日本代表は9日、10日のW杯アジア最終予選・カタール戦に向け、試合会場の日産スタジアムで公式練習を行った。右足の爪が割れているMF長谷部誠(ボルフスブルク)、右足首捻挫のDF長友佑都(F東京)は別メニュー調整で、前日8日の練習中に右太腿裏に張りを訴えたMF遠藤保仁(G大阪)はグラウンドに姿を見せなかった。
以下、練習後の選手コメント

●FW岡崎慎司(清水)
「W杯でベスト4に入るための能力を付けたい。もしW杯に出られたとしても何もできないで終わるのは嫌だ。常に自分の特徴を出せるようにしたい。最近点が取れてるのはいいことだけど、あまり点にとらわれずにやりたい。他の部分でやらなきゃいけないこともいっぱいある。点は取れてるし、体も動いているけど、もっと動いてボールに絡みたい。疲れはたまっているけど、最後までやり切りたい」

●MF中村俊輔(セルティック)
「あしたはW杯予選。FIFAの公式戦だし、しっかりホームで勝って。それしか頭にない」
―股関節の状態は?
「アップのときは多少(痛みが)あるけど、アップの前にジムで温めたり、終わってからもジムとプールとか。もともとのダウンみたいな感じで、フル活用して、だいぶよくなっている」
―あしたの試合が最後になる?
「あしたは区切りだし、オーストラリアは免除されそうだからね。横浜だし。今シーズン、何試合目か分からないけど、やっと終わるという感じ。最後はきっちり、いい形で勝ちたい。あしたは自分らしいプレーをイメージしようかなと思っている。もちろん勝ちにこだわって、バランスを見て守備もするけど、それもやりつつ自分らしいプレー、自分にしかできないプレーを意識してやれたらなと。
　練習に樋口さん(横浜FCの樋口靖洋監督)が来てて、“最近、チームのことばかり考えて、しびれてないね”って言われた。俺らしいプレーがなかったというか、ちょっと頭が固くなってるところがあったかな。リーグ戦も優勝争いをしていて、いいプレーより確実なプレーをしていた。無理に抜くより前に放り込むサッカーをしてたし、それでそのままW杯予選に来たから」
―自分らしいプレー以外の部分も幅が広がったから?
「それをやらないと、オシムさんにも呼ばれてなかっただろうし、今の代表にもいなかったと思う。(スコットランドで)MVPも取ってなかっただろうしね。それプラス、自分らしさを付けないと、チームは助けられない。1人ではどうにかできないけど、そういうのがないと10番じゃない。全部狙ってたらオシムさんに怒られるけど、集団で動きつつ、自分のイメージというのかな。最近は全体のバランスを見過ぎてた。もともと自分の持っているものというか、自分らしいプレーを出せれば」
―あしたは俊輔らしい試合になる?
「それは分からないけど、最後だと思って、ホームで最後の公式戦にしっかり勝つために。そのために自分のプレーじゃなくて、追いかけまわすことになっても、それが勝利につながればいい」

●MF中村憲剛(川崎F)
―体調は?
「普通です。大丈夫」
―カタールの印象は?
「累積で何人かいないらしいけど、そういうときの方が手ごわいし、何をしてくるか分からない。ホームなんでしっかり勝ち切りたい」
―予選突破を決めて消化試合になったが?
「その中でもやらないと。こういう真剣勝負の雰囲気は多くないし、1試合も無駄にできない」
―W杯に向けたサバイバルもある?
「本番まではみんな競争。あのポジション(トップ下)でもっとやりたいし、やらなきゃいけないことも多い。どんどん試合に出たい」
―トップ下としての課題は?
「90分通してのポジショニングとか、相手を背負ったときの技術。そこは足りないかなと。もともと背負うタイプじゃないけど、角度を付けてハンミの体勢で受けて、そこから前線にパスを出せるか。守備のバランスも気を付けないといけないし、それができないとあそこは務まらない」

●MF阿部勇樹(浦和)
「いい準備をしていきたいと思う。チーム(浦和)でやってきたことが試合で出せると思うし、チームでやってきたことが無駄ではなかったことを証明するために、しっかりとやりたい」
―自分の持ち味は?
「数的優位を作るとか、チャンスがあったら前に行くということもやっていきたい。ボランチなので周りに合わせることも大事。セットプレーではゴールに絡むこともしたい」
―代表ではここまで33試合に出ている。今まで以上のインパクトを見せようという意気込みは?
「まず自分ができることをやってからのこと。何をやりたいとうのではなく、必要なことをやってからプラスアルファで何ができるかという気持ちだ」

●MF橋本英郎(G大阪)
「佑二さんはキャプテンはオレだということを前面に出してくることはない。その分、プレーで引っ張っている。試合にフルで出ていても練習で最後までやっていたり。チームの中で何かあったら言うというのは、シュンさん、佑二さん、ナラ(楢崎)さん、闘莉王さん。センターラインにはそろっている。(宮本)ツネさんは一人で引っ張ってヒデさんと話したりしていて、小さい中心がチームの中にある感じだった。佑二さんは一人でというより、旗を振る人が何人かいて、それにみんながついていく。もっと大きく幅広く包み込むような感じだと思う」
―ボランチが変わりそうだが?
「最初はうまくいかないかもしれないけど、チャレンジしていい結果に持っていきたい。選手の特徴は分かっていても、本当の試合は違う。試合の中でコンビネーションを取れるか。前、後ろとの関係をスムーズにしてつなぎたい。ヤット(遠藤)もハセ(長谷部)もバランスよくつないでいる印象だったから。でも同じようにはできないし、2人とは違う僕たちらしさを出したい。今までのを維持しようとは考えすぎず、自分たちのやりたいように要求しながらよくしていければ」
―W杯に向けたサバイバルもある?
「そこが今までのスタメンの選手とは違うところ。消化試合にはまったくならない」

●DF内田篤人(鹿島)
「あしたはホームですし、いいスタートを切れると思う。今まではW杯に出るというのがあったけど、今度はもうベスト4しかない。明日の試合は出場が決まっていることをいい材料にして、伸び伸びとプレーしたい」
―アーリークロスも試したい?
「アーリーができれば相手も引くし、ゴールできなくてもオウンゴールやCKが増えると思う。面白いかなと思う」

●DF今野泰幸(F東京)
「最終予選だし、ちゃんとした公式戦なのでチームとして勝たなきゃいけない。個人としてもいいプレーをしないと、これから生き残っていけない。アピールするだけ」
―メンバーは大幅に変わりそうだが?
「ずっと代表のコンセプトを意識して練習もしている。それは対応しないといけないし、言い訳にできない。とにかくチームとしていいプレーをすること。初めてだからと言い訳してたら外されちゃう。徳長はみんな分かっているし、それを11人が考えながらやればいいプレーができると思う」

●DF槙野智章(広島)
「待っていてもチャンスはこない。シュート練習でもそうだし、ゲームがなくても、そいういうところで自分を出していきたいと感じながら毎日やっている。監督も“ウズベキスタン戦の終了のホイッスルは南アフリカへのスタートのホイッスルだ”と言っていた。あしたの試合も、決まっているからと言って気の抜けない試合。そのためにも、出ていない僕らがピッチ外でも気のゆるみのないようにしたい」
―代表で学んでいることは?
「2週間あまりを過ごして、小さなところがここでは大きな問題になることが分かった。一つ一つのポジションのズレが、代表では大きな問題になるということ、失点につながることが分かった」
―中澤、闘莉王と比べて差はあると感じる?
「それはもう、練習から感じている。分からないことは聞きますし、教えてくれます。やはりポジションのズレです。パートナーとの関係をよく考えてやれと言われま
す」

(取材・文　矢内由美子、西山紘平)