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一丸だった武南、1年生MF決勝弾で1部復帰王手(武南高vs佐野日大高)

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[7.5 JFAプリンスリーグ関東2部6位決定戦 武南高 2-1 佐野日大高 小平]

 来季のJFAプリンスリーグ(U-18)関東1部昇格を懸けた2部順位決定戦が5日、開幕。2部Aで3位の武南高(埼玉)と2部B・3位の佐野日大高(栃木)が対戦した。1-1で延長戦にもつれ込んだ試合は、武南が1年生MF斉藤燿の決勝ゴールで2-1で勝利。武南は12日に行われる2部4位決定戦で日本航空高(山梨)に勝てば、来季の1部復帰が決まる。

 名門・武南で指揮を執る大山照人監督が「冷静さをもって、大事な瞬間に力を出せるかどうか。テストで練習ができず、主力3人がいない中で戦う今日は粘り強く戦うことができるか見ることの出来る試合だった」と語った佐野日大戦。0-1で突入した後半ロスタイムに武南が期待されていた粘りを見せる。この試合左サイドで存在感を放っていたSB冨永寛敏が、向かってくる相手DFを弾き飛ばすかのような突進でゴール前までボールを運ぶ。すると最後はMF野溝怜央が落ち着いて決めて試合を振り出しに戻した。
 土壇場で追いついた勢いは延長戦に入っても止まらず。武南は前半9分、右SB和氣健二の絶妙なクロスを公式戦初出場の斉藤が頭で押し込み決勝ゴールを決めた。

 試合序盤は佐野日大が押し気味だった。局面の攻防戦で優位に立つと、14分にはゴール前のこぼれ球をFW藤田亮が決定的なシュート。さらに16分にはMF長谷川将の右足シュートがクロスバーを叩く。だが、武南はMF成田悠人、MF田中大が見せる好連係やパワフルなストライカー、FW岡部佑允の強引な突破など試合のペースを自らへと傾けていく。そして両サイドから再三決定機を演出。ただ、佐野日大も全くひるまず、互いが決定的なシュートを打ち合う展開だった。
 その中で佐野日大は後半29分、DF山崎慶英の右FKにMF小林大河が飛び込み先制。GK池上徹の再三の好守などもあり勝利をつかみかけていたが、わずか1分間のロスタイムに同点ゴールを奪われ、延長戦で力尽きた。

 練習試合で全国高校総体で優勝候補の一角に挙げられている前橋育英高(群馬)に勝つなど、高評価されていた今年の武南。だが総体は埼玉県予選でまさかの初戦敗退を喫した。普段から選手同士でミスを指摘し合える良さが、逆に度を過ぎてしまっていたためチームは内部崩壊してしまっていた。その中で迎えた総体は、チームがバラバラで力を発揮することができなかった。
 だが、武南はこの日、敗戦の悔しさを払拭する勝利。全員がひとつになってゴールを目指し、奇跡的な勝利をつかんだ。指揮官は「勝ち方は何でも、いい結果が出たと思う。(1部昇格、選手権を目指すチームにとって)いい兆しが出てきた」と満足げな表情を浮かべていた。

<写真>公式戦初出場で決勝ゴール。喜びを爆発させる武南・斉藤(左)
(取材・文 吉田太郎)

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