのオファーで、どういう状況かで決めるが、オファーがあれば検討する。日本は住んでいて楽しいし、日本に戻ってくることには何の問題もない。
 先ほど現実的かという質問があったが、きょう来る前に新宿を車で通ったとき、新宿では毎日、200万人が行き交うと聞いた。フィンランドの人口は600万人しかない。そんな国が次回のW杯に出たいと思い、(08年9月のW杯欧州予選では)ドイツと3-3で引き分けた。夢という意味ではどちらが現実的か分からないと思う。夢というのは私たちも一緒だ」

(取材・文 西山紘平)

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